歯科アマルガムが原因で、様々な病気を引き起こすことが知られています。ここでは、歯に詰められたアマルガムがどのように体内に侵入して、私たちの体の機能を低下させるのかについてみていくことにします。

ただし、ここで示したアマルガムによる病気は、書籍や専門学会による資料に基づいたものです。歯の中にアマルガムが詰められているからといって、必ずこうした病気になるとは限りません。あなたが治療を受けたり、歯科医院でアマルガムがあるかをチェックする際の参考にして下さい。

あなたの歯にアマルガムが詰められている可能性があり、下記の症状に該当している場合には「安全なアマルガム除去」を実施しているクリニックに詳細を問い合わせしてみて下さい。

歯科アマルガムが原因で発症する病気

歯科アマルガムによって生じる病気には様々なものがあると考えらえています。

水銀中毒の身体的症状

1.口の症状

  • 口がひりひりする
  • 舌がざらざらする
  • 唾液が出すぎたり、口が渇いたりする
  • 歯ぐきから血がにじむ
  • 歯ぐきが紫色になる
  • 舌がはれぼったくなる
  • 歯のまわりの骨がやせる
  • 口臭がする
  • 歯痛がする
  • あごの痛みがある
  • 歯肉、口の上側の部分(口蓋:こうがい)、舌に潰瘍がある
  • 白斑症(はくはんしょう:顔などに出る白い斑点)がある
  • 口の上側の部分(口蓋:こうがい)が減って、なくなる
  • 歯が抜け落ちる
  • 口内炎がある

2.腎臓と腸の障害

  • 腎障害を疑う所見がある
  • 大腸炎がある
  • 便秘をする
  • 下痢をする
  • 腹部けいれん・下腹痛がする
  • 胃酸過多・胸やけがする
  • 胃が膨張する

3.神経障害

  • めまいがする
  • 頭痛・偏頭痛がする
  • 疲労・気だるさ・体力消耗がある
  • 眠気・ものうい状態になる
  • 睡眠障害(不眠・悪夢など)がある
  • 震え(手、足、唇、まぶた、舌)がする
  • 身体の各部にマヒ・しびれがある
  • 手のひらと足の裏のピリピリする痛みがある
  • 燃えるような感じ・うずくような感覚がある
  • 手足の冷え・悪寒(おかん)がある
  • 慢性的な熱・体温の変動が見られる
  • 味覚障害がある
  • 嗅覚障害がある
  • 汗が止まらない、汗をよくかく(手足など)
  • トイレに行く回数が多い(頻尿)

4.筋肉と関節の症状

  • 腰の痛みがある
  • 背中の痛みがある
  • 首の痛みがある
  • 腹筋の痛みがある
  • 足の痛みがある
  • ひざの痛みがある
  • 手と指の痛みがある
  • 筋肉が弱っている
  • 筋肉の協調動作の不具合がある(不器用)
  • 歩行が困難である
  • 首をまわすことが困難である

5.心血管系・呼吸系の症状

  • 不整脈(頻脈:ひんみゃく、徐脈:じょみゃく)がある
  • 胸の圧迫と痛みがある
  • 血圧の変化が大きい
  • 呼吸困難(ぜんそく・せき)がある
  • 肺気腫(肺の組織が弾力性を失う病気)がある
  • 呼吸が浅く、不規則である

6.皮膚の症状

  • にきびがある
  • 身体の各部に肌荒れがある
  • 発疹(ほっしん)がある
  • 皮膚のかゆみがある
  • 皮膚炎がある

7.免疫・感染・アレルギーなどの症状

  • 風邪やインフルエンザにかかりやすい
  • 風邪が治りにくい
  • アレルギーがある
  • 吐き気がする
  • 副鼻腔炎(ふくびくうえん)(蓄膿症:ちくのうしょう)がある
  • 鼻炎がある
  • のどの痛みがある
  • リンパ節に腫れがある
  • むくみがある

8.視覚と聴覚の症状

  • 目がかすむ
  • 物が二重に見える
  • 目の奥の圧迫感がある
  • 目が乾く
  • 目と筋肉の協調運動に障害がある
  • 光、とくに蛍光灯の光に過敏である
  • 耳鳴りがする
  • 雑音がする

9.その他の症状

  • 食欲がなくなり、体重が減少する
  • 脱毛が見られる
  • 月経異常がある
  • 甲状腺の病気がある
  • 電磁場に敏感である(電磁場でアマルガムが腐食し、水銀の放出を高める)

水銀中毒の心理的症状

1.精神症状

  • うつ病、ふさぎこみがちである
  • 自殺行為を思いめぐらす
  • 気味悪いことがらを思いめぐらす
  • 極度の恐怖心がおこる
  • 悪い夢をよくみる
  • 幻覚、妄想、錯覚がある

2.注意散漫と記憶障害と言語障害

  • 注意散漫、集中力の欠如、知的活動(思考、読書、執筆)の継続や維持が困難である
  • 短期記憶の障害、忘れっぽくなる
  • 長期記憶に障害がある
  • 言語障害(適切な言葉が思いつかなかったり、文が途中半端になったりする)がある

3. 感情と人格

  • 落ち着かず、神経質になり、イライラする
  • 不安になる
  • 怒りっぽくなり、情緒不安定になる
  • 内気になる
  • 無気力になる
  • 自信喪失(じしんそうしつ)する

口の中に潜む恐怖―アマルガム水銀中毒からの生還より引用・一部改編

アマルガムによる水銀が原因で生じる神経障害

  • 多発性硬化症(MS)
  • 筋委縮性側索硬化症(ALS)
  • パーキンソン病
  • アルツハイマー病
  • 認知症
  • 記憶障害

※歯科アマルガムが詰められているからといって、必ず上記の病気が発生するわけではありません。

歯科アマルガムは全身の組織障害を引き起こす

歯科アマルガムが細胞を傷つけることで、体内の化学状態にどんな異常が引き起こされるのかを下記に示します。

アマルガムが筋肉に及ぼす影響

筋肉の収縮は細胞内のカルシウムの流入によって制御・管理されています。そして、そのカルシウムの流入をコントロールしているのがマグネシウムです。しかし、水銀はマグネシウムの働きを邪魔するため、筋肉の正常な収縮運動を損なわせ、筋緊張を引き起こすと考えられています。

アマルガムが赤血球に及ぼす影響

歯科アマルガムが入っていることによって、酸欠状態になったり、慢性疲労症状が出たりすることがあります。

赤血球の主要な構成要素であるヘモグロビンには鉄の原子が4つ結合しています。そして、鉄原子(ヘム)1個につき酸素分子が1個ずつ結合する構造を取っています。酸素が結合することで、赤血球は全身に酸素を運搬しています。ヘモグロビンは肺で酸素を受け取り、体のすみずみに酸素を受け渡す働きを担っているのです。

しかし、歯科アマルガムがあると、本来なら酸素が結合するはずの「ヘム」に水銀が結合してしまいます。ひとたびヘムに水銀が結合すると、水銀は離れなくなってしまい、酸素がヘムに結合することはできなくなってしまいます。

このとき、赤血球中ヘモグロビンの1つのヘムに水銀が結合すれば、ヘモグロビンの酸素運搬能力は25%低下します。ヘモグロビン2つに水銀が結合すれば酸素運搬能力は50%低下します。そのため、酸欠状態になったり、十分なエネルギーが生み出せなくなったり、疲れが出やすくなったりします。

アマルガムがヘモグロビン濃度とヘマトクリットに及ぼす影響

水銀で体内が汚染されていることによって、ヘモグロビンに水銀が結合すると、「できそこない」のヘモグロビンが体内に増えることになります。

不完全なヘモグロビンは、酸素の運搬を100%こなすことができません。そのため、私たちの体はより多くのヘモグロビンを体内に作り出すことで、酸素の不足を補おうとします。その結果、血液検査から「標準値を超えるレベルのヘモグロビン」が検出される場合があります。

同様に、血液検査のヘマトクリットの値が高くなることがあります。ヘマトクリットは、血液中に占める赤血球の割合を示す数値です。

そのため、ヘマトクリットの数値が標準かそれ以上であったとしても、水銀が結合した質の悪いヘモグロビンが増えている状態ならば、酸素不足やエネルギー不足にことがあるかもしれません。

アマルガムがヘム(鉄とポルフィリン)に及ぼす影響

また、水銀はヘモグロビンを構成するヘムに含まれるポルフィリンにも影響を与えます。

ヘムが体内で合成できないことで障害が生じるとされています。

ポルフィリン症というヘム合成回路の酵素が機能しない病気がありますが、水銀はポルフィリン症を引き起こす要因のひとつと考えられています。

水銀が体内に蓄積しているために全身の細胞が機能不全になると、ポルフィリンは血液中に溜まり、余分なポルフィリンは尿の中に捨てられます。 このとき、尿中に排せつされたポルフィリンは、水銀によって障害を受けた結果出てきたものだと考えられています。

よって、歯科アマルガムによる水銀中毒を見分ける方法として、「尿中ポルフィリン検査」を採用しているクリニックがあります。 尿中ポルフィリン検査では、ポルフィリン経路のどこに障害が起きているかを特定することで、蓄積している重金属の種類を割り出します。

アマルガムがコレステロールとホルモンに及ぼす影響

水銀が体内にあることで、ホルモンにも悪い影響が及ぶことが知られています。ホルモンの材料になるのはコレステロールですが、水銀は血中のコレステロールの濃度を下げます。 

コレステロールを作り出すための材料のひとつに、コハク酸という代謝物(たいしゃぶつ)があります。コハク酸は、TCA回路(クエン酸回路)でのエネルギー合成に関わる重要な物質のひとつです。しかし、水銀はコハク酸の合成を阻害し、コレステロールが作られるのを邪魔してしまいます。

そのため、水銀は膵臓(すいぞう)や甲状腺(こうじょうせん)、コルチゾール(副腎皮質ホルモン)、エストロゲン(女性ホルモン)、テストステロン(男性ホルモン)などの生産を減少させ、働きを弱めてしまいます。

人によっては、血液検査でホルモンの数値に異常がないにも関わらず、実際の体の中では、ホルモンが正常に作られていない可能性があります。

アマルガムが血糖調節に及ぼす影響

私たちが食べ物を食べたとき、食べ物から得られたブドウ糖が体内に入るため、血液中のブドウ糖(血糖値)が上昇します。血液に溢れ出たブドウ糖を細胞の中に取り込むことで、血液中のブドウ糖を一定の濃度に保つ働きをしているのが、インスリンというホルモンです。

インスリンは膵臓(すいぞう)で作り出されます。インスリンにはイオウ(S)の分子が2つ結合しています。水銀はイオウに結合しやすい特性を持っているため、インスリンを構成するイオウに結合し、インスリンの合成を邪魔して活性を低下させます。

インスリンが分泌されなくなったり、働きが落ちたりすると、体内の血糖は上昇したままになり、全身の細胞が傷ついてしまいます。その結果、糖尿病になるリスクが高くなると考えられています。

アマルガムが腸内環境に及ぼす影響

タンパク質の消化力低下、腸内環境の変性による抗生剤への耐性亢進が生じます。

アマルガムから溶け出した水銀は、胃腸に入り込むと腸内細菌と結合し、腸内細菌の性質を変化させます。すると、腸内細菌は薬物や化学物質に対して抵抗力を持つようになります。アマルガムへの耐性を持った腸内細菌は、抗生剤に対しても耐性を持つように変化します。

性質が変化した腸内細菌は、食べ物から摂取したタンパク質の消化・吸収にも悪影響を及ぼすようになります。腸管で正常な消化が行われなると、未消化のタンパク質は免疫反応を起こします。その結果、アレルギーや炎症が生じるリスクが高くなります。

人によっては、自己免疫疾患や糖尿病、多発性硬化症、心血管系疾患が発症リスクが高くなる場合があるとされています。

歯科アマルガムによる代謝酵素の阻害

水銀イオンは、酵素(こうそ)の活動を邪魔します。酵素とは、私たちの体内で行われる「化学反応」を仲介する物質です。Aという物質をBという物質に変化させる際に、酵素はAとBの間に入って化学反応を補助します。

酵素はタンパク質からできています。酵素を構成しているタンパク質は、SH基(チオール基・メルカプト基)と呼ばれる有機化合物を有しています。

水銀が酵素のSH基と結合してしまうと、酵素の化学構造を変えてしまいます。その結果、酵素の機能は低下し、体内で行うべき化学反応を推し進めることができなくなります。こうしたことから、水銀は「酵素活性を阻害」するといわれています。

水銀は、酵素以外にも様々なタンパク質に結合します。膵臓で作られるインスリン(S-S結合)やアルブミン(含硫アミノ酸メチオニン)、甲状腺ホルモンのヨードにも結合し、これらの物質の活動を不活化させます。

カンジダ菌による水銀中毒の悪化

先にも述べたように、体内に入り込んできた無機水銀は、腸内細菌によってメチル化され、メチル水銀(有機水銀)へと変化します。このとき、カンジダ症によって腸内にカンジダ菌が治療にいると、カンジタはメチル水銀を無機水銀に戻そうとします。

すると、体内に入ってきた水銀が腸管でメチル水銀になり、カンジダによって無機水銀に戻され、再び体内でメチル水銀になることが繰り返されます。

無機水銀 → メチル水銀 → カンジタによる脱メチル化 → 無機水銀 → 腸内細菌によるメチル化 → メチル水銀

このような悪循環に陥ると、カンジダは増殖の一途をたどり、水銀は体内から排せつされず、体内に蓄積されたままになります。

監修:宮澤医院 宮澤賢史
参照情報:IAOMT(国際口腔毒物学会)