妊娠している女性の口の中に歯科アマルガムが詰められていると、アマルガムから溶け出したり、蒸発したりした水銀が、血液を介して運ばれることが動物を対象とした研究結果から示されています。

また、歯の中にアマルガムがある妊婦では、母乳中の水銀濃度が上昇する傾向が高いことも分かっています。

血液や母乳を通じて水銀が胎児や新生児に運ばれると、ネズミやサルに神経障害や行動障害がみられることが実験から明らかになりました。また、動物実験によって、妊娠中の水銀へのばく露が、口蓋裂(こうがいれつ)を引き起こすことも示されています。

さらに、一部の研究結果からは、水銀(チメロサール)と自閉症との関連も示唆されています。

水銀は胎盤を通り抜け、胎児の染色体を傷つけてしまうことが分かっています。水銀は、胎児のDNAにある遺伝子をコードする部分を損傷します。妊娠初期の3ヶ月は、胎児が最も水銀の影響を受けやすい時期だとされています。

スウェーデンの政府健康福祉局は、1987年に、妊婦は胎児の安全を確保するために、妊娠期間中にアマルガムの治療を受けてはいけないという旨の発表を行っています。

妊婦から胎児に高濃度の水銀が移行としてしまうこと以外に、アマルガムに接触する機会が多い女性自身にも被害が及ぶ場合があります。

「口に歯科アマルガムが詰められた女性」や「患者の歯科アマルガムを取り除く治療に関わる仕事に携わっている女性」では、生理不順や不妊症、自然流産、死産の傾向が高い傾向にあることが、一部の研究から示されています。 

日本では、熊本県で起きた水俣病や新潟県で起きた新潟水俣病(第二水俣病)の経験から、水銀で汚染された魚を食べた妊婦から、水銀が胎盤を通って胎児に影響を与え、生まれてきた子供が脳性まひ(のうせいまひ)や感覚障害、運動失調、求心性視野狭窄(きゅうしんせいしやきょうさく)、を発症しました。

日本の厚生労働省では、水銀は胎児に影響を与える可能性があることから、妊娠中の女性に対する大型・中型魚の摂取に対して注意喚起を行っています。これからママになるあなたへ – 厚生労働省

妊娠中の女性やこれから出産を希望されている女性で、口の中に歯科アマルガムがある場合には、過度な恐怖心を抱かずに、落ち着いて行動しましょう。パニックになる必要はありません。

たとえ口の中に歯科アマルガムが入っていたとしても、日常生活を問題なく送れている人はたくさんいますし、健康な赤ちゃんを出産した人もいます。

あなたの体やお中の中にいる赤ちゃんにどんな影響があるのか心配な人は「歯科アマルガムを安全に除去してくれる歯科クリニック」や「医科歯科連携を行っている内科」に相談してみて下さい。

「歯科アマルガムがあることで、人によっては、病気になったり、体調不良になったりすることがある」という事実を知って頂ければ十分です。次にどんな行動をとるのかは、あなた次第です。よく検討して決めましょう。

水銀(ワクチン)や自閉症との関連性は議論を呼んでいる

近年、小児ワクチンに含まれるチメロサール(水銀)が自閉症を引き起こしていると唱える医師や研究者が存在します。しかし、チメロサール自閉症・発達障害との因果関係を示すエビデンスは認められていません。また、小児に対してキレート剤をも用いて治療を行うことに対しても、安全性が確立されていないために反対的な立場を取る医師が多くいます。

分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学を実践している医師の中には、水銀は自閉症や発達障害に何らかの影響を及ぼすという視点に立って、様々な治療に取り組んでいる人たちがいます。

しかし、自閉症に関しては「完治した」という症例がないために、水銀を除去することで自閉症の症状が改善されたとしても、回復の度合いには「個人差」があるようです。

現在もなお賛否を巻き起こしている「自閉症水銀説」ですが、分子整合栄養医学を実践する医師は、水銀の解毒をはじめとして、メチレーションやエピジェネティクスなどの観点からの治療を取り入れている人がいます。

そうした生化学的アプローチによる治療に興味がある方は、参考にして下さい。

監修:早川歯科医院 早川基樹