医科歯科連携診療普及協会の理事長である宮澤賢史医師(医科)と副理事長の小野澤彰医師(歯科)にインタビューを行いました。両ドクターは、分子整合栄養医学を実践するにおいて、「安全なアマルガム除去」を推進する活動を行っています。

歯の中に歯科アマルガムが詰められている患者を内科から歯科に、そして、歯科から内科に紹介することで、ひとりの患者を内科と歯科の両方の観点からサポートして、治療を手助けしています。

目次

医科と歯科の連携による患者の治療

分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学を実践する治療家の中には、医科と歯科が手を取り合って一人の患者の全身の治療を行っている人たちがあります。

口腔内の健康は全身の健康に繋がるという考えのもと、相互協力による患者の疾患治療を進めています。

Q1. 宮澤先生が推奨する「医科歯科連携診療普及協会」とは何か-協会発足にこめた思い、理念、目的を教えてください。

宮澤:かつての日本では、歯の詰め物といえばアマルガムでした。今現在も日本では使用されている可能性がありますが、諸外国ではすでにその危険性を認め、「使用禁止」としている国もあります。

では、アマルガムの何が危険なのでしょうか。

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それは、アマルガムの中に含まれる「水銀」です。通常、歯の詰め物であるアマルガムからは、1日平均1-10μgの水銀が蒸散放出されています。

水銀の沸点は356.58℃のはずですが、25°を超えると沸騰し始めるそうです。つまり、歯に詰められているアマルガムからは、咀嚼や歯ぎしりなどの摩擦を受けることで、ごくわずかではありますが、水銀蒸気が放出されているのです。

口の中にあるわけですから、放出された水銀蒸気は、そのまま人体へ入り込みます。
水銀が身体の中に蓄積されると、やがてその神経毒により、疲れやすい、集中力がでない、筋肉痛、胃腸障害、不眠など様々な症状を引き起こします。

さらには多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病などの原因にもなります。

このような患者さんの治療には歯科アマルガムの除去を行う、歯科医との連携が非常に重要です。これが、私が「医科歯科連携診療普及協会」を設立しようとした目的であり、理念にも繋がっていく考え方なのです。

これまでの活動実績(セミナー)は、どのようなものですか?

宮澤:医科の考え方と歯科の考え方を、双方で理解しあうことが、まずは連携の第一歩となります。その上で、アマルガムを除去すべき患者さんの病状、安全な除去の方法を、理解しておかなくてはいけません。

加えて、すでに患者さんの身体に蓄積された有害金属である水銀を、どうやって体外へ排泄させるか、ここでも医科と歯科との連携が重要になります。
こういったことを、初めての医師や歯科医でも分かりやすく、日常診療で実践できる知識として、広めていくことを主題とし、定期的なセミナーを開催しています。

医科歯科の会員数・所属ドクターについて教えてください

宮澤:現在の会員は、医科歯科の理念に共感された方々、統合医療に興味を持っている医科歯科の医師たちです。

これから、新規の会員ドクターをどう増やしていくかは検討中ですが、栄養療法や分子栄養学、ビタミンC点滴、あるいはACF※を推進してきた先生方の中で、この分野をもっと深く掘り下げて行きたいと希望されている方々にアプローチしていきたいですね。

※ACF:
重金属を体外に排出し、トランスフェラーゼ(移転酵素)システムを改善し、解毒を促す、有効成分ジインドリルメタン(DIM)を含んだサプリメント。DIMは天然成分として、キャベツやカリフラワー、ブロッコリなどのアブラナ属の野菜に含まれている。

もともと行っていた「分子栄養学」から「医科歯科連携」に至った理由は?

宮澤:分子栄養学から医科歯科連携に至ったきっかけは、「患者さんの治療に必要だったからお願いした」ことです。

色々な治療をしてもなかなか病状が改善しない患者さんに、適切な治療は何かを考えている時、ハル・ハギンス先生の本を読み「歯のアマルガム除去が必要だ」と知りました。

この本から「サプリメントや食事療法だけでは改善しない患者さんの症状の原因は、歯に何かが入っていることだ」ということを知ったからです。

私は分子栄養学を学んでいたため、歯の詰め物から発せられる「重金属の害」について理解し、その上で、もっとも安全で確実な治療を行うためには「医科歯科連携」が重要であるという考えに至りました。

Q2. 歯科医の立場で見た時の「医科歯科連携」とは何か-小野澤先生の専門分野などを教えてください

小野澤:当院は、オールマイティーな都会のクリニックを目指しています。

予防・審美・口腔外科に関する診療を行っていますが、なるべく抜歯ぜずに、残せる歯は残すような治療を行っていますし、インプラントの中でも特に難しいインプラント治療が必要な場合、専門のインストラクターと連携して行っています。

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また、一般的には行われていない「アマルガムの安全除去」「睡眠時無呼吸症候群の治療」など、医科との連携が必要とされるような特殊な治療も行っています。

他に、アンチエージング的な治療として、ホウレイ線や唇などへのヒアルロンサン注入、リフトアップ、ボトックスなども行いますし、変わったところではホワイトニングやサプリメント、口の周りの脱毛など、一般の歯科では難しい治療も行っています。

患者さんやクリニックの特徴を教えてください

小野澤:クリニックの所在地が、新橋・銀座に近いところですので、中央省庁で働いている忙しい方や、転勤や出張のある患者さんが多いですね。ほとんどが成人の患者さんですが、男女の差はありません。

私のモットーは「診療時間を守ること」です。患者さんをお待たせすることは出来ませんので、決められた時間で終わるよう、心がけています。

また、他の勤務医がいないので、患者さんは全て自分で診療します。全ての治療を、自分が最初から最後まで行うことが、1つの強みです。スタッフ(歯科衛生士)も入れ替わりが少なく、患者さんごとの担当がおりますので、信頼関係ができるところも強みですね。

歯科医の立場からみる、口腔内と全身疾患の関連性

小野澤歯科医の立場からみると、やはり口腔内と全身疾患の関連性を重視して診療を行っています。

アマルガムのことは、宮澤先生から多くの知識を頂きましたので、口の中に炎症などある場合、全身の状態が非常に気になります。自覚症状がない方も多いので、すべてを見つけることは難しいとは思いますが、身体のどこかに何か悪いものがあることを前提として、患者さんともお話するようにしています。

Q3. 「睡眠時無呼吸症候群」や専門分野についての考え方-虎ノ門病院との連携について教えてください

小野澤:虎ノ門病院の成井先生や、その他多くの関連クリニックからの紹介で、患者さんがいらっしゃいます。

虎ノ門の先生方の治療は、ほぼすべて私が治療しています。他には、宮澤先生の医科歯科連携診療普及協会で知り合った先生方からも、患者さんが紹介されて来ます。

日野先生からは特に紹介も多いですね。「睡眠時無呼吸症候群」と「アマルガム除去」の両方で紹介患者さんが来ます。

内科の先生から、複数の医療機関を紹介されて、当院のHPを見ていらっしゃる患者さんいますが、当院は98%が紹介患者さんです。

保険請求する場合は紹介患者さんであることが条件なのですが、自費治療の場合は、歯科単独でもできます。

主な患者さんの属性、代表的な主訴や、治療実績について教えてください

小野澤:うつ病、慢性疲労、皮膚のかゆみを主訴としていらした患者さんがいました。宮澤先生の患者さんだったのですが、マイコプラズマもあり、アマルガムも入っていました。

最初はご本人もだいぶ治療に対して警戒心が強く、ご自分で勉強した付箋だらけの本を持っていらしたのです。私やスタッフに対しても質問攻めで、会話も録音していいかと聞かれました。色々な治療を続けてきましたが、今では定期健診にもクリーニングだけでもいらっしゃいます。

他にも、解毒がなかなか進まず、2年以上治療を続ける方も結構いらっしゃいます。神経質な性格が強い方は、なかなか治療が難しい面もあります。

睡眠時無呼吸症候群(すいみんじむこきゅうしょうこうぐん)の患者さんは、増えていると思います。まだ氷山の一角だと言われているように、たぶん実はもっと多いのだと思いますよ。

主な症状は「いびき」ですが、朝起きたとき頭痛のある人、朝の血圧が高い人、日中眠気のある人などは、気をつけたほうが良いですね。現在まで913人の症例があります。

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Q4. 歯科アマルガムが全身疾患に及ぼす影響について

【医科の面から見たアマルガムの影響】-宮澤先生が診療なされた患者さんにはどのような方がいますか?

宮澤:当医院に来院される患者さんの中では、年代的には20代以降の方が多く、うつ病、慢性疲労、首から上の神経障害がある方や、神経質、頑固な性格の方に、アマルガムが入っている可能性を考えています。

歯科アマルガムなどによる水銀中毒は、多くの疾患の原因になっているといわれおり、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病などの原因にもなり得るものです。

多くの患者さんは、来院前に当医院のホームページをご覧になり、歯科アマルガムについてある程度の知識をお持ちになった上で、来院されるようです。

中には、ご自身の状況を改善されたい一心で、歯科アマルガムについて熱心に質問される患者さんもいらっしゃいました。その方は、幾度にもわたる治療を乗り越え、副腎疲労やその他の疾患による多くの症状を改善されました。

宮澤先生自身も、以前歯科アマルガムがあったと伺いましたが?

宮澤:歯科での治療を受けている時に、たまたま奥からポロっと歯科アマルガムが出てきたため、より詳細な検査を受けました。
すると、まだ口の中に、歯科アマルガムが残っていたことがわかり、さらに除去する治療を受け、デトックスを行った、という経験があります。

【歯科の面から見たアマルガムの影響】-歯科アマルガムの危険性を認識したきっかけは?

小野澤:私は、元々アトピーでした。アトピーの原因として歯科アマルガムも視野に入れるべきであることを知り、自分でパッチテストを行ったところ、水銀の高い反応がでました。そこで、急いで友人の歯科医に歯科アマルガムを除去してもらいました。

ところが、以前は歯科アマルガムを安全に除去する方法までは認識していませんでしたので、見える部分の歯科アマルガムを除去し、アトピーはある程度は改善しましたが、完治するまでにはいたりませんでした。

その後、宮澤先生にセミナーをお勧めいただき、歯科アマルガムについてより深く勉強するようになりました。

その結果、自らの口腔内の歯科アマルガムだけではなく、歯科医として治療を行った時の飛散のこともあり、今まで蓄積されてきた高い水銀への反応が出ていることがわかりました。

現在、歯科アマルガムについての勉強を始めてから2年半ぐらい経ちますが、宮澤先生の指導の下、ビタミンCを服用したり、デトックスを行ったりしたことで、アトピーが改善されたのです。

それだけではなく、以前は年に何回も風邪を引いていた私が、風邪も引かないほどすごく体調が良くなりました。

現在は、歯科医として、どれくらいの患者さんと接していますか?

小野澤:当医院での実績を申し上げますと、これまでにカウンセリングを行った患者さんは108名、歯科アマルガムの除去術を施行した患者さんは70名で、除去本数170本くらいでしょうか。現在では、週に2名ぐらいの患者さんがいらっしゃいます。

歯科アマルガムに対する歯科業界の動向・認識などについてお話ください

小野澤:歯科の分野では、歯科アマルガムについての正しい知識の認知度はまだまだ低い、というのが現状です。

実際、私が医学生の頃は、歯の詰め物としてアマルガムを使用して実習を行っていました。私が医師として治療を始めた頃には、CRと言うプラスチック製の詰め物が主流になっていましたが、歯科アマルガムは一度で治療を終えられることから現在でも使用されている可能性もあります。

安全なアマルガム除去について-除去後の効果、安全対策(防護服、マスク、飛散防止用具を教えてください

小野澤:当医院で行っている「安全なアマルガム除去」では、治療説明を行う際に、術中の安全対策などについてお話しています。

防護服など大仰に見える格好は、最初の説明ではなく、除去を行うことが決定後、カウンセリング時に詳しくお話ししたり、実物をお見せするようにしています。

安全にアマルガムを除去する格好はかなり重装備ですので、事前に説明をしておかないと、患者さんも大変驚かれますからね!

アマルガム除去に際して気をつけていることはありますか?

小野澤:歯科アマルガムの除去中は、患者さんに10秒間呼吸を止めてもらいます。
この動作を繰り返し行ってもらいながら、除去術を進めていきます。これはマニュアルにない部分でしたので、自分で開発しました。

また、歯科アマルガム除去後には、呼吸を整えるために、知人の先生がお勧めで使用している機械で、高濃度酸素を吸っていただくようにしています。ただ、歯科アマルガムの除去は、すべて自費診療になっていますので、その点は患者さん側も注意が必要ではあります。

サプリやキレーション、解毒、食事指導についてはどうですか?

小野澤アマルガムを除去した患者さんへの対応は、基本的には医科にお任せしています。キレーション・サプリ・デトックスなど、紹介元の医科の先生から、説明して頂いています。多くの場合、歯科での治療後は、内科の先生に診てもらうように勧めています。

自院で扱っているサプリのラインナップは、効酸化作用のあるものです。アスタキサンチン・乳酸菌のサプリなどですね。数は多くありませんが、自分が飲んでいて「良い」と思うものをお勧めしています。アスタキサンチンの美容液などもあります。

私自身は毎日、乳酸菌とプラセンタとアスタキサンチンとEPAとビタミンCとBを飲んでいます。

宮澤:私は、珪素(ケイ素)、マグネシウム、アルファリポ酸、EPA、乳酸菌や消化酵素ですね。高濃度ビタミンC点滴は、疲れていれば3日連続ですることもあります。

小野澤:私は週1か週2ぐらいでしょうか。プラセンタの注射は、週1回から2回ですね。しかし、私自身は歯科医なので、歯科で患者さんに対して、医科的なことをやるのは専門外になります。

そこで医科歯科の連携が必要であることにつながっていくのです。宮澤先生も仰っていますが、各自が専門分野に集中することが、良いのではないかと思っています。

Q5.「医科歯科連携」の実際について

医科から歯科医への紹介プロセスは?

宮澤:医科から歯科への一般的な紹介の流れは、当院で診察を受けた患者さんの中で、ア口腔内にマルガムのある人がいれば、歯科オノザワなど、アマルガム除去を安全に行って頂ける歯科クリニックをご紹介しています。

医科歯科連携の実例を教えてください

小野澤:患者さんは、アトピーの人が多く、年代では30代から40代くらいの方が多いですね。

ある患者さんは、アトピーなどの症状がかなりひどくて、仕事を休んでいました。副腎疲労もありましたが、現在はかなり状態が良くなりました。

静岡からいらして、治療に2時間ほど費やしていらっしゃいます。静岡の三輪先生からの紹介でしたが、治療の中で、アマルガムが原因と思っていたら、実はいくつもの原因があって、アトピーや副腎疲労、精神的な症状が一気に治った、という報告も頂いています。

特にアトピーの症状が強い方などは、歯科医と顔の距離が近くなるため、歯の治療を受けるだけでも大きなストレスなのです。

実際、「僕も昔はこうでしたよ」とお伝えすることで、心を開いてくれたようですね。自分がそれを経験しているので分かる、だからあえてそのことに触れてあげる事で、相手は安心する。アトピーの人には自分の経験を話しています。

医科と歯科医でどのようなコミュニケーションを行っていますか?

小野澤:医科の先生からは、紹介状などで病状をお伝え頂きますが、歯科での診療の内容についても、報告は行っています。

「医科歯科連携」による症状改善を実現するために、患者様に協力して欲しいことなど

宮澤:治療の内容や方法、診療をうける医療機関など、医科の面、歯科の面から、さまざまなアドバイスをしています。
患者さんは、医師や歯科医師からの説明をしっかりと聞き、治療にきちんと協力して頂ければ良いと思います。

Q6.これからの「医科歯科連携診療普及協会」がめざすもの

今後の活動予定や、目標を教えてください

宮澤:今後これらの活動をより広める活動として、2015年12月13日に、医科歯科連携による改善事例をセミナーで発表しようと準備しています。事例報告ですから、学ぶところも多いのではないかと思います。

アマルガムのこと、医科歯科連携のことを描いたマンガも用意していますので、より分かりやすいセミナーになると考えています。

啓蒙・教育活動の推進

宮澤:私のクリニックを受診する患者さんのうち、重症患者さんの90%は、歯科が原因です。
治療をより効果的に進めるためには、医科と歯科との間で、お互いの認識を高めてもらうと言う事が、一番重要になるのではないでしょうか。

総括として、最後に一言お願いします。

宮澤:内科の医師は普通、歯科に関することは「専門外」として診てしまうのですが、歯や口腔内の疾患と全身状態の関係を理解して頂かないと、患者さんの病状は改善しません。「アマルガムが入っているから除去さえすれば良い」というわけでもありません。

「なぜ、アマルガムを除去しなくてはならないのか?」
「アマルガムがあることで口腔内や全身にどのような影響があるのか?」
「アマルガムを除去する事で得られる結果が、患者さんの希望に沿うものなのか?」

重要なのは、患者さんの治療に関わる医師や歯科医師が、ただ闇雲にアマルガムを除去するのではなく、系統的な知識をしっかりと学び、アマルガム除去の重要性、安全な処置の方法、アマルガム除去後に必要な治療などを理解して、日々の診療にあたることではないでしょうか。

こういった考えの下、私たちはより多くの医師や歯科医師が、医科歯科連携のネットワークに参加して頂けることを望んでいます。

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宮澤医院 宮澤賢史  歯科オノザワ 小野澤 彰