分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学では、食事から栄養素を摂取することで全身の細胞機能を高めることを目標とします。つまり、体を構成する60兆個の細胞が最適な状態で働くように、十分な量の栄養素を取り入れる療法を行います。

しかし、細胞の機能を高めたり、免疫力や自然治癒力を向上させるためにどの位の栄養素を必要とするのかは「個人差」があります。

また、人によっては、毎日の食事から栄養素を得して体の調子を整えていくには、一定の時間を要することがあります。

さらに、「極度の栄養素不足に陥っている人」や「病気を治すために大量の栄養素の投与が必要だと判断された人」では、食事だけでは栄養素の摂取が追いつかないことがあります。

こうした状況になったとき、「食べ物から得る栄養素に追加して、サプリメントから栄養素を補いたい」とあなたが希望すれば、医師からサプリメントを処方してもらうことができます。

分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学で使用されるサプリメントは、栄養素を補給するための「手段」でしかありません。栄養素を用いて健康を維持したり、病気の改善を図るためには、食生活に意識を向けることが最も大切です。食事を疎かにしてサプリメントだけに頼っていては、体を回復するのは難しいかもしれません。

サプリメントを摂取する前に、食事のことに関しても、主治医やカウンセラーに相談しましょう。

ここでは、分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学で用いられるサプリメントについて記載します。尚、実際の臨床で採用されているサプリメントのブラントや種類、料金は、クリニックによって異なります。詳細は各クリニックにお問い合わせ下さい。

各栄養素のサプリメントについては、「栄養素のはたらき」をご覧下さい。

定番として用いられるサプリメント

分子整合栄養医学を実践するクリニックで作用率が高いサプリメントです。多くの患者が不足している傾向が高い栄養素であり、幅広く処方することができる種類であるため、常にサプリメントの在庫を準備しているクリニックが多いようです。

マルチビタミン

ビタミンのうち、特にビタミンB群が含まれたサプリメントが使用されることが多いです。ビタミンBは単一の種類ではなく、複数の種類が協力して働きます。

糖質の分解や神経伝達物質(しんけいでんたつぶっしつ)の合成など、体内の様々な代謝活動でビタミンB群は登場します。

ビタミンB群のサプリメントは、「ビタミンBコンプレックス」と表記されることがあります。

マルチミネラル

ミネラルは体内の様々な代謝活動に関わっており、健康的な体を維持するために必要不可欠な栄養素です。

特に、亜鉛やマグネシウムは、多くの人が不足しているミネラルだと考えられています。

ミネラルはビタミンと異なり、やみくもに高用量を用いればよいというわけではなく、「ブラザーミネラルとの相対的なバランス」を維持することが重要だとされています。

また、水銀や鉛、カドミウムなどの有害金属によってミネラルの利用が妨げられてしまうことがあります。よって、ミネラルは「どれくらい飲んだか」よりも「どれくらい体内できちんと使われているか」に着目しながら用量をきめるのが望ましいとされています。

ビタミンC

ビタミンCには、活性酸素を除去したり、免疫力を強化したり、がん細胞を抑制したりする効果があると考えらえています。

また、ビタミンは副腎や脳の下垂体(かすいたい)、白血球に多く存在するため、副腎疲労症候群(ふくじんひろうしょうこうぐん)の人や免疫力が落ちている人、脳の機能が低下している可能性がある人に処方されることがあります。

ビタミンCは、風邪予防や便秘予防、美容・美肌の効果を期待し、患者自身が比較的簡単に摂取できる栄養素のひとつです。ビタミンCは水溶性のビタミンであり、長時間体内に留めておくことができません。そのため、毎日こまめに摂取することが望ましいとされています。

一度に大量のビタミンCを摂取すると、腸管でビタミンCを吸収しきれずに下痢になってしまうことがあります。詳細は「高濃度ビタミンC点滴」のページをご覧下さい。

ビタミンCには、粉末や錠剤(じょうざい)、チュアブル(カムカムレモンのように噛むタイプ)などがあります。また、iHerbなどでは、子供でも食べやすい「グミやキャンディータイプ」のビタミンC補助食品が販売されています。

アドレナルサポート

副腎疲労症候群(ふくじんひろうしょうこうぐん)の患者に用いられる場合があります。

副腎疲労症候群の患者は、副腎の機能が低下して、コルチゾールやノルエピネフリン(ノルアドレナリン)などのホルモンを作り出すことができなくなっています。

そのため、副腎の機能を回復させることを狙って、動物から抽出された「アドレナルコーテックス(副腎皮質:ふくじんひしつ)」のサプリメントなどが使用されることがあります。

アドレナル系のサプリメントの用量や摂取タイミングに関しては、主治医に相談しましょう。

プロバイオティクス

分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学による治療を進めるにあたり、食事やサプリメントなどから栄養素を補給することは大切です。しかし、胃酸が出ていなかったり、腸内環境が悪かったりして、食べたものを正常に消化・吸収することができていなければ摂取した栄養素を効率的に利用することはできません。

また、腸内環境の悪化が体調不良や精神症状を引き起こしていることが知られるようになったため、腸内環境が悪い場合は、まずは腸の機能を回復させるところから着手する場合があります。

そこで、善玉菌として働く乳酸菌やビフィズス菌などのプロバイオティクスをはじめ、善玉菌のエサとなって働く食物繊維やプレバイオティクスを積極的に摂取するように主治医から指導されることがあります。

ただし、腸内環境は個人によって大きく異なり、自分の腸に合う善玉菌やプレバイオティクスを見つける必要があります。そのため、サプリメントを用いて腸内環境を改善する場合は、様々な種類のプロバイオティクスやプレバイオティクスが含まれたものを使用しているケースが多いようです。

プロバイオティクスやプレバイオティクスのサプリメントを摂取する際、過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)や小腸内細菌異常増殖(SIBO:シーボ)の人がプレバイオティクスを摂取すると返って状態が悪化したり、副作用のような症状が出る可能性があることが指摘されています。

上記の病気になっている可能性がある人は、必ず医師の指導の元でサプリメントを摂取するようにしましょう。

ヘム鉄

血液検査の結果、フェリチンや鉄などの値が低いために「貧血」と診断された場合に、ヘム鉄が処方されることがあります。ヘム鉄はサプリメントの中でも非常に吸収性が高い栄養素です。

女性は毎月の月経で、体内から鉄が排出されてしまいます。そのため、食事やサプリメントからヘム鉄を摂取するように指導されることがあります。また、子宮筋腫や痔などで不正出血があり、体調が優れないときにヘム鉄を飲むと、人によっては一時的に体力が回復し、短期間で効果を感じることができます。

血液検査の「フェリチン」の理想値に関しては、医師によって見解が異なります。「フェリチンの値は高ければ高いほどいい」と唱える医師もいれば、「フェリチンは炎症マーカーであるため注意が必要」と考える医師もいます。

主治医に確認した上で、ヘム鉄のサプリを摂取するようにしましょう。

EPA・DHA

オメガ3系の多価不飽和脂肪酸であるEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)は、血液をサラサラにして、体内の炎症を抑えてくれる働きがあります。

オメガ3系の脂肪酸は、糖尿病の改善にも有効だとする報告がなされています。

EPAとDHAはサプリメント以外にも魚油や亜麻仁油(フラックスシードオイル)、えごま油に含まれています。こうした油は酸化しやすい特徴があるため、加熱せずにドレッシングとして使ったり、パンにそのまま塗ったり、スムージーに入れて飲むのがよいです。

消化酵素

胃酸の分泌量が少ない人では、食べた食品を胃腸で十分に消化・吸収できていません。そのため、食事やサプリメントから摂取した栄養素を消化することができていない場合があります。

また、糖質制限や各種の食事療法によって、肉や魚などのタンパク質が多い食生活を送っている人の中には、動物性タンパク質が消化しきれていないケースがあります。さらに、体調不良のひとつとして、消化不良や膨満感を訴える人があります。

こうした人に対して、消化酵素が処方されることがあります。

高度な治療に用いられるサプリメント

カンジダクレンズ

カンジダ感染による体調不良を訴える患者に対し、カンジダ除去を行う際に使用されるサプリメントです。カンジダ菌の細胞を溶かして殺す作用があります。

カンジダクレンズのサプリや薬剤を用いる場合は、事前準備を行い、体のコンディションを整えておく必要があります。たとえば、下記のようなことを確認する必要があります。

・腸内環境が健全で、バナナ状の便が毎日出ているか
・下痢や便秘になっていないか
・体力や精神力が安定しているか
・血糖が安定しているか

事前準備を行わずにカンジダクレンズのサプリメントを用いると、ダイオフ症状(ヘルクスハイマー反応)が生じることがあります。

ダイオフ症状とは、カンジダ菌が大量に死滅する際に「カンジダが生み出す毒素やカンジダの死骸、カンジダが溜め込んでいた有害金属が体内に一気に放出される」ために、体に不調が生じることです。

特に、腸内環境が悪い状態でカンジダ除去を行ってしまうと、老廃物や毒素を体の外に排せつすることができません。その結果、人によっては症状が返って悪化してしまうことがあります。

カンジダクレンズのサプリメントを用いる場合は、医師の指示のもとで使用するようにしましょう。

メチルフォレート(活性型葉酸)

メチレーション(メチル化)やエピジェネティクスに基づく治療の一環として用いられるサプリメントです。遺伝子多型(SNP:スニップ)による遺伝子の脆弱性をカバーしたり、生化学的不均衡を是正するために使用されます。

メチルフォレート(活性型葉酸)は、葉酸回路やメチオニン回路でビタミンB12と代謝反応を起こし、メチル基(SAMe)を作り出すことで、DNAやRNA、神経伝達物質、クレアチンの合成などといった、生体の様々な活動に関与しています。

メチルフォレートは、主に自閉症や発達障害、うつ病、統合失調症の患者の遺伝子発現を調整するために用いられます。

治療で使用するサプリメントとして、人工の葉酸(Folic Acid)ではなく、活性型の葉酸(メチルフォレート、5-MTHF:5メチルテトラヒドロ葉酸)のサプリメントを推奨する医師がいます。

しかし、メチルフォレートは正しく用いないと、患者によっては重篤な副作用が生じてしまう場合があります。自己判断で用いず、主治医の指示のもとで使用するようにしましょう。

SAMe(サミー:S-アデノシルメチオニン)

活性型葉酸と同じく、メチレーションやエピジェネティクスに基づく治療で用いられることがあります。

ナイアシン(ビタミンB3)

うつ病や統合失調症にナイアシン(ビタミンB3)が有効だとされています。

医療用サプリメントを製造・販売している企業

医師の処方箋や紹介コードがないと購入できないものがあります。詳細は各企業にお問い合わせ下さい。

株式会社MSS
株式会社ヘルシーパス 
カリフォルニアニュートリエンツ 
株式会社デトックス (Pure社製サプリメント代理店)

患者が直接購入することができる企業

ヘルシーパス(医療機関からの紹介コードがある場合のみ)
株式会社すかい21
iHerb

【注意】
サプリメントの選択、購入、摂取後の体調不良等で生じた損害に関し、当ウェブサイトは一切責任は負いません。ご自身の責任で購入して下さい。