ビタミンC点滴は栄養素・生化学研究の第一人者であるライナス・ライナスポーリングによって提唱された治療法である事は、創始者でも触れた通り

ビタミンCとライナスポーリング

量子力学や化学、分子生物学、免疫学など多岐に及んだ

天才型であった彼は、分子や結晶構造にも傾倒

彼が受賞した1つ目のノーベル化学賞は、
複雑な高分子タンパク質の構造を解明した事に対して授与された

ところで、ビタミンとは、生理機能を営む際に必要な有機化合物 (必要量は微量)であり、ヒトは自分ではそれを合成する事が出来ず、
他の天然物から栄養素として摂取する必要があると定義されている

元来、ビタミンは欠乏の歴史と言っても良い位、
欠乏による疾患症状が出現して初めてその働きや重要性が認識された


各ビタミンの欠乏症状

ビタミンA : 夜盲症
ビタミンB1: 脚気
ビタミンC : 壊血病
ビタミンD : くる病
ビタミンK : 出血傾向
ニコチン酸: ペラグラ



現在、厚生労働省が日本人の食事摂取基準によって定めているビタミンの摂取量は、あくまでも欠乏症を発症させない為の最低限の量に過ぎない

1940年代頃より既に、ライナス・ポーリングは、ビタミンが生体に関与する働きに着目

単純に欠乏症を回避するだけの位置づけであったビタミンを
基準値を大きく上回る量を摂取する事で生体機能を調節し、自己治癒力の強化が実現する と言う、センセーショナルな考えを説いた

ビタミンCの臨床応用(風邪予防や癌治療)については、ポーリングが第一人者であると断言して間違いなさそうだが、彼よりも早く、ビタミンCが生体に及ぼす影響について着目していた化学者は数多く存在する

事実、ポーリング自身がビタミンCの研究を推進するに当たり、
先人達の各種論文や研究発表から、ビタミンCの有用性を探るヒントや証拠を得ていた事は確かだ

1753年 ジェームズ・リンド医師 「壊血病に対する柑橘類の有効性」
1983年 サイモン・ラスキン  「アスコルビン酸カルシウム塩注射による風邪予防」
1968年 エドメ・レニエ医師  「アスコルビン酸の大量投与が風邪予防に有用」

など、引用論文は多数に及ぶ

ポーリング自身が、風邪予防や治療におけるビタミンCの有効性に気づき始めた折、既にビタミンCについて研究を進めていたアーウィン・ストーン博士からタイミング良く手紙を受け取り、その後の研究を更に後押しした事は有名な逸話

手紙には、ストーン博士が30年かけて研究開発したビタミンC健康法を記載されていた

同時にポーリングは、エイブラハム・ホッファー博士とハンフリー・オズモンド博士が、統合失調症の治療に大量のナイアシン(ビタミンB3)を用いている事を知る

彼らは、欠乏症ペラグラを予防するのに必要な量の実に数100倍にも及ぶ量を治療に利用しており、それを受けて、ポーリングは、ある種のビタミンを大量摂取する事で、健康状態が改善・向上されると確信

ポーリングは、アーサー・ロビンソンとの共同研究を経て、1968年 “Orthomolecular Psychiatry” (オーソモレキュラー精神医療) 発表するに至った

加えて、スコットランドの癌外科医ユアン・キャメロンと共に末期癌患者に高濃度ビタミンCを点滴と経口投与を行う実験も推考

癌とビタミンC」 の上梓に際しても、当時の医学会に大きなセンセーションを巻き起こした事は想像に難くない

ビタミンのメガドース(大量摂取)による疾患治療において、
ビタミンCの大量経口摂取・静脈注射は、今日の栄養療法で中核を成す手法である

  • ポーリング自身が紛れもないオールマイティーな化学者であった事
  • ノーベル賞を2度も受賞した天才であった事
  • 風邪や癌に対するビタミンCの有効性を説く過激な書籍を執筆した事
  • 栄養学の権威や医学界・化学のメインストリームから疎外され続けてきた事

数々のドラマチックな経緯が、
「ビタミンCと言えばポーリング!」 という我々の既存観念をより強固にしているのかもしれない