うつ病になると自宅や自分の部屋に閉じこもってばかりいて、外に出て人と会ったり、定期的に運動をしたりする機会が減ります。ほとんど体を動かさないので、食べた食品のカロリーを効率的に消費することができなくなってしまいます。

また、うつ病の人の中には、料理や掃除などの家事をする気力がないために、食事はスーパーで売られている出来合いの総菜やコンビニの弁当、パンで済ませている人も多いです。こうした食品は簡単に買えて、調理せずとも食べられるので便利です。

しかし、こうした食品ばかりを食べていると、体に十分な栄養素が届かないために腸の細胞の機能が低下し、全身のエネルギー消費量が減ります。

さらに、ストレスで緊張や不安が続いたり、便秘になったりすると口臭まで発生するようになります。このような状況では自己嫌悪に陥って、他人にも不快な思いをさせてしまいます。

こうした悩みを解決するために、まずは体重が重くなったり、口が臭くなったりする原因を考えてみましょう。原因を押さえた上で肥満や口臭の改善方法を知り、自分に合った方法を取り入れていくことで体質を変えることができるようになります。

うつ病の人は太りやすい生活を送っている

うつ病で引きこもりになると、一日中自宅から出ずに過ごしてしまうことが多くなりがちです。心身の疲れやだるさを感じていると、家事や育児を行うのも苦労します。こうした状況では、きちんとした食事を作るのが面倒になり、ついスーパーのお惣菜や加工食品などを買って食べるような生活になってしまいます。

人によっては甘い物や菓子パンなどの炭水化物ばかりを選ぶようになり、偏った食事になるケースがあります。甘い物を食べると脳で幸せを感じる物質が放出されるため、気分が良くなるのでつい手が出てしまうのです。

しかし、デザートや炭水化物ばかりを食べていては、余分なカロリーだけ摂取することになります。体にとって必要な栄養素が不足して、体の機能を正常に維持することができなくなってしまいます。

また、無気力の状態では定期的に運動する機会も少なくなるため、体がエネルギーを消費する力も低下してしまいます。人によっては、うつ病で夜眠れなくなってしまい、昼夜逆転の生活になります。

昼間に動いたり、活動したりすることがなくなるため、筋肉がしっかりとある「カロリーを燃やしやすい体」を築くことができなくなります。

別の要素として、うつ病患者に処方されている薬の中には、副作用として体重が増えてしまうものがあります。

うつ病の薬が原因で体重が増えてしまったと感じる場合は、自分の勝手な判断で薬をやめたり、種類を変えたりしないようにしましょう。体重が増加する副作用が少ない違う薬に変えることができないか、主治医とよく相談をして決めるのが望ましいです。

炭水化物や加工食品ばかりを食べると体重が増える

うつ病になって気力や体力がなくなると、自分で料理を作ることができなくなってしまうことがあります。

スーパーで新鮮な食材を購入して健康的な食事を作ることが良いとは分かっていても、体力が落ちて体が言う事を聞かないため、キッチンに立つことができないのです。うつ病でぼーっとして頭が働かないために、毎日献立を考えることが困難になる人もいます。

このような状況になると、スーパーででき合いの惣菜を選んだり、温めるだけで食べられる加工食品を買って食べたりする生活になってしまいます。3食をコンビニのお弁当やサンドイッチ、菓子パンで済ませてしまう人もいるでしょう。

しかし、こうした食品ばかりを食べていては、カロリーや糖質の摂取が過剰になり、体に脂肪がつきやすくなります。

また、加工食品には防腐剤や着色料、酸化防止剤などの食品添加物が含まれています。こうした食品添加物は、腸内細菌に悪影響を及ぼすことが実験で確認されています。

例えば食品添加物の1種であるソルビン酸は、出来合いの総菜パンやハム、ソーセージなどの加工肉に添加される物質です。ソルビン酸には細菌やカビの発生を抑える働きがあり、加工食品の質や味を保つのにとても便利な化学物質であるため頻繁に用いられます。

しかし、私たちがソルビン酸を長期間食べると、腸内細菌の増殖が抑えられてしまいます。その結果、腸内に住む腸内細菌の数が減ってしまいます。すると、腸の中で働いてくれる菌が少なるので腸の機能は低下します。

腸内細菌の1種である善玉菌(ぜんだまきん)は、食べ物の残りカスや老廃物、細胞の死がいを肛門まで運ぶ運動を活発にしてくれます。しかし善玉菌が減って腸が働かなくなると、この運動機能が低下して便が詰まるため便秘になります。

便秘になることで体の老廃物や毒素が抜けないため、腸は最適な状態で働くことができなくなります。すると、食べ物から取った栄養素を消化・吸収し、新しい細胞に入れ替える機能が低下します。その結果、エネルギーを消費して活動を行う代謝量が落ちて痩せにくい体になってしまいます。

幸福感をもたらす甘い物に中毒になってしまう

さらに、うつ病で気分がふさぎこんでいるとケーキやクッキー、チョコレートなどの、甘い物ばかりを食べるようになる人もいます。度重なるストレスやうつ病で甘いものが欲しくなってしまう原因にはさまざまなものがありますが、その理由のひとつに「脳で働く物質が不足するのを補う」ことが知られています。

脳にはセロトニンという物質が存在しており、セロトニンには気分の安定や心地良い眠りを引き出し、ストレスを軽減する作用があります。そして、砂糖を食べてその甘い味を舌で感じると、幸福感や安らぎを感じるセロトニンが脳内で作られやすくなることが知られています。

うつ病の人は幸せな気分や快感を求めて、甘い物を欲しくなってしまう傾向が高くなります。しかし、砂糖や人工の甘味料には中毒性があり、一度食べてしまうともっと欲しくなってしまう危険性があります。すると、摂取するカロリーはますます増大してしまいます。

運動不足でエネルギーを消費できない

うつ病で引きこもってしまうと、最低限の外出しかしなくなってしまいます。

買い物に出かけたり、違う街に遊びに行ったりする機会も減り、定期的にジムに通って運動をすることもなくなります。自宅で過ごすときはテレビやDVDを見たり、スマホをいじっていたりすることが多いため、体を動かしてエネルギーを消費することはなくなります。

うつ病の人では、往々にして朝と夜が逆転した生活になっているため、夜中にインスタントラーメンやレトルト食品を食べて、そのまま朝方に寝る生活を繰り返すことになりやすいです。夜に不健康な食事を取ることに加え、カロリーを消費する活動をしないまま再び寝てしまうので体重は増えてしまいます。

また、私たちの体は、夜に副交感神経(ふくこうかんしんけい)が優位になります。副交感神経は自律神経のひとつで、気分がリラックスしてゆったりとくつろげる作用をもたらし、落ち着いて睡眠が取れるように働きます。

副交感神経が優位だと食べ物は胃や腸でスムーズに消化・吸収されます。ただ、人間が眠りにつく夜はもともとエネルギーの消費量が低い状態になっています。

うつ病によって生活のリズムが崩れて夜更かしをすると、夜中に食事をすることが多くなります。すると、カロリーが燃やされずに太ることになってしまいます。

生活習慣を見直して体重を減らす

うつ病で自宅療養中に生活リズムが狂ってしまったときは、なるべく太陽が出ている時間帯に起きるようにしましょう。近所を散歩したり、軽いランニングをしたり、ちょっとした買い物に出かけるようにして日光を浴びると体内時計が整えられます。

体内時計は睡眠や活動の周期を調節し身体のリズムを刻んでいるため、日光を浴びて体内時計の流れが正常になると、夜にしっかりと眠ることができるようになります。そして、規則正しい生活を送ってエネルギーが消費されるようになると、自然と体重は減っていきます。

また、食べるものを健康的なものに変えてみることも有用です。甘いものや糖質が多い食品を徐々に減らしていき、善玉菌を増やすような食事を意識して取るようにしましょう。

腸に良い働きをしてくれる善玉菌を増やすには、食物繊維が豊富な野菜や豆類、果物を積極的に取ったり、乳酸菌が含まれたヨーグルトやサプリメントを摂取したりするのが効果的です。

薬の副作用で体重が増加したときは医師に相談する

うつ病の患者のなかには、医師から抗うつ薬を処方されている人がいます。抗うつ薬は自分と薬との相性が良かったり、適量を効果的に用いたりすれば症状を軽減することができます。

しかし抗うつ薬の中には、体重を増加させる副作用を引き起こすものがあります。例えば、三環系のトリプタノールやSSRIのパキシルは、抗うつ薬の中でも特に太りやすい薬とされています。

うつ病の患者の脳では、神経伝達物質(しんけいでんたつぶっしつ)のセロトニンとノルアドレナリンが極端に少なくなっていると考えられています。神経伝達物質とは脳の細胞を行き来する物質です。この物質が細胞間に放出されて脳に電気信号が走ることで、感情や記憶、学習などの機能がコントロールされています。

抗うつ薬はセロトニンとノルアドレナリンの量を増やし、脳機能を活発にして症状を改善する薬です。

しかし抗うつ薬は、うつ病に直接関係のないヒスタミンなどの神経伝達物質に影響を及ぼすことがあります。抗うつ薬には「抗ヒスタミン作用」があり、細胞の表面にヒスタミンが結合するのを邪魔するように働いてしまうのです。

ヒスタミンには、食欲を抑える働きがあるといわれています。そのため、抗ヒスタミン作用がある抗うつ剤を使うと、ヒスタミンが働くのが邪魔されて食欲を抑えられなくなります。また、満腹を感じる脳の部位に対する刺激がなくなってしまうために、食欲が増進してしまうことも知られています。

抗うつ剤が原因で太ってしまったと感じる場合には、まず主治医に相談しましょう。副作用があまりにもひどい場合には他の薬に変えたり、処方量を見直して貰ったりするよう、自分で判断せずに医師の指示に従うのが基本です。

薬を処方される前に、その薬の効果や使用法、副作用が記載された「添付文書」に目を通しておくこととも大切です。副作用が生じたときに、どうやって対処したら良いのか事前に医師と相談しておくことは、うつ病の治療を進める上でとても役立ちます。

うつ病や便秘が原因で口臭が出るようになる

うつ病の人は体が常に緊張していたり、不安な気持ちを抱えていたりするため、心が穏やかに落ち着いてリラックスできないことがあります。神経が張り詰めた状態になっているため、唾液を出す働きが低下してしまいます。

唾液の量が減少してしまうと口の中に存在するバイ菌を殺すことができず、悪い細菌が増えてしまいます。その結果、歯周病や虫歯が発生してしまい口臭を生じさせることになります。

また、うつ病で食生活が悪くなると腸内細菌のバランスが乱れてしまいます。その結果、腸の機能が低下して便秘になりやすい体質になります。便秘になると体に排泄物が溜まり、そこから生じた悪臭が肺にまで達します。こうして、吐く息が臭うようになります。

うつ病で口臭が気になる場合は、唾液を出すように心がけ、食事の内容を見直してみましょう。

リラックスした気持ちになるように意識したり、食事の後に歯磨きをしたり、ガムを噛んだりすることで十分な唾液が出るようになります。また、食べる食品を変えることで腸内細菌のバランスを取り戻し、毒素を排せつして息が臭わないようにすることができます。

交感神経が優位になり、唾液が減少すると口臭が出る

うつ病で考え事や悩み事が多く、ストレスから抜け出せないと、体の機能を調節している神経にトラブルが生じます。口の中に出される唾液もそうした神経からの影響を受けることになり、唾液の量が少なくなることがあります。

口に出される唾液の量をコントロールしているのは、自律神経(じりつしんけい)です。自律神経とは、胃や腸の働き、心臓の拍動、代謝、体温の調節など、人間が生命を維持する上で欠かせない働きを担っている神経です。

自律神経には交感神経(こうかんしんけい)と副交感神経(ふくこうかんしんけい)があります。交感神経は、昼間目覚めているときや興奮しているときに優位になる神経です。

交感神経は唾液の分泌を調節しています。そのため心理的な問題を抱えていたり、不規則な生活をしたりしていると、唾液が少ししか出なくなることがあります。

唾液が少なくなると常に口の中が乾いた状態になるため、ドライマウスになります。すると、細菌や食べ物のカス、粘膜のカスが舌に付着したままになり、細菌のかたまりである「歯こう(歯垢)」もつきやすくなります。

唾液には口の中のばい菌を殺す作用があるため、唾液の量が少なくなると殺菌作用は弱まります。細菌が増えると歯周病、虫歯、口内炎になりやすくなります。こうした病気になると、菌が繁殖して口の中を清潔に保つことができなくなり、口臭が発生してしまいます。

唾液を出して口臭を改善する

唾液を出すためにはいくつかの方法があります。なるべくリラックスできるような生活を心がけて、交感神経よりも副交感神経を優位にさせましょう。ゆったりとした気分になると、緊張しているときよりも唾液が出やすくなります。

副交感神経を優位にさせるには、公園を散歩して自然に触れたり、ゆるやかな音楽を聞いたり、軽いストレッチや瞑想をする方法があります。生活のリズムを整えて日中活動するようにし、夜型から朝型にシフトすることで副交感神経が働くようになります。

これ以外に、食事の後に歯磨きやうがいをすると唾液が増えるので、口のばい菌を殺すことができます。また、食事の後に歯を磨くことで食事が完了した合図になり、ダラダラといつまでも食べ続けるのを防止することにもつながります。

また、小腹が空いたときに、お菓子やパンではなくガムを噛んでみるのもおすすめです。唾液を出す部分が活性化し、唾液がスムーズに出されるようになります。

口臭は腸内に溜まった毒素が原因

先にも述べたとおり、うつ病で引きこもりがちな人の食事パターンは悪い傾向にあります。食品添加物の多い加工食品や糖質が多く含まれた菓子、炭水化物ばかりを食べていると、腸の中に悪玉菌が増えて腸内細菌のバランスが崩れます。

その結果、腸の機能が低下して便を肛門まで運ぶ働きが弱くなるので、便秘になりやすくなってしまいます。便秘で体内に老廃物や毒素が溜まると、アンモニアなどの有害物質が血液を巡って肺から呼気として出ます。このため、自分のはく息は不快な臭いになります。

このように、便秘になると体重が増加するばかりではなく、口の中も臭うようになってしまいます。

うつ病の人は対人関係で問題を抱えていたり、周囲から自分がどう見られているかを必要以上に気にしたりする人が多いです。そのため自分の見た目が悪かったり、口が臭ったりしていると、外に出て人と話すことを苦しく感じてしまうようになります。

便秘を解消して体重を減らし、口臭がなくなれば、外出することや人と会うことに抵抗を感じなくなるでしょう。体の不調が治り、コンプレックスがなくなることで、外の世界に出ようとする気持ちも生まれ、前向きになれるはずです。

ちょっとの工夫で便秘を予防する

乱れた食生活で便秘になり、口臭が生じている場合は、食事を見直すことから始めてみましょう。

便秘を解消するには、下剤や便秘薬を使うのが手っ取り早いと思われがちです。しかし、長い間こうした薬を使い続けていると、薬に頼らなければ排便できない体になります。要は、薬への耐性を生じてしまうのです。

一番良い方法は食事や生活習慣を見直して、便秘に効く食べ物を積極的にとることです。うつ病で外出や家事が難しい場合には、今まで食べていたスナックや菓子パン違う食品に変えてみるのがお勧めです。

寒天やバナナやリンゴなどの食物繊維が多い食品はコンビニやスーパーで簡単に手に入れることができ、調理をせずに食べられることができます。乳製品にアレルギーがなければ、善玉菌を増やしてくれるヨーグルトや発酵した乳飲料であるケフィアを取るのも有用です。

料理をする気力があるときには、わかめがたっぷり入ったお味噌汁やおから、ゴボウ、こんにゃくなど、食物繊維が豊富な食材を調理して食べるようにすると、便秘を解消することができるようになります。

うつ病の治療中は、気分や体力のアップダウンが激しいときがあります。体調が良くて料理や買い物ができるときに、便秘を解消できる健康的なおかずを作り置きしておくのも良いアイディアです。楽しみながら、腸によい食事を作るようにしてみて下さい。