以前の自分は何事に対しても積極的で、目いっぱい頑張って楽しめるタイプだったのに、今はで興味や好奇心がわかなくなってしまったということはないでしょうか。または、仕事や家事をどうにかこなしている状態で、体力も気力も落ちているケースもあるでしょう。

こうなると朝はスッキリ起きられないし、一日中だるくて頭もぼーっとしたままです。要は、うつ状態になってしまっているのです。

自分はうつ病かもしれないけれど、家族や友人、同僚には知られたくないと思う人は多いです。このとき、ひとりで医者を受診することを考えるでしょう。しかし、病院ではうつ病が完全に治ることはほぼありません。

医者に通っても大量の薬を処方されるだけであり、うつ病が回復する見込みは極めて低いのが現実です。なぜなら、うつ病には複雑な原因がいくつもからんでいて、薬だけでは対処することができないからです。

なぜ私たちはうつ病になるのでしょうか。また、その原因は何なのでしょうか。これについて深く考えてみましょう。

病院に通っても、うつ病を治すことはできない

自分はうつ病かもしれないと考えたとき、真っ先に取る行動は、精神科や心療内科を受診して薬を飲み、一日も早く病気を治すことでしょう。そのため、「病院ではうつ病を治すことができない」と聞いても信じられないかもしれません。

今は、うつ病の兆候が出たらすぐに病院に行くような啓蒙活動が盛んにおこなわれています。この考えは国民に広く浸透しているため、「心の病気かな?」と思ったらとりあえず病院に行き、お医者さんから処方された薬を飲んで症状を改善するという考えが一般常識として定着しています。

しかし、そうした社会的常識をくつがえす事実があります。それは、うつ病が薬で治るという科学的根拠は今のところ存在しないということです。衝撃的な事実ですが、この事実は精神科や心療内科の医師であれば全員が知っていることです。うつ病が薬で完璧に回復することは信ぴょう性が疑わしいのです。

薬を飲んでもうつ病がよくならない理由

薬というのは、一時的に症状を和らげたり、軽減させたりするための対処療法に過ぎません。つまり、うつ病の真の原因に迫った治療法ではないのです。場合によっては、長期間飲むことによって徐々に薬の効き目がなくなってきたり、強い副作用を生じたりするケースもあります。

こうした事実があるため、うつ病に対して薬を安易に用いることへの疑問は医師などの専門家の間でも根強く残っています。

実際、現役のお医者さんの中には、何種類もの薬を長期間にわたって大量に摂取することの危険性やデメリットについて、ウェブサイトや書籍などさまざまな媒体を通じて発信している人もいます。

うつ病の患者の中にも、効き目がないことを実感する人がいます。また、強い副作用に苦しんだ経験をしている人が多いことから、薬の有効性に異議を唱える人も大勢います。

インターネットで検索したり、街の書店に行ったりすれば、「うつ病に薬は効かない」と論じる記事や書籍を山のように見つけることができます。それにも関わらず、一般的な病院やクリニックで抗うつ薬が使用され続けているのが現代の日本社会ですが、それは一体どうしてでしょうか?

明確な根拠はわからないが薬は使用される

多くの抗うつ薬が使用される理由としては、「明確な根拠はわからないものの、多少なりとも効果がみられるため」というのが、精神病院や診療内科で働く大半の医師たちの本音です。

それだけではありません。うつ病に使用される薬を製造、販売している製薬会社もまた、自社の薬の限界を深く認識しています。

例えば、ジェイゾロフト(一般名:セルトラリン)という有名な医薬品の添付文書(使用上の注意や効果・効能を記した文書)には、うつ病に対する有効性を調査した結果、改善率は55.7%に過ぎなかったことが明記されています。

つまり、2人に1はうつ病への効き目がなかったことを、自ら認めているのです。また、サインバルタ、リフレックス、パキシルといった、うつ病の患者に頻繁に処方される薬を使用しても、60%以上の高い割合でうつ病が再発してしまうとう報告があります。

しかし、こうした都合の悪い事実とは裏腹に、製薬会社には「抗うつ薬を売りたい」という強い動機があります。製薬会社にとって抗うつ薬のような精神病の薬は、収益性が高くとても儲かる製品だからです。

製薬会社は効き目が疑わしくとも、強い副作用があろうとも、うつ病の一部の患者にとって効果が出ているデータを頼りに「うつ病は抗うつ薬で治療しましょう」と大々的な宣伝活動を行っているのです。その結果、病院には自動的にうつ病の患者が集まってきます。

そうして医師たちは限定的にしか効き目がないとわかっていても、他に有効な手段がないため、抗うつ薬を処方せざるを得なくなります。このような悪循環が生じることで、うつ病の患者は何種類もの薬を長期間にわたって服用することになり、際立った効果が得られなくても薬を中断することができなくなります。それどころか、人によっては著しい副作用の被害を受ける場合もあります。

医師も製薬会社も、「薬でうつ病が治ります」とは言えません。彼らが言えるのは、せいぜい「薬によって体の異常を改善できる可能性がある」という程度のことなのです。

うつ病が発症するメカニズムは解明されていない

自分がなぜうつ病になってしまったのかを知るためには、その発症メカニズムを知っておく必要があります。うつ病は心の病気だといわれますが、実際のところ感情や意欲は脳で判断します。そのため、うつ病は脳に異常が起こったことにより発症したと考えることができます。

私たちの脳の中にはたくさんの神経細胞があります。細胞と細胞の間で電気信号が伝わることで、嬉しさや楽しさ、怒りや苦しみなどの感情が沸き起こります。この細胞間の電気信号をコントロールしているのが「神経伝達物質(しんけいでんたつぶっしつ)」と呼ばれるものです。

脳内神経伝達物質にはドーパミンやノルアドレナリン、セロトニンがあります。そのうち、うつ病に深く関わっているとされるのがセロトニンです。

セロトニンは感情の波が激しく動くのを抑制することで、精神状態を安定化させます。さらには、幸福感をもたらすといわれています。セロトニンが十分にあることで呼吸や思考が落ち着き、リラックスした気分になれます。また、セロトニンを材料にして、睡眠に関わる物質のメラトニンが作られるため、寝つきをよくし、熟睡するためにも欠かせない物質です。

脳の中でセロトニンが極端に少なくなることが、うつ病が起こる原因の1つと考えられています。しかし、これはあくまでも仮説にしか過ぎません。ある研究結果からは、「セロトニンの減少とうつ病に関連性はない」とするレポートが公表されています。脳内のセロトニン不足がうつ病に決定的な影響を及ぼすという研究結果は得られていないのです。

うつ病に深く関わるストレス

脳で作られるセロトニンの不足が原因でうつ病になってしまうかどうかは、専門家の間でも見解が分かれるところです。

しかし、うつ病をはじめとした心の病気が生じる背景に、外部環境のストレスが存在することは疑いのない事実でしょう。私たちの日常に目を向けてみると、あらゆるストレスに囲まれていることは一目瞭然です。

  • 職場や学校、家庭での人間関係に悩んでいる
  • 仕事が忙しすぎて休養が取れない
  • 職場で大きなミスをしてしまう
  • リストラされ、失業した
  • 金銭的・経済的な問題を抱えている
  • 転職や転勤で生活環境が劇的に変化した
  • 結婚、離婚、出産、子供の受験、介護、大切な人の死

日常生活を取り巻くあらゆる出来事がうつ病の引き金になります。こうした出来事の中には、他人から見ると喜ばしいものやおめでたいと思われることも含まれます。

昇進や結婚、出産は心に負担をかけるようなイベントには見えません。むしろ、人生をより豊かに楽しくしてくれるものに映ります。しかし、本人にとってはストレスになっていることもあるのです。

例えば、会社で努力や実績が認められ、課長から部長に昇進したときのことを考えてみましょう。出世したことは素晴らしいことですが、今まで以上に仕事の量が増え、管理する部下の数も増えます。昇進に伴って責任やプレッシャーも増すので、職場で神経をとがらせる状況になります。

結婚や出産・育児などのライフイベントも同様です。新しい家族が増えたという喜びを感じられる反面、生活は大きく変化します。それが無意識のうちにストレスになっていることもあるのです。

特に出産を終えて子育てを始める女性は生活環境が一変します。24時間365日、子供の世話をするために自分の時間や好きなことを犠牲にしなくてはいけません。休む暇もないので体も心も疲れていくばかりです。このとき、家事や育児を手伝って貰ったり、悩みを打ち明けたりすることができる両親や友人がいれば負担は軽減されます。ところが、自分の両親や夫の両親、ママ友との付き合いそのものがストレスになっている場合もあるのです。

このように、私たちを取り巻く社会には心の重荷になるストレスが多く存在しています。ストレスが多ければ多いほど不安や心配、イライラ、怒りなどのマイナス感情が増えていきます。最初は小さなストレスだったのに、それが積み重なっていくことでうつ病を発症する可能性は高まります。

ストレスで体の機能が限界に達するとうつ病になる

私たちの体にはストレスに負けないためのさまざまな防衛システムが備わっています。しかし、ストレスが多すぎて困難や問題に対処する力が限界に達したとき、体の中ではさまざまなトラブルが発生します。

  • 「緊張や興奮をもたらす神経」と「安らぎや幸福感をもたらす神経」のバランスが崩れる
  • 腸の働きが低下して、食べ物の栄養素をきちんと消化・吸収できなくなる
  • 腸内に住む善玉菌の数が減るため、病原菌を殺す力が弱まり、腸内で作り出されるビタミンも減る
  • ストレスと闘うホルモンが出っ放しで脳の細胞がダメージを受けるため判断力や集中力が低下し、感情を上手くコントロールすることができなくなる
  • 血液中にあるブドウ糖の濃度が不安定になり、パニックや不安、怒りなどの突発的な感情が引き起こされる
  • 寝つきが悪く、眠りも浅くなるため疲労感が抜けず、体の機能を回復させることができなくなる

こうなると、生きていく上で必要な身体活動をスムーズに行うことができなくなります。また、病気と闘い、本来の健康を取り戻す抵抗力も衰えてしまいます。

人には病原菌やウィルスに攻撃されて病気になっても、体がひとりでに回復する「自然治癒力(しぜんちゆりょく)」と呼ばれる機能が備わっています。抵抗力が衰えるというのは、この自然治癒力が弱まってしまうということを意味します。つまり、体の状態が悪化してしまっても、自分の力では自分を助け出すことができなくなってしまうのです。

このように、うつ病は体の重要な機能が低下して体調が悪くなった上に、いつまでたっても精神的な辛さから解放されない状態がつくことで引き起こされてしまうのです。言い換えれば、うつ病は「心身の辛さに耐え切れなくなったために生じる病気」だといえます。

また、うつ病は薬だけで治すことは難しい場合が多いです。これまで述べてきたように、うつ病を引き起こす原因は特定されていません。うつ病の引き金となる体の不具合を考えてみても、神経や腸内環境、ホルモン、睡眠などたくさんの要素が複雑に絡み合っています。体の中で起きているトラブルのすべてを改善できる万能薬は存在しません。

うつ病にならないために私たちができることは、可能な限りストレスが溜まらないような生活をすることです。

そして、たとえストレスを受けてしまった場合でも、抵抗力や自然治癒力を高めることができれば、その被害を最小限に留めることができます。そのために、食事や睡眠、運動など基本的な生活習慣を整えると共に、上手なストレス解消方法を見つけることが重要です。