口内炎に悩まされた経験がある人は多いのではないでしょうか。

口内炎が突然できると、食事をするときや日常生活を送るときに痛みを感じたり、ゴロゴロとした違和感を覚えたりするため、とても憂うつな気分になりますよね。

冷たいものや熱いものを食べると、口内炎ができた部位が刺激を受けてヒリヒリするため、食欲も落ちてフラストレーションが溜まってしまいます。

残念なことに、口内炎は短期間で治る症状ではありません。そのため、病院に行けるのならばそれに越したことはありません。

しかし、大半の人は、忙しくて病院に行く時間がないために、市販薬の口内炎薬などを使ってどうにか自力で治そうとしているのが実情のようです。

口内炎ができてしまう原因として、ストレスやウイルス感染、偏った食生活足など様々なものがあります。そうした原因のひとつに「腸内環境の悪化」があります。

口は食道や小腸、大腸、肛門などの「消化器官(しょうかきかん)」の入り口にあたる部分です。そのため、腸が不健康になると、その影響が「入口」である口の中にも及んでしまうのです。

ここでは、腸内環境と口内炎の関係について解説していくと共に、口内炎を予防する方法について紹介したいと思います。口内炎が繰り返しできてしまうことに悩んでいる人は、参考にしてみて下さい。

口内炎の種類と口内炎ができるメカニズム

口内炎と一口に言ってもそれには様々な種類があります。

口内炎という症状は、「口の中や周辺の粘膜に起こる炎症の総称」のことを指します。したがって、口内炎には一様々な種類があるのです。

ここでは、口内炎の中でもメジャーなな4つの種類を紹介していきます。

アフタ性口内炎

アフタ性口内炎は口内炎の中でも最も主流の種類です。

「アフタ」というのは、皮膚粘膜の表面が灰色から黄白色に変色した5~6mm程度の潰瘍(かいよう)のことをいいます。これ以上大きなものは、単純に「潰瘍」と呼ばれます。

アフタ性口内炎は歯ぐきや頬の内側、舌など、口の中のあらゆる場所に発症します。

アフタ性口内炎の主な原因とされているのが細菌です。たとえば、頬の中に傷が出来たり、噛んだりしたときに、その患部に細菌が入り込むことでアフタ性口内炎が発症します。

傷以外にも栄養不足やストレスなどで、免疫力が低下しているときにも発症することがあります。

ヘルペス性口内炎

ヘルペス性口内炎はアフタ性口内炎と違い、ウイルスに感染することで発症する口内炎です。

「ヘルペスウイルス」というウイルスに感染することで、潰瘍や水ぶくれが発生します。それ以外に、発熱の症状を呈することもあります。

ヘルペス性口内炎は子どもが発症するケースが多く、痛みを伴う特徴があります。

カンジタ性口内炎

カンジタ性口内炎は、口の中に存在するカンジダ菌が増殖することで発症します。カンジタ菌はどんな人の体内にも生息する常在菌(じょうざいきん)の一種で、カビの仲間です。

通常、口の中にはカンジダ菌が生息しています。カンジダ菌はわずかな量だけ存在しているうちは悪さを働きませんが、異常に増えすぎると体にとって害を及ぼすようになります。

たとえば、舌や頬の内側に白い苔のようなものがついているのを見たことある人も多いと思います。これは、口の中に大量に発生したカンジダ菌であり、白い苔はカビが増殖している証拠です。

カンジダ菌は口全体に広がって付着します。そのカンジダ菌がはがれて出血し、炎症を起すことで口内炎が発症します。

カンジタ性口内炎は健康な人が発症するケースはほとんどなく、糖尿病や血液疾患、悪性腫瘍(あくせいしゅよう)などを患っている人など、「抵抗力の低い人」が発症するケースが多いとされています。

カタル性口内炎

カタル性口内炎は、主に物理的な刺激によって発症する口内炎の一種です。

自分の歯に装着している矯正器具などが粘液に触れたり、虫歯を放置したままにしたりして、「口の中が不衛生な状態」が長期間続くと発症します。

カタル性口内炎では、口の中の粘膜が赤く炎症したり、白くただれたりするなどの症状が現れます。

カタル性口内炎の痛みは強くないですが、「口臭が臭くなる」、「熱を感じる」、「味覚が鈍る」などの症状が出現することがあります。

口内炎を市販薬で治そうとしている人が多い

口内炎が出来てしまった場合、最も賢明な対処法は病院に行くことです。

しかし、仕事が忙しいなどの要因で中々病院に行く暇がない場合は、市薬品を購入して急場をしのぐ人が多いです。口内炎が小さく、痛みがそれほどひどくない場合は、口内炎をそのまま放置してしまう人もいるでしょう。

こうした対処療法では、いつになっても口内炎を根絶することはできません。

病院から処方された薬や市薬品を使って口内炎を治すのは対処療法にしか過ぎないため、乱れた生活習慣を続けていけば再び口内炎が発生する可能性が高くなります。

口内炎が発生してしまう原因は、ストレスや栄養不足、睡眠不足などの生活習慣が深く関係しています。そして、この中でも、口内炎を発生させる諸悪の根源となっているのが「腸内環境の悪化」です。

よって、腸内環境を改善して口内炎ができにくい体づくりを行うことが、口内炎の予防する近道になります。

では、どのようにして口内炎ができにくい体質に変えていくことができるのでしょうか。次章で詳しく見ていくことにしましょう。

腸内環境が悪化すると口内炎になりやすい

口内炎を予防するには、私たちの腸内環境を整えることが大切です。なぜ口内炎予防に腸内環境が関わってくるのかというと、「腸には7割以上の免疫細胞が集まっている」からです。

私たちの腸管に存在する免疫細胞は、口内炎の原因となる病原菌などの細菌やウイルスの侵入を防いだり、排除したりする働きを担っています。

また、腸内では、私たちの健康を維持するために欠かせないビタミンB群を作っています。ビタミンB群には、粘膜(ねんまく)を形成する細胞の代謝を上げてくれる働きがあります。

そのため、腸内環境が悪化して体内でビタミンB群が不足すると、口がただれたり、口内炎ができやすくなったりしてしまうのです。

腸内を酸性にする善玉菌

私たちの腸内には大きく分けて3種類の細菌が生息しています。善玉菌(ぜんだまきん)、悪玉菌(あくだまきん)、日和見菌(ひよりみきん)です。これらをまとめて腸内細菌(ちょうないさいきん)といいます。

善玉菌は、私たちの健康的な生命活動を支えるのに有益な働きをしている腸内細菌です。善玉菌には、ビフィズス菌や乳酸菌などの種類があります。

善玉菌は免疫の活性化して感染を防ぐ役割を担っており、腸内環境を整えるのになくてはならない細菌です。

善玉菌には、「腸のpH(ピーエッチ)値を弱酸性にする特徴」があります。pHとは、体内が酸性になっているか、アルカリ性になっているかの度合いを表すのに用いられる数値です。

pHには0から14までの数値があります。「pH7」が中性で、7より数値が小さいと酸性が強くなり、7より数値が大きいほどアルカリ性が強くなります。

腸内は善玉菌が増えると弱酸性になり、悪玉菌が繁殖しづらくなります。善玉菌が増えることで、腸の働きが良くなり、良好なコンディションを保つことができるようになります。

善玉菌によって強化される免疫システム

善玉菌は、「腸内に集中する免疫細胞を活性化する働きをもつ」ことが知られています。免疫細胞は、体内に侵入した病原菌を攻撃して、体の外に排出する「免疫システム」として機能します。

この免疫システムが適度なバランスで働くようにコントロールしているのが善玉菌です。

腸内の善玉菌が増えて免疫システムが強化されると、ウイルスや細菌などの病原体にも負けない免疫力を養うことができます。ストレスにも太刀打ちできるようになるため、丈夫な体を維持することが可能になります。

悪玉菌が増えると下痢や便秘になり、免疫力が低下する

善玉菌とは対照的に、悪玉菌は増えすぎると私たちの健康を損ねます。悪魔だ菌は腸内で有害物質を作り出し、その有害物質によって腸の壁を形成する細胞が傷つき、腸の働きが弱められてしまいます。

悪玉菌の代表的な種類には、大腸菌やブドウ球菌といったものがあります。

腸内に悪玉菌が増えてしまうと、胃や小腸に入った食べ物がきちんと消化されないまま大腸に運ばれます。悪玉菌は大腸にやってきた「未消化のタンパク質」を腐敗させることで有害物質を発生させます。

悪玉菌によって腸の働きが弱まり、また、腐敗したタンパク質から有害物質が生じると、下痢や便利になりやすくなります。

特に、便秘になると、便が体内に長期間滞留してしまうことになります。その結果、体内に留まった老廃物がさらに悪玉菌を増やしてしまい、そこから毒素が生み出されるという悪循環に陥ってしまいます。

悪玉菌で満ちてしまった腸には、ごく少量の善玉菌しか生息していません。そのため、免疫力が低下したままになり、ウイルスや病原菌が体内に簡単に侵入してしまいます。人によっては、些細なストレスにも耐えられなくなってしまうことがあります。

感染やストレスに抵抗することができないため、口の中に口内炎ができやすくなってしまうのです。

腸ではビタミンB群を合成している

腸内ではビタミンB群の生成も行っています。

ビタミンB群というのは人体にとって重要な栄養素の一つです。ビタミンB群は炭水化物、脂肪、タンパク質という「3大栄養素」を規則正しく消化・吸収するのをサポートしているため、健康的な体を維持するには欠かせない栄養素なのです。

腸内環境が悪化し、腸で生成されるビタミンB群が減少してしまうと、口内炎が生じやすくなります。ビタミンB群には皮膚の細胞分裂を入れ替えたり、タンパク質の合成を促して髪や筋肉、口や歯ぐき粘膜(ねんまく)を新しく作る役割があるからです。

そのためビタミンB群が極端に不足してしまうと、肌荒れや髪のパサつき、薄毛、口の渇き・乾燥(ドライマウス)など起こりやすくなってしまいます。

つまり、腸内環境が乱れたことでビタミンB群が作られなくなると、口内炎以外にも様々な健康被害が生じてしまうのです。

肌荒れしやすくなったり、髪のパサつきが気になりはじめた場合、これらの不調が「体内のビタミンB濃度が低下しているサイン」であったり、「口内炎のできる予兆」であったりする可能性があります。

口内炎が出来る前に、こうした体調不良を抱えていないか、体調管理のバロメーターとして観察することは有用です。

腸内環境を改善して口内炎を予防しよう!

これまで説明してきたように、悪玉菌が増加して腸内環境が乱れると病原菌に感染しやすくなったり、粘膜細胞の代謝が低下したりするため、口の中が炎症して口内炎が起こりやすくなります。

こうした状況を回避するためには、腸内を善玉菌で満たして腸内環境を改善させるのが有効です。善玉菌が増えて腸内環境が整うことで免疫力が向上し、口内炎ができてしまうのを防ぐことが可能になります。

また、腸内でビタミンB群や酸性物質が十分に生産されるようになると、口内炎を予防することのみならず、便秘や下痢、肌荒れ、髪のパサつきといった、様々な体調不良をも改善することができるようになります。

では、具体的にどのようにして善玉菌を増やせば良いかを見ていくことにしましょう。

善玉菌を増やして免疫力を高める

一番簡単な方法は、ビフィズス菌と乳酸菌を意識して摂取することです。

乳酸菌は糖を分解して乳酸を作り出します。また、ビフィズス菌は、質を分解して乳酸と酢酸(さくさん)を作り出します。

これらの酸性物質が生成されることで、腸内を酸性に保つことができるようになります。その結果、悪玉菌や病原菌の増殖を抑えることが可能になります。

また、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が免疫システムを活性化するため、ウイルスなどの病原菌から体を守ることにも繋がります。

ストレスによって免疫力が低下することもなくなり、口内炎の原因となる、細菌感染も未然に防ぐことが可能になります。

便秘を解消して口内炎を改善する

便秘の人は、腸内細菌が「悪玉菌優勢」の状態になっているため、規則正しいぜん動運動が行われていません。そのため、食事をしたり、水分を摂ったりしても、便意をもよおさなくなってしまうのです。

このようなとき、ビフィズス菌と乳酸菌は「便秘を解消」するのにも大変役立ちます。

ビフィズス菌と乳酸菌が分解されることで生じた「酸性物質」は、腸を刺激することで、ぜん動運動を促してくれます。ぜん動運動とは腸内の内容物を肛門まで運ぶ動きのことです。

ぜん動運動が再び行われるようになった結果、「トイレに行って排せつする」という体に備わっていた解毒機能を取り戻すことができるようになります。

ビフィズス菌と乳酸菌を摂取するための方法

善玉菌の1種であるビフィズス菌や乳酸菌を摂取するためには、普段どういったものを食べればいいでしょうか。

一般的に推奨されているのはヨーグルトです。ヨーグルトには、ビフィズス菌や乳酸菌が豊富に含まれています。

しかし、市販のヨーグルトのうち、一般的に流通しているものはビフィズス菌が含まれていないものが大半です。

善玉菌を増やすためには乳酸菌を摂取するだけでもいいのですが、乳酸菌には乳酸を作り出す効果しかありません。腸内を酸性に保つためには、乳酸と酢酸を生み出すビフィズス菌も一緒に摂取したほうが効率的とされています。

そこで、ヨーグルトを摂取する場合は「ビフィズス菌」も入っているヨーグルトを選ぶようにしましょう。

たとえば「ビフィズス菌BB536株」は胃酸や消化酸素に強いため、「生きたまま大腸に到達する」とされています。ヨーグルトからビフィズス菌を摂取したい場合は、こうした表示があるものを選んでみるというのも一つの手です。

ヨーグルト以外に善玉菌を増やす食べ物として、バナナや牛乳などのオリゴ糖が豊富に含まれている食品もお勧めです。オリゴ糖は善玉菌の栄養源となり、増殖を促す効果があります。

オリゴ糖が豊富に入っている食品は大豆や玉ねぎなどの豆や野菜類、ハチミツなどです。バナナやきな粉にもオリゴ糖が含まれています。バナナやきな粉を、ヨーグルトに混ぜて食べると、ビフィズス菌、乳酸菌、オリゴ糖を一緒に摂取することができます。

また、スーパーには、粉末状や液状のオリゴ糖も売られています。料理の際に「みりん」や「砂糖」の代わりにオリゴ糖を使うことができます。

このように、オリゴ糖を日常的に摂取することで、腸内の善玉菌を増やすことが期待できるでしょう。

ここで注意しなくてはいけないのが、オリゴ糖の摂取です。オリゴ糖を摂取しすぎると、体内で余ったオリゴ糖などの糖分を栄養源として、悪玉菌が増えてしまうリスクが高まります。オリゴ糖を摂取する時は、1日2~20グラム程度に抑えるのがよいとされています。

今回の記事で述べてきたように、「善玉菌を増やすことにより腸内環境を整える」ことができれば、腸内の免疫力を高めることができます。すると、口内炎ができにくい体質に生まれ変わることができます。

それに加え、腸内環境を整えることは、感染症の予防や便秘の解消をすることにも繋がります。

ビフィズス菌や乳酸菌が含まれたヨーグルトを意識して摂取すると共に、必要に応じてオリゴ糖を加えてみるなど、小さなことから取り組んでみて下さい。