花粉症の人にとって、春から初夏にかけての季節は、最も辛いシーズンです。花粉はとても小さいため、目や鼻、口などから容易に体内に入り込んできます。特に、都会ではオフィスビルやコンクリートで舗装(ほそう)された道路が多いため、花粉が土や池などに吸収される場所が少ないです。そのため、植物の花粉が風に乗って大量に飛散して体内に入り込み、花粉症になりやすくなります。

花粉症の最も効果的な対処法は、あなたが反応する植物の花粉に触れないようにすることです。しかし、通勤や通学、子供の送り迎え、買い物、レジャーなど、毎日の生活で外出しなければならない場面はたくさんあり、自宅に閉じこもってばかりいることは不可能です。

そこで、外出しなくてはいけないときは、なるべく花粉症の症状が抑えられるように、マスクやメガネなどを装着して、花粉症対策をしっかりと行いましょう。こうすることで、花粉が体内に入り込んでしまうのを、ある程度防ぐことができます。

また、花粉症を和らげるための手段として、日頃の食事を見直し、腸内バランスを整えるよう検討する方法があります。花粉症と腸内環境は関係のないことのように見えますが、深い関係があることが証明されています。

近年実施された研究結果から、「腸内環境を改善することで過剰になっている免疫システムが正常化され、花粉症の予防や症状の軽減につながる」ことが分かっています。

花粉症は免疫システムのバランスが崩れたことによって生じる病気です。腸内環境を整えて免疫システムを正常な状態に戻し、花粉症が起こりにくい体質へと改善していきましょう。

花粉症が発生するメカニズム

花粉症はどうして起きるのでしょうか?同じ環境にいる人でも、植物の花粉に対して過敏に反応してしまう人と、何の症状も起さずに快適に過ごすことができる人がいます。この違いは何なのでしょうか?

ここでは、花粉症が発症する仕組みについて簡単に説明したいと思います。

花粉症は過剰なアレルギー反応が原因

スギやカバノキ、ヒノキなどの樹木の花粉を吸ったとき、私たちの体は花粉を「異物」と認識します。

こうした異物を、アレルゲンや抗原(こうげん)と呼びます。そして、アレルゲンが体内に入ってくると、体内では抗体(こうたい)と呼ばれるタンパク質分子を作ります。抗体は、体内にアレルゲンや病原菌、ウイルスなど、体にとって悪さを働く物質が侵入してきた際に、いち早く敵の状況を察知して、体の外に排除するように働きます。

このように、体外から侵入した異物や危険物質から体を守る仕組みを免疫反応(めんえきはんのう)といいます。そして、何らかの原因によって免疫反応が過剰になることをアレルギー反応といいます。

本来、花粉は人体にとって無害なものです。しかし、花粉が異物(アレルゲン)だと認識されると、私たちの体に備わっている免疫システムは、花粉をすぐに体の外に出そうとします。そのために、せき、くしゃみ、鼻水などが発生します。

つまり、花粉症は「無害に花粉に対して過剰なアレルギー反応を起こしてしまった結果、生じる病気」といえます。

さて、免疫システムが働いて、花粉を敵とみなして撃退する仕組みを詳しく見ていきましょう。

花粉症が体の中に侵入してくると、白血球の一種であるヘルパーT細胞(Th2)がマクロファージ(貪食細胞:どんしょくさいぼう)から「花粉が侵入してきた」という情報を受け取ります。

その後、ヘルパーT細胞は、同じく白血球の一種であるB細胞に対して、「敵を捕まえろ」という命令を下します。すると、B細胞からIgE抗体(あいじーいーこうたい)が生産されます。

IgE抗体は、肥満細胞(ひまんさいぼう)の表面に結合します。そして、アレルゲンである花粉が再び体内に侵入して肥満細胞の抗体に結合すると、肥満細胞は刺激を受けてヒスタミンという化学物質を放出します。ヒスタミンによって、せき、くしゃみ、鼻水、目のかゆみといった症状が出ます。

せきやくしゃみが増えたり、鼻水や涙などの液体を出したりすることで、体内にある花粉を洗い流し、外に捨てようとします。

ヒスタミンは、外敵と見なされた花粉を体の外に排除するために機能しますが、ヒスタミンが過剰に分泌されると、くしゃみや鼻づまりなどの症状がひどくなり、結果的に私たちの体自身にも害を与えてしまいます。

花粉症を引き起こす植物とは

春にはスギやヒノキ、初夏にはイネ、秋にはブタクサ、ヨモギなど、季節によって様々な種類の花粉が花粉症の原因となります。中でも日本人の花粉症の80%以上を占めるのは「スギ花粉症」です。

スギ花粉の量は前年の夏の気象条件によって変動します。高温で晴天率が高かった夏の翌年の春には、大量に花粉が飛びます。花粉の季節には天気予報を確認して、花粉の多い日はメガネやマスクをつけたり、花粉の落としやすい生地の服を選んだりするなど、花粉症が悪化しないよう事前に対策を立てましょう。

そうすることで、花粉症による被害を最小限に留めることができます。

日常生活に多大な影響を及ぼす花粉症

花粉症の人にとって悩ましいのは、くしゃみや鼻づまり、熱などの症状のせいで、仕事や家事、勉強など、目の前にある作業に集中できなくなる点です。

加えて、花粉症の症状が夜も続くと、寝つきが悪く、ぐっすりと熟睡できずに、朝になっても疲労感やだるさが抜けません。寝不足のために日中は頭が冴えず、やる気や活力が落ちてしまう人もいます。

お花見やピクニックなど、春や初夏のレジャーも楽しめなくなったり、外出することもためらったりしてしまいます。

このように、花粉症になると、くしゃみや鼻水といった直接的な症状以外にも、様々な面で日常生活に影響が出てしまいます。

花粉症で用いられる薬

一般的に花粉症の症状を抑えるためには、アレグラFXやストナリニZなどの、アレルギー性鼻炎の症状緩和を目的とした市販薬(OTC)が使用されることが多いです。

病院を受診した場合は、「第二世代抗ヒスタミン薬」が処方されることがあります。目のかゆみがひどい場合は、「抗アレルギー成分」の入っているインタール(一般名:クロモグリク酸ナトリウム)が出されます。

特に症状が悪化した場合は、ステロイド剤が処方されることがあります。ステロイドとは炎症やアレルギー反応を抑える作用を持つ、人工のホルモン剤です。

ステロイドは効き目がとても強く、切れ味の鋭い薬です。ステロイドを長期間使用すると、人によってはニキビや湿疹(しっしん)ができることがあります。ステロイドを用いる場合には、医師の指示に従い、正しい方法で適量を使用することが大切です。

花粉症の薬を服用する場合の注意点

花粉症の薬には、ヒスタミンを抑える作用を持つものがあります。こうした薬を抗ヒスタミン薬といいます。

ヒスタミンが放出されると、細胞の表面にあるH1受容体(えいちわんじゅようたい)に結合します。ヒスタミンが受容体に結合すると、くしゃみや鼻水、かゆみ、じんましんなどのアレルギー症状が出ます。

つまり、ヒスタミンが受容体にはまりこむと、鍵が鍵穴に入り込んだ状態になり、花粉症の症状が出るスイッチが「オン」になってしまうのです。

抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンが受容体にはまり込むのを邪魔することで、アレルギー症状を出さないように設計された薬です。

ただし、抗ヒスタミン薬には副作用(ふくさよう)があります。主に眠気や集中力・判断力の低下、だるさといったものが有名です。

抗ヒスタミン薬は、鼻の粘膜細胞にあるH1受容体にヒスタミンが結合しないようにブロックするのと同時に、脳の細胞にあるH1受容体にヒスタミンが結合するのを邪魔します。その結果、正常な脳の活動に支障が出て、頭の働きが鈍くなってしまうのです。

車の運転や機械の操作を行う人や大事な仕事や試験を控えた人が、抗ヒスタミン薬を飲む場合は注意が必要です。

眠気が出にくい第二世代抗ヒスタミン薬

眠気を引き起こしにくい薬として、「第二世代抗ヒスタミン薬」という選択肢があります。この薬は、1983年以降に発売されたものです。1983年以前の薬と比べると、第二世代抗ヒスタミン薬は、眠気などの副作用を起こしにくい性質を持っています。

第二世代抗ヒスタミン薬として、アレグラ(一般名:フェキソナフェナジン塩酸塩)やクラリジン(一般名:ロラタジン)などが処方される場合があります。また、第二世代抗ヒスタミン薬は、市販薬としても購入が可能なタイプがあります。

第二世代抗ヒスタミン薬は、服用してから効果が安定するまで2〜4週間ほどかかります。そのため、天気予報などを把握して、花粉が飛散する2週間ほど前から服用し、飛散が終わるまで薬を飲み続けます。

第二世代抗ヒスタミン薬の服用方法に関しては、医師や薬剤師に相談しましょう。

生活を工夫して花粉症の症状を軽減

手軽にできる花粉症対策として、衣類についた花粉を落としてから室内に入る、外出時は帽子やマスク、メガネをつける、などの工夫が挙げられます。

また、最近は花粉を取り除くことができる、高性能の空気清浄機が販売されています。購入費や電気代のコストはかかりますが、花粉症で体が辛いという場合は、家電の力に頼ってみるのもひとつの案です。

ライフスタイルや予算を考慮して、自分に合った花粉症対策を行ってみて下さい。

花粉を防ぎ、着いた花粉を落とすコツ

花粉症の人の必需品は何といってもマスクです。様々な効果をうたった花粉症のマスクが販売されています。その中で「PM2.5に対応したマスク」は、花粉症の人にも効果が期待できるようです。

PM2.5は花粉より小さい粒子であるため、PM2.5に対応したマスクは、花粉の防御効果が高いといえます。

また、外で着用するコートは、花粉を落としやすいツルツルとしたポリエステルや撥水加工(はっすいかこう)がほどこされた素材のものをお勧めします。

自宅で洗濯できるタイプのコートも売られています。デパートやインターネットの通販サイトには、花粉が付きにくい「花粉症に対応したコート」を売っているところがあります。

コート以外に、マフラーやストール、手袋、帽子などを着用した場合は、自宅の玄関に入る前に、外で花粉やホコリを振り落としてから室内に入るようにしましょう。外で着用した衣類や小物を「コロコロクリーナー」(粘着テープの付いたローラーを転がすことで、衣類についたホコリや毛玉などを取り除く道具)を使って取り除くと、花粉の取りこぼしもありません。

帰宅後すぐに、うがいや手洗い、洗顔、鼻うがいを行うと、体に付着した花粉を洗い流すことができます。皮膚に付着した花粉を、水で丁寧に洗い流しましょう。鼻うがいをする場合は「ネティーポット」(鼻穴を洗浄するための専用具)を使うのがお勧めです。

自宅でできる花粉症対策

できるだけ室内に花粉を入れないために、窓やドアはきっちりと閉めて、布団は室外で干さずに布団乾燥機などを使いましょう。

また、シャワーを朝浴びる習慣のある人は、花粉の季節だけは寝る前にシャワーを浴びて、髪の毛や体についた花粉を洗い流してから布団に入るようにするといった工夫をしましょう。

自宅の中に、空気清浄機を設置することでも花粉症の症状を抑えることができます。部屋の空気が綺麗になり、室内で花粉症に悩まされることが少なくなるようです。

食事からのアプローチが花粉症に有効

普段の食事を見直すことでも、花粉症を和らげることができます。アレルギーに効果的な栄養素を摂取することで過剰になった免疫反応のバランスが整い、花粉症をはじめとしたアレルギー症状が軽減されることが様々な研究から示されています。

ここではそうした栄養素とその働きについて説明していきます。

花粉症の人が積極的に食べるべき食品

花粉症の人は、体内の免疫システムが過剰になった結果、全身のあちこちで炎症が生じています。花粉症を軽減するためには、過剰になった免疫システムのバランスを回復し、炎症を抑えることがポイントになります。

また、花粉症の症状の原因であるヒスタミンの分泌を抑制したり、分解したりする食品も、花粉症の軽減に一役買ってくれるようです。

青魚
DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)を含むサバやイワシなどの青魚は、アレルギーによる炎症を抑える効果があります。

青魚などに含まれるDHAやEPAは、オメガ3系脂肪酸と呼ばれます。オメガ3系脂肪酸は、オメガ6系脂肪酸であるアラキドン酸を抑制する働きがあります。

オメガ3系とオメガ6系の脂肪酸は、共に多価不飽和脂肪酸(たかふほうわしぼうさん)の一種ですが、それぞれ反対の働きをします。

オメガ6系のアラキドン酸は、リノール酸から合成される物質です。リノール酸は、ベニバナ油、コーン油、ゴマ油などに含まれ、アラキドン酸は、肉や卵、菓子、加工食品などに含まれています。

現代人の食生活では、オメガ3系脂肪酸のEPAやDHAに比べて、圧倒的にアラキドン酸の方が多い食事内容になっています。

オメガ6系アラキドン酸は、炎症を引き起こす物質を体内で作りだすため、免疫システムのバランスが崩れたり、アレルギー症状が悪化する引き金になったりすると考えられています。

花粉症などのアレルギー症状を強める原因となるアラキドン酸を控え、炎症を抑えるオメガ3系脂肪酸を摂取するようにしましょう。そうすることで、体内で炎症を引き起こす物質を作りにくくし、花粉症を和らげることが期待できます。

シソ
シソに含まれるα(アルファ)リノレン酸には、花粉症などのアレルギーを抑える効果があります。αリノレン酸は、オメガ3系脂肪酸のひとつです。αリノレン酸が含まれた油として、エゴマ油や亜麻仁油(あまにゆ)などが有名です。また、くるみやアーモンドにもαリノレン酸(オメガ3系脂肪酸)が多く含まれています。

大根
大根には、ジアスターゼという消化酵素(しょうかこうそ)が含まれています。ジアスターゼは、胃腸でデンプンの分解を促進するため、胃もたれや胸やけに効果があるとされています。

また、ジアスターゼにはヒスタミンを分解する作用があるため、ヒスタミンが過剰に分泌されている花粉症の人が摂取すると、花粉症を軽減する効果があるとされています。

しかし、ジアスターゼは熱に弱いという性質があります。そこで、大根を煮たり焼いたりするよりも、生で食べる方がより効果を感じやすいかもしれません。大根を食べるときには、青魚にたっぷりの大根おろしをかけて食べると、青魚に含まれるDHAやEPAも摂れるので、ダブルで効果が期待できます。

レンコン
レンコンに含まれているタンニンとカテキンが、アレルギーの症状を引き起こすIgE抗体の生産を抑制するといわれています。タンニンとカテキンは、ポリフェノールの一種で、体を酸化ストレスから守ってくれる働きがあります。

さらに、レンコンに含まれるムチンは、鼻の粘液を保護します。そのため、鼻の炎症(えんしょう)を抑え、鼻づまりを解消する効果があるとされています。

ショウガ
ショウガには、IgE抗体が体内で作られるのを抑えてくれる働きがあります。また、ショウガの辛味成分である「ショウガオール」には、ヒスタミンを抑制する効果があり、花粉症の改善に効果を発揮してくれます。

玉ねぎ
ポリフェノールの一種であるケルセチンが、花粉症の改善に役立つとされています。また強い抗酸化作用(こうさんかさよう)により花粉症の炎症を抑制してくれます。

花粉症の人が避けるべき食品

花粉症の人では、体内の免疫システムのバランスが崩れている以外に、不健康な食生活が原因で全身の細胞機能が低下している場合があります。すると、スギやヒノキなどの花粉以外に、ペットやハウスダスト、食品などの様々な物質に対しても、過敏なアレルギー反応を起こしてしまうことがあります。

加えて、細胞の機能が低下しているため、疲れやすくなったり、風邪を引きやすくなったりするなど、健康的な体を維持するのが難しくなってしまいます。

花粉症の症状を薬で抑えることはできますが、それではいつまでたっても対処療法(たいしょうりょうほう)を繰り返しているだけになります。体質改善も視野に入れた花粉症の根本的な改善を希望する場合は、「普段口にしている食べ物」にも意識を向けてみましょう。

もし、健康を損ねてしまうような食品を多く摂取していると感じた場合は、徐々に控えながら、自分の健康を増進させる食品に切り替えていきます。自分の体質がどう変わっていくかを観察し、花粉症をはじめとした体調不良が改善していくか様子をみていきます。

ここでは、「花粉症を悪化させる」といわれている食品の例を示しました。こうした食品を食べたときに花粉症がひどくなるかどうかは、個人差があります。もし、食べたあとに体調が悪化したり、花粉症がひどくなったりした場合は、その食品を避けるのが望ましいです。

悪い油を使った食品
トランス脂肪酸をたくさん含むファーストフードやスナック菓子、コンビニ弁当などは免疫を低下させるため、アレルギー症状を引き起こしやすいといわれています。

トランス脂肪酸とは、植物性の油脂を加工する時にできる人工の脂肪酸です。マーガリンやショートニング、ファットスプレッドなどに多く含まれています。ショートニング、ファットスプレッドとは油脂性の食品で、パンやケーキ、菓子などを作る際に使用されます。

トランス脂肪酸には、大量のリノール酸が含まれているため、体内でリノール酸からアラキドン酸へと変化し、体内で炎症を引き起こします。その結果、花粉症(アレルギー性鼻炎)やアトピー性皮膚炎、ぜん息などのアレルギー疾患が生じやすくなります。

また、トランス脂肪酸は悪玉LDLコレステロールを上昇させ、善玉HDLコレステロールを低下させるため、動脈硬化や認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病などの病気を引き起こす原因となります。

アルコール類
日本酒やビールなどのお酒には、アルコールが含まれています。アルコールは、肝臓でアセトアルデヒドという物質に分解されます。アセトアルデヒドは、すぐに無害な物質へと変化し、最後は炭酸ガスと水に分解されて、体の外に排せつされます。しかし、アセトアルデヒドが体内に残ってしまうと、二日酔いになってしまいます。

また、アセトアルデヒドは、体内のヒスタミンを増加させます。そのため、お酒を飲んでアセトアルデヒドが正常に分解されないと、鼻水や鼻づまり、くしゃみなどのアレルギー症状が悪化してしまいます。

牛乳、卵、小麦
牛乳、卵、小麦を摂取すると、花粉に触れなくても、花粉症のアレルギーを引き起こしやすくなるといわれています。

これを交差反応(こうさはんのう)といいます。交差反応とは、異なるアレルゲンの構造分子が似ているために抗体が両者の違いを識別できないと、本当のアレルゲン以外に違う物質にも反応し、アレルギーを起こすことをいいます。

特に、イネの花粉に反応している場合は、小麦を原料とするパンを食べると症状を引き起こしやすくなるので注意が必要です。

牛肉
牛肉の脂身に含まれる成分のアルギニンが花粉症のアレルギー症状を悪化させることがあります。花粉症の季節には、牛肉を食べすぎないように気をつけましょう。

パイナップルなどの南国の果物
パイナップルやパパイヤなどの南国の果物には体を冷やす作用があります。体が冷えると様々な病気のリスクが高まり、そのひとつとして、アレルギー症状が出やすくなることがあります。

柑橘系の果物
柑橘系(かんきつけい)の果物に含まれるクエン酸は、花粉症の症状を悪化させる場合があるようです。クエン酸とは、柑橘類に含まれる酸味成分です。

生のトマト
生のトマトには、ヒスタミンが多く含まれています。そこで、トマトを食べる場合は、加熱してから食べましょう。スギ花粉症の人では、トマトを食べることでアレルギー反応が強く出る場合があるので、生のトマトは避けた方がよい場合があります。

砂糖を使ったお菓子
砂糖の原料のサトウキビは、ヒスタミンの分泌を促す化学物質を用いて精製されることがあります。そのため、甘いものを食べる場合は黒砂糖やてんさい糖など、精製されていない砂糖で作られたお菓子を選びましょう。

花粉症の季節は、はちみつやアガペシロップなど、天然の甘味料を用いたお菓子を手作りしてみてもいいかもしれません。

ココア・チョコレート
ココアやチョコレートには、ヒスタミンがたくさん含まれています。花粉症の症状が出ている間は、チョコレートの食べ過ぎに注意しましょう。

刺激の強い香辛料
刺激の強い香辛料は鼻の毛細血管(もうさいけっかん)を広げて血液の量を増やし、充血しやすくします。そのため、人によっては充血のアレルギー症状がひどくなる場合があります。

腸内環境の改善が花粉症に効果を発揮

腸内環境を整えることで、花粉症などのアレルギー疾患が改善することが広く知られるようになりました。腸には、食べ物を消化・吸収する働きだけではなく、免疫システムを担う免疫細胞の約7割が集中して存在しています。

免疫機能を正常化させ、過剰なアレルギー反応を正常に戻すためには、腸内環境を健康に保つことが不可欠です。そのためには、腸内細菌(ちょうないさいきん)を理想的なバランスで維持することが重要です。

私たちの腸内には、およそ1,000兆個の腸内細菌が棲みついています。腸内細菌には、腸内環境を整える善玉菌(ぜんだまきん)、有害な働きをする悪玉菌(あくだまきん)、善玉菌と悪玉菌の優勢な方に味方して立場を変える日和見菌(ひよりみきん)の3種類があります。

健康な腸では善玉菌と悪玉菌と日和見菌が「2対1対7」で存在しているのが理想的なバランスです。腸内細菌が最適なバランスで存在していることで、免疫システムが安定的に機能し、花粉症などのアレルギー症状が穏やかになるとされています。

腸内環境の善玉菌を増やす食生活を続けることは、花粉症の改善のみならず、お通じの改善や解毒、冷え予防、美容、ストレス軽減など、体の健康を促進させる様々な効果があることも明らかにされています。

また、食事の改善によって腸内環境を健全にすることは、花粉症の薬を飲む事のできない妊娠中の女性や授乳中の女性の方も手軽に始められる方法です。

あなたの体質にあった食材を見つけ、一日も早く、辛い花粉症から抜け出しましょう。

腸内環境を改善して善玉菌を増やすのにお勧めの食材

腸内細菌の善玉菌の働きを活発にし、悪玉菌の増加を抑える食品には、様々なものがあります。その代表的なものが、乳酸菌(にゅうさんきん)と食物繊維(しょくもつせんい)です。

現代の日本人の食生活では、乳酸菌と食物繊維の摂取が不足気味にあるとされています。そこで、乳酸菌と食物繊維を積極的に摂ることで善玉菌を増殖させるようにしましょう。

ここでは、乳酸菌と食物繊維を摂ることのメリットに触れながら、手軽に取り入れることができる食品をご紹介します。

ヨーグルト・乳酸菌飲料

乳酸菌は善玉菌のひとつで、食べたものの消化・吸収を促し、腸内環境を改善するのに効果を発揮します。

善玉菌の代表格とも入れる乳酸菌ですが、もっとも身近な食品はヨーグルトです。スーパーやコンビニで売られているヨーグルトや乳酸菌飲料には、様々な乳酸菌が含まれています。

ヨーグルトや乳酸菌飲料には、「花粉症の原因となるIgE抗体の働きを抑制する作用」と「腸内環境を整えることで花粉症を軽減する働きがある」とされています。

先に述べたように、IgE抗体とは「免疫システムに関わるタンパク質の一種」で、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギーの発症に深く関わっている物質です。

ヨーグルトの中は、乳酸菌の一種である「クレモリス菌FC株」が含まれているものが売られています。クレモリス菌FC株は、生きて腸まで到達することができます。クレモリス菌FC株を用いた研究では、この菌がアトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー症状の改善に役立つことが報告されています。

クレモリス菌FC株以外にも、多種多様な効果・効能をうたったヨーグルトや乳酸菌飲料が開発されています。花粉症などのアレルギー疾患に効果がある乳酸菌を含んだ製品を継続して摂取するのがよいでしょう。

発酵食品

ぬか漬けやキムチなどの発酵食品にも、たくさんの乳酸菌が含まれています。

乳酸菌は熱や酸に弱いため、腸に届くまでに死んでしまうことがあります。しかし、死んだ乳酸菌は、腸内で善玉菌が増える際のエサになります。腸内に善玉菌が増えることで、過剰な免疫反応が起きにくくなります。

反対に、免疫システムが低下している場合は、乳酸菌によって免疫力を元気な状態に回復することができるようになります。

ヨーグルトや発酵食品などから乳酸菌を意識して摂取し、腸内環境を整えることで、過剰になり過ぎた免疫システムや機能が低下していた免疫システムを正常なバランスへと導くことができるようになります。

食物繊維

食物繊維はヒトの消化酵素によって消化することができない、食品の成分です。食物繊維には、大腸で便をやわらかくしてかさを増やしてバナナ状にし、便秘を予防してくれる働きがあります。

食物繊維は、大腸を常に清潔に保つように働くため、悪玉菌の増殖を防ぎ、善玉菌が増える環境を整えてくれます。

おからや干し柿、干しシイタケ、アズキ、ダイズ、グリーンピースなどの豆類に、食物繊維が豊富に含まれています。

食事で足りない善玉菌を補うためにはサプリを用いて効率的に改善する

ヨーグルトや乳酸菌飲料の摂取によって腸内環境を整える場合は、一度に大量のヨーグルトを食べるよりも、コツコツと毎日継続して摂取する方が高い効果が期待できます。

中でも、乳酸菌を増やす場合は、1日あたり200g〜300gのヨーグルトを食べる必要があるため、乳酸菌のエサになる、オリゴ糖やはちみつ、食物繊維と一緒に摂ると相乗効果が期待できます。食物繊維が豊富なバナナやリンゴをヨーグルトに入れて食べるとよいでしょう。

しかし、乳製品が得意でない場合や冷え性で冷たい物を控えているという人は、無理にヨーグルトや乳酸菌飲料を摂取すると体調が崩れる場合があります。そのようなときには、サプリメントによって善玉菌を増やすことができます。

サプリメントなら季節を問わずに気軽に摂取できる上、ヨーグルトに比べて保存しやすく、持ち運びにも便利なため継続しやすいです。

サプリメントによっては、全身の健康に役立つ様々な菌が配合された種類のものが販売されています。花粉症などのアレルギー疾患に効果があると記載されているものを選んだり、比較的安価な物から購入して、自分の腸内細菌にマッチするものを探してみたりするのがよいでしょう。

腸内細菌は個人によって全く環境が異なるため、自分に合う善玉菌を見つけるまでには少し時間がかかるかもしれません。しかし、健康的な食事にサプリメントを加えることで、薬に頼らずに花粉症を改善するスピードが圧倒的に速くなることが期待できます。

腸内環境を整える事は、花粉症の予防や軽減のみならず、美肌効果やお通じの改善など、心と体が喜ぶ健康効果が期待できます。まずは2週間〜1か月ほど集中して腸内環境を整える生活を送り、花粉症が改善されるかどうか試してみて下さい。