「女性は便秘になりやすい」と言いますが、それだけで片付けていませんか?

便秘は病気の原因となることもありますが、病気に至らずとも、心身の様々な健康に影響を及ぼします。 健康とは、心身が健やかな状態であることです。そして、内面が健やであることは、美しさにつながります。

「健やかな女性」と言われれば、健康的で美しい女性をイメージすることでしょう。

では、「健やかさ」を害する便秘とはどのようなメカニズムで、心身にどのような影響があるのでしょうか。ここでは、女性の健康と美容を損ねてしまう便秘について解説すると共に、便秘を解消してスッキリとした体と心を取り戻す方法についてご紹介します。

 便秘は女性にとっての厄介な敵

便秘とは、腸の中に便が溜まった状態をいいます。便秘の人では、腸が収縮することで便を肛門まで移動させる「ぜん動運動」が行われないため、便がずっと体の中に残ったままになっています。

便秘には、食事や水分摂取量の低下、食物繊維の不足、運動量の低下など多くの原因があります。この状態が続くと、排泄されるべき老廃物が体内にとどまり、様々な病気や不調につながります。

体の中に腐敗した食物が溜まりおならが臭う

便は水分と固形物からなり、固形物は消化されなかった食べ物の残りカスや細菌などからできています。

大腸の中に便が長時間溜まっていると、水分だけが吸収されてしまい、固形物は硬くなります。こうした状態になると便が排泄されにくくなり、長時間経過した食べ物の残りカス、つまり腐敗した食物と細菌が腸に溜まり続けます。

そして、腐敗した食物と細菌は、悪臭を伴ったガスを産生します。

便秘のときは、自分のおならが臭いと感じるでしょう。腐敗したものが長時間溜まっているのですから、発生するガスが臭くなってしまうのは当然です。

便秘体質の女性は母親も便秘であることが多い

大腸の主な働きには「水分の吸収」と「食物繊維の消化」があります。

大腸では必要な水分を吸収しながら、余分な水分と固形物となる便を送り出そうと、常に腸を動かしています。

大腸には、腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)があります。これは腸内細菌の住みかで、大腸菌やビフィズス菌など多くの細菌が棲息しています。腸内細菌叢を構成しているのは膨大な数と種類の細菌で、それぞれの役割や特性に応じて、善玉菌(ぜんだまきん)と悪玉菌(あくだまきん)に分類されています。

善玉菌の代表格はビフィズス菌です。そして悪玉菌の代表格には、ウェルシュ菌があります。理想的な腸内環境では、善玉菌が悪玉菌よりも多く存在しています。

腸内フローラは、私たちが赤ちゃんとして生まれたときに、先天的に一定の比率で体内に存在しています。つまり、腸内フローラの状態は、遺伝的に引き継がれているということです。

あなたが生まれたときに、母親が便秘や下痢などの不調を抱えている腸内環境だと、あなたも不健康な腸内細菌を受け継いでいる可能性があります。事実、多くの便秘体質の女性には、自分の母親も便秘というケースが非常に多いのです。

便秘によって起こるトラブル

私たちの腸内では、善玉菌と悪玉菌が適度なバランスを保つことで腸内環境を整えています。

私たちが食事をしたとき、胃と小腸を通る過程で栄養分が消化吸収されます。このとき、悪玉菌は小腸で消化吸収されなかった食べ物の残りカスを腐敗させ、有害物質を作ります。この有害物質により腸の動きが弱くなってしまい、便秘が生じます。

便秘が続くと、悪玉菌によって作り出された有害物質は腸の壁から体内へと入り込み、血液を巡って全身へと回ります。その結果、様々な健康被害が発生します。

たとえば、強い疲労感、体重増加、むくむ、顔のくすみなどは、単純な「疲れ」のせいだけではなく、便秘が原因になっていることが多いのです。

便秘になると「腸」もむくむ

便秘になると、顔や手足がパンパンにむくんで、腫れぼったくなったり、太くなってしまったりした経験はないでしょうか。

むくみとは、体に余分な水分が溜まってしまうことです。水分が溜まってしまうのは、足などの静脈(じょうみゃく)から心臓に戻る血液の流れが弱くなり、その周りのリンパの流れが悪くなるためです。

リンパとは、体の中で不要になった老廃物を回収し、リンパ管を通して心臓へ戻る体液のことです。

長時間立っていると足がむくむのは、寝ているときに比べると立っているときの方が「足の静脈血が心臓に戻りにくい」ため、周りのリンパの流れも悪くなり、水分が溜まってしまうからです。

私たちの腸の動きが弱くなると、腸の周りにある血液やリンパの流れも悪くなります。腸の周りの血液やリンパは、お腹の周りや足に繋がっています。その結果、足がむくみます。

また、便秘によって腸がむくむことがあります。これを「むくみ腸」といいます。

むくみ腸は、全身を流れる血液に含まれる水分が何らかの原因によって腸に溜まってしまい、その水分を腸からきちんと排出できないために生じます。むくみ腸になると、腸の動きはさらに弱くなり、便秘はさらに悪化の一途をたどります。

腰痛、肩こり

腰痛や肩こりは、同じ姿勢で長時間座っていたり、筋力が低下したりすることが原因で生じます。

むくみと同じように、長時間同じ姿勢でいることで血液の巡りやリンパの流れが悪くなります。肩こりがひどいときは、首から肩まで「顔の周りのリンパの流れ」が悪くなり、そのため顔色がくすんだり、顔がむくんだりします。

内臓にトラブルを抱えている人は腰痛や肩凝りが出やすいといわれています。便秘により、腸をはじめとする内臓周囲の血液やリンパの流れが悪くなっているからです。

便秘などの「内臓のトラブル」を抱えている人では、ひどい腰痛や肩凝りで悩んでいる人も多いです。

肌荒れ

腸内環境が悪化すると、体内の老廃物が血液を巡って循環し、皮膚の表面に現れます。これによって、ニキビや吹き出物が出やすくなります。

大人ニキビと言われるものは、あごや口の周りにできやすいです。口の周りにできるとつい触ってしまうことが多く、治りにくくて跡が残りやすいという厄介な特徴があります。

顔にできたニキビはとても目立つため、強い薬や高価な化粧品を使って治そうとする女性が多いです。しかし、腸内環境が悪くて便秘が続くと、薬や化粧品を使っても次々にニキビができてしまい、いつまでたっても治まりません。

シワ・シミ・たるみ

腸内フローラに生息する善玉菌には、免疫力(めんえきりょく)を高める作用があります。私たちの腸内では、免疫細胞の70%以上が、私たちの腸内環境に存在しているとされています。
また、腸内では、ビタミンB群やビタミンKなど、健康で美しい体を作るのに必要な栄養素を合成しています。

腸で作られる免疫細胞や栄養素は、私たちの肌を病原菌や紫外線といった外部からの攻撃から守ってくれたり、肌のハリに必要なコラーゲンの合成に関与したりしています。

そのため、腸内環境の悪化による慢性的な便秘は、吹き出物などの肌荒れだけでなく、シワ・シミ・たるみなどにもつながってしまいます。

体調や肌の調子が悪いと気分もモヤモヤする

便秘が続くとなんだか気分もスッキリしないのはなぜでしょうか。それは、腸の働きがむくみや肌トラブル、ストレスにまで影響を及ぼしているからです。

私も便秘になったときは、お腹がゴロゴロして不安定であるため、気分がとても落ち込みやすくなりました。友人と食事にでかけたり、ショッピングやレジャーを楽しんだりする気になれず、自宅に閉じこもっていることが多かったです。

老廃物のうんちは定期的に排せつするのが大事

「毎日お通じが出る」ということは、「毎日デトックスできている」ということです。老廃物として腸に送られてきたものを、溜め込まず、毒素をからだの外へ出すことが大切です。

人は毎日食事を摂ります。食事を摂るということは、栄養素を消化・吸収したあとに、必ず残渣(ざんさ)として老廃物が出ます。食べ物を毎日食べるのに、老廃物を毎日出さなければ、残りカスを溜め込んでいるということです。

老廃物を溜め込むと、腸内環境の悪化によるむくみや肌荒れなどのトラブルを引き起こしてしまい、悪循環となってしまいます。体が重く、スッキリしないので調子も出ません。体臭や口臭が気になって、人に会うことが苦手になってしまう人もいます。

毎日快便な人はお肌も美しく、エネルギッシュに活動できる

便秘がある人とは対照的に、毎日お通じがあって習慣的にデトックスすることができている人は、心身ともに健康的だといえるでしょう。

「食べ物を美味しく頂き、体に不要なものをお通じとして排泄する」これは、人間に備わった仕組みとして当たり前のことであり、悪玉菌を溜め込むことなく、腸内環境を整えることができます。

腸内環境が健全で、体の血液やリンパの流れがいいと、表情も明るく見えます。また、むくみがなければ体も軽く、活動的になれます。表情が明るく、肌がキレイだと、活き活きとして見え、周りからの印象は断然良くなります。

ですから、「快腸な人は、仕事もプライベートも上手くいく!」というのは、決して大げさな表現ではありません。

腸が元気だと少々のストレスにもへこたれない

先にも述べたように、腸には体の免疫システムが70%以上も集中しています。

そのため、腸内環境が悪いと、私たちはストレスの影響を受けやすくなります。緊張やストレスで「お腹が痛くなる」「お腹をくだす」というのもよく聞きますよね。

免疫機能が腸に集中しているため、腸内環境の状態は「精神のバランス」も左右するのです。

腸内の善玉菌には、免疫力を高める作用があります。善玉菌は、免疫システムを担っている免疫細胞を適度なバランスで活性化してくれます。そうすることで、風邪やインフルエンザ、アレルギーなどの外部からの攻撃に加え、日常生活で起きた小さなトラブルやストレスにも対抗できるようになります。

このように、腸の健康を保つことで免疫力が高まり、心身ともに元気で、ストレスにも負けないコンディションを得ることができるようになります。腸内環境を良好に保つことで「挫折しない心と体」を手に入れましょう。

そのためには、何としてでも便秘を治さなくてはいけません。次章では、具体的な方法について解説したいと思います。

腸内環境を整えて便秘を解消するためにできること

便秘を改善するのに、食事と適度な運動はとても効果があります。しかし、人によっては、運動をすることが苦手だという人もいるかもしれません。

その場合は、まず「毎日の食事を見直してみる」ことから始めてみましょう。食事は誰でも毎日摂りますから、ちょっとした工夫をするだけでも、健康的な腸に一歩ずつ近づいていくことができます。

善玉菌のエサになる食物繊維をたくさん摂る

便秘には食物繊維(しょくもつせんい)が良いということを聞いたことがあると思います。

食物繊維とは、食物に含まれている難消化性の成分のことです。食物繊維は、ヒトの消化酵素で消化することができません。したがって、食物繊維を食べても、基本的にはそのまま排せつされてしまいます。

食物繊維には、水に溶けない不溶性食物繊維(ふようせいしょくもつせんい)と、水に溶ける水溶性食物繊維(すいようせいしょくもつせんい)の2種類があります。

このうち、水溶性食物繊維は、腸内細菌の善玉菌が分解しやすいものです。水溶性食物繊維には、ペクチンやグアガム、グルコマンナンといったものがあります。

こうした水溶性食物繊維は、善玉菌のエサとなり乳酸(にゅうさん)や酢酸(さくさん)などの、酸性の物質を作り出します。善玉菌によって作り出された酸性の物質のお陰で、腸の中が酸性に傾きます。酸性の環境というのは、善玉菌が好んで生息する環境であり、悪玉菌は繁殖しにくくなります。

つまり、善玉菌にとって、「食物繊維は大好物」といえます。

水溶性食物繊維が多く含まれる食べ物を選ぶとき、「ネバネバしたもの」と覚えておくと買い物や料理をするときに便利です。

昆布やワカメ、オクラ、サトイモ、納豆などに水溶性食物繊維が豊富に含まれています。他には、リンゴ、バナナ、ゴボウ、アボカド、キノコなどの野菜や果物があります。海藻や寒天も積極的に摂りたい食材です。

「メイソンジャー・サラダ」を作って野菜を毎日食べる

数年前から「メイソンジャー・サラダ」が流行っています。

メイソンジャー・サラダとは、保存用ガラス瓶(ジャー)にカットした野菜やハム、ゆで卵などを「層状」に詰めた料理のことです。

保存用ガラス瓶を使うので容器の中に空気が入らず、密閉状態にすることができるため、野菜の鮮度とシャキシャキした歯ごたえを長持ちさせることができます。

まとめて作れることと、メイソンジャーのおしゃれさに惹かれ、私はジャーサラダを作って毎日食べるようになりました。

ジャーサラダの見た目が楽しくて、食べることも作ることも楽しかったのですが、ジャーに入れるので、結構な量の野菜を食べることができます。特に、お昼と夕食は必ずサラダを食べることを習慣にしました。

メイソンジャー・サラダの作り方はいたって簡単。適当なジャーを用意して、下から順番に野菜を詰めていくだけです。

卵やハムなどを入れたり、レンジでチンしたブロッコリーやニンジン、カボチャなどの緑黄色野菜を入れたりすると、タンパク質やビタミンをたっぷり摂取できます。アボガドやセロリ、レタス、豆類には、食物繊維も多く含まれています。

メイソンジャー・サラダを作って食べ続けた結果、本当に毎日お通じが良くなり、体が軽くなりました。むくみやだるさが減って、晴れやかな気分になります。そして、ずっと悩まされていたあごの周りの吹き出物が、今では全くできなくなりました。

メイソンジャー・サラダは、とても簡単で誰でもすぐに作れるので是非試してみて下さい。

善玉菌を増やす食事は美容と老化予防に効果も

便秘で悩んでいたときに、友人から「夜に炭水化物を減らすると便秘が治り、美肌のための成長ホルモンがきちんと出るよ!」と教えてもらったことをきっかけに、私は夜に炭水化物を控え、野菜をたくさん食べるようにしました。

その結果、想像以上の効果を得ることができました。

炭水化物は糖質(とうしつ)です。よって、炭水化物を摂取した後は、血糖値(けっとうち)が上がります。血糖値が上がると、体はその血糖値を下げようと、すい臓からインスリンというホルモンを分泌します。

人は、夜寝ている時間に、美肌には欠かせない成長ホルモンを分泌します。特に、22時〜2時は成長ホルモンの分泌が最高潮に達するため、美肌になるためのゴールデンタイムと言われています。したがって、この時間帯には、睡眠を確保すべきとされています。

ところが、夕食で多くの糖質を摂取してインスリンが分泌されていると、成長ホルモンの分泌が抑制されてしまいます。夜遅くに糖質を摂取すると、インスリンが成長ホルモンの分泌を阻止してしまうため、大切な美肌のための成長ホルモンの量が減ってしまうのです。

夕食に炭水化物を控え、野菜を多く食べた結果、食物繊維効果で便秘が解消されるだけではなく、糖質を控えたダイエットにも成功しました。加えて、成長ホルモンによる美肌と細胞の老化予防という「一石四鳥」ともいえる効果を実感しました。

日頃からしつこい便秘に悩んでいる人は、お通じが出なくてお腹がはっていること以外に、体と心の両方に様々な不調を抱えている人がいるはずだと思います。

ここで紹介した便秘解消法を試して腸内環境を改善すると、便秘が治ることに加え、あらゆる面で体調やメンタルの変化を感じることができるようになります。

善玉菌を増やして腸内をキレイにする食事で、「健やかな体」を作ると共に「美しさ」も手に入れて下さい。

便秘のせいで人生を楽しめないのは、とても勿体ないことです。ですから、一日も早く便秘を解消して、みなさんにも充実した、楽しい日々を過ごして頂きたいと願っています。