便秘に悩む女性は多いと思います。そんな便秘の悩みを放置していると、「大腸がん」へとつながってしまう可能性があることをご存知ですか?

便秘とは、排泄されるべき老廃物や有害物質が腸の中に溜まった状態です。老廃物や有害物質がずっと腸の中に残ったままになっていると、体に悪影響を及ぼす物質が生産されていまいます。その中には、がんの発症を誘発させてしまうものがあります。

つまり、腸内環境が悪化した状態が持続すると、大腸がんを発症してしまうリスクが高まってしまうのです。

ここでは、腸内環境の悪化によって、なぜ大腸がんが引き起こされてしまうのかについて見ていくことにします。

日本人に急増している大腸がん

1980年以降、日本人の死因の第一位は、脳卒中、心臓病を抑えて男女ともに「がん」です。そして、がんの部位での死因をみると、大腸がんは男性では3位、女性では1位となっています。

男女ともに大腸がんの比率は高く、2013年の調査では、女性では乳がんを上回る結果となっています。大腸がんは1970年代以降、日本で急激に増えているのです。

このように、大腸がんは死因の上位となる病気ですが、病気にかかる人の割合(罹患率)が多い割に、亡くなる人はその3割ほどと、実は罹患率の割に死亡率は低いのです。

つまり、日本人の死因の上位を締めるということは、それだけ大腸がんにかかる人は多いということですが、それと同時に、亡くなる人が比較的少ないために、大腸がんは「治せるがん」とも言われています。

大腸がんとはどんな病気?

大腸がんとは、大腸の壁である粘膜からその下に広がってできる悪性腫瘍(あくせいしゅよう)です。

悪性腫瘍とは、周囲の細胞にまで深く入り込んで、無秩序に細胞が増える腫瘍を示します。悪性腫瘍は、離れた所にある組織に転移することがあるため、腫瘍を切除しても再発してしまうことがあります。

大腸がんのできる部位には盲腸〜結腸、直腸、肛門までがありますが、日本人では肛門に近い、S状結腸、直腸に多いと言われています。


がんの種類として、粘膜の表面がただれたようになっている初期のものから、塊となって腸の中で盛り上がっているもの、粘膜が潰瘍となってへこんでいるものなどがあります。がんには様々な種類があり、その大きさや形、進行度によって症状は異なります。

大腸がんの症状はどんなものがあるの?

大腸がんの症状といっても、初期は症状がないことがほとんどです。病気の症状とは感じないような日常的なものから、大腸がん特有の症状などがあります。
ここでは、自覚症状としてどのようなものが現れてくるか、代表的なものを説明していきましょう。

排便の変化

■血便(血液が混じった便)が出る
これは大腸の中で出血している時に、その血液が便と一緒に出てくることでおこります。
血便は大腸がんだけではなく、ポリープや腸炎などの炎症でもおこります。

ポリープとは、胃や腸の粘膜にできるキノコ状に盛り上がったもの(隆起)をいいます。大腸ポリープが大きくなると、がん化(悪性ポリープ)する場合があります。

■便が細くなる
がんが塊となって腸の中に盛り上がっている形の場合は、がんによって腸の中が狭くなります。そのため、その中を通る便も、必然的に細くなります。

■便が残っている感じがする
腸の中が狭くなると、便は腸の中を通りにくくなります。そのため、一度にたくさんの便がでることができず、細い便が少しずつ出るという症状が出ることがあります。少しずつしか出ないため、排便後もスッキリした感じがなく、便が残っているような感じがします。

お腹の変化

■お腹の張り
便を出したいのに、腸の中が狭くなると、一度にたくさんの便を出すことができません。そのため、排便後も便が残っているような感じがします。腸の中がさらに狭くなると、腸の中に溜まったガスも出にくくなることがあります。そのため、ガスや便がお腹にたまり、「お腹が張る」という症状が出てきます。

■腹痛が起きる
「大腸がん」そのもので、すぐに腹痛が起きるということはありません。「がん」そのものの痛みではないのです。前述したように、腸の中が狭くなると、便やガスが溜まります。腸は、ぜん動運動によって溜まった便を送り出そうと動きます。

しかし、動いても通り道が狭く便が通っていけないと、腸の動きにより、便がせき止められて押されるような痛みを感じます。腸の動きによって起こる痛みを、ぜん動痛(ぜんどうつう)といいます。

大腸がんの検査

健康診断での便の検査は、便に血液が混ざっていないかを確認します。これを便潜血(べんせんけつ)検査といいます。病院で行われる主な検査として、注腸造影検査、大腸内視鏡検査、直腸指診があります。

ここでは検査の概要を簡単に説明します。

■注腸造影検査
バリウムというと、飲んでX線撮影をする胃のバリウム検査がすぐに思い浮かぶと思います。
大腸の検査では、前日から下剤を服用し、腸の中を空にした状態にしておきます。そして肛門からバリウムを入れてX線撮影を行います。造影剤であるバリウムが腸の形を写し出すので、腸が狭くなっている場所があればわかります。

■大腸内視鏡検査
大腸の検査では、現在は内視鏡検査が主流です。前日から下剤を服用し、腸の中を空にした状態で、肛門から大腸カメラを入れて腸の中を観察します。直接腸の中を見ることができるので、ポリープや潰瘍、腸の中が狭くなっているかなどがすぐにわかります。

また、ポリープがあれば、検査と同時にポリープを切除したり、潰瘍など気になる所見があれば、ポリープを取るのと同じ要領で、粘膜を一部採取したりすることで、がん細胞かどうかの検査を同時に行うこともできます。

直腸指診

直腸指診(ちょくちょうししん)は、医師が直接指を入れて直腸を調べる方法です。

指が届く場所なので、肛門から近い直腸の診断に限定されます。血便がある場合は、痔であることも考えられますし、直腸に腫瘍がある場合もあります。出血がある場合の簡便に行われる検査としては、直腸指診が行われることが多いようです。

病院で行われる検査以外に、日頃から排便後に自分の便の色や形を見て見ましょう。血液が混ざっていたり、細い便しか出なくなったりなど、自分で気づける変化があります。

バナナ状の黄土色の便がスルッと出れば、腸内環境が安定していると分かります。反対に、黒くて水分の少ないカチカチ便だったり、泥状の便だったり、コロコロした小さい便しか出なかったりする場合は、腸内環境が乱れている兆候だといえます。

早期の大腸がんの場合、自覚症状はほとんどありません。毎日の変化にまず自分で気づくとことも大切です。

そして、前述したたように、大腸がんは「治せるがん」といわれています。そのためには、早期発見がとても重要です。特に40歳以上の方は定期的に検診を受けることが勧められます。

50代の母が突然大腸がんに

私の母は54歳の時に大腸がんと診断されました。大腸がんはステージがⅠ〜Ⅳまでありますが、母はステージⅢbの進行した大腸がんでした。

その母が、手術を乗り越え、運よく再発もなく、今年70歳を迎えるほど元気に過ごしています。そんな母の、大腸がんと診断されてから現在元気に過ごしている体験をお伝えしたいと思います。

偶然見つかった大腸がん

母は、更年期症状で婦人科を受診した時に、卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)という卵巣の良性腫瘍を指摘され、卵巣を手術で切除することになりました。この時、比較的小さな個人病院でしたので、卵巣を取るという手術のために、全身の検査は特にしていなかったのだと思います。

そして、実際に卵巣の手術でお腹を開けた時に、腸に腫瘍らしきものがあることがわかったのです。
手術後に、「卵巣の手術は無事に終わりましたが、腸に腫瘍のようなものがあるので、専門の病院を紹介します。早く受診した方がいいですよ。」と言われました。

私は、腸の外側から見てもわかるくらいの腫瘍があるという医師の話から、間違いなく大腸がんだろうと思いました。

母は、もう長年ずっと、「便秘があたりまえ」というくらいひどい便秘症でした。この時、便秘ということ以外に、母には特に普段と変わった症状はなかったのです。

大腸がんと診断されてから退院するまで

婦人科を退院し、すぐに紹介された消化器外科の病院を受診し、検査を受けました。診断はもちろん「大腸がん」。1週間ほど検査をして、すぐに手術となりました。

手術後の最終診断で、ステージⅢbという「リンパ節まで進行」していたことがわかりました。手術では、リンパ節の切除も行いました。

手術後は、再発の予防のために3年間抗がん剤の内服をしました。

一番悩んだのは告知の問題です。母に大腸がんを告知するかどうか。私は告知するべきと考えましたが、母の姉の強い希望で告知しないことになりました。

大腸の手術で母は、1ヶ月弱の入院生活を送りました。今回、卵巣の手術、大腸の手術と立て続けに入院・手術を経験しましたが、これまで全く入院したことのなかった母は、「とにかくもう入院はしたくない」という思いがありました。

退院時には、退院指導として「大腸の手術をした人は、消化の良い食事や適度な運動」などが勧められます。便秘をしないように、食事療法はもちろんですが、必要に応じて便を出しやすくする薬も飲むようになります。

とにかく、きちんと栄養をとり、体を動かし(腸を動かし)、毎日便を出すことが重要なのです。つまり、便秘をしない体質に変身するため「腸内環境を整えることが大切」ということを母は最も感じていました。

退院後の生活改善で、再発予防と健康的な体を手に入れることができた母

合わせて、1ヶ月以上の入院を経験した母は、「とにかくもう入院はこりごり」という気持ちでいっぱいでした。

「大腸がん」ということは告知せず、「大腸の大きな潰瘍、良性の腫瘍」ということを説明していたのですが、どちらにしても、原因は大腸がんと同じと母もとらえていました。食生活の乱れや長年の便秘による腸内環境の悪化が考えられるということを理解していたようです。

そんな母は、退院後に特に食習慣の改善に力を入れて実践しました。そして、手術後15年以上経過した今もとても元気です。食習慣の改善が成功し、今も継続しています。

その内容を、ここではご紹介します。

便秘が続き、大腸がんとまでなってしまったこれまでの食習慣

母はこれまで、好きなものを中心に食べるという生活を長年送ってきました。甘いものも好きなので、ケーキやプリンなどはよく食べます。一方でヨーグルトは嫌いなので食べません。肉や魚などのタンパク質もよくとりますが、比較的野菜は少なめ。納豆などの発酵食品も嫌いでした。

そして、嫌いなものはもちろん全く食べません。その食品が体にどのように良いかということを考える機会はほとんどなく、「好きなものを好きなだけ食べたい」という生活を送っていました。

料理自体もあまり好きな方ではありませんでした。そのため、お惣菜を購入する、外食をする、ということもよくありました。

そして、長年の便秘という症状を抱えていました。ひどい便秘で、便が硬くなりすぎて出なくて気分が悪くなる、ということもありました。便秘で苦しむこともあったのに、その改善に取り組むことは特にしていませんでした。

しかし、今回の「病気(大腸がん)・手術・入院」が大きなきっかけとなり、「体にいいものを食べて、腸を健康な状態にしよう」という強い思いにつながり、行動が変化したのです。

実践した食習慣の改善の内容は、善玉菌を増やす食事だった

最近はテレビや書籍などで「健康に良いとされる食材や食べ方」が、多数紹介されています。ある日、健康に関する書籍を読んでいた母は、「健康を回復させるために取るべき食品」について興味を持ちました。

その書籍に書かれていたことを実践すべく、母はヨーグルトや納豆、玉ねぎなどを積極的に摂取するようになりました。

また、できるだけがんの症状を改善したり、進行を遅らせたりすることを考えた結果、バランスのよい食をすることが大切だという結論に至りました。

■ヨーグルト
説明する必要もないほど有名ですが、ヨーグルトには乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が含まれ、腸内環境を整える、改善する効果があります。母はヨーグルトが嫌いで食べることはありませんでした。

しかし、腸内環境を整え、善玉菌を増やすという効果を取り入れるために、毎朝ヨーグルトを食べるようになりました。ヨーグルトには「あずき」をトッピングして食べています。

実は「あずき」には、とても食物繊維(しょくもつせんい)が多いのです。善玉菌は腸の中で食物繊維を分解し、増えていくのです。つまり食物繊維は善玉菌のエサとなります。ヨーグルトと一緒に食物繊維をとることは相乗効果と言えるでしょう。

■納豆
発酵食品というと、納豆や味噌、醤油など様々ですが、日本の代表する発酵食品といえば納豆です。納豆に含まれる「納豆菌」は、腸内で善玉菌となることに加えて、悪玉菌の増加を抑える効果があります。

これまで、母は納豆が嫌いだったために、スーパーで購入してくることはありませんでした。また、毎日お味噌汁を作るということもありませんせんでした。

しかし、退院後は、毎日お味噌汁を作る、週に2~3回は納豆を食べるということも取り入れるようになりました。

■玉ねぎ
玉ねぎは、血液をサラサラにする効果があるとよく言われます。血液をサラサラにすることで、動脈硬化(どうみゃくこうか)の予防になります。動脈硬化とは、血液が脂肪などでドロドロして、血管の壁に血の塊などを作ってしまう状態です。

血液の塊が血管の中にできると、その塊が脳や心臓に流れていってしまった時、脳梗塞や心筋梗塞をおこしてしまいます。

母は、年齢的に動脈硬化予防に、自家製の玉ねぎドレッシング(玉ねぎとオリーブオイルと酢)を作り、毎日サラダを食べるという方法を取り入れました。

また、玉ねぎには、オリゴ糖が多く含まれます。オリゴ糖は腸の中で善玉菌を増やすエサとなります。そのため、血液サラサラ効果を期待して積極的に摂取していた玉ねぎは、善玉菌を増やすことにもつながっていたのです。

■バランスのよい食事
善玉菌を増やす、血液をサラサラにするなど、体に良いと言われる食品はたくさんあります。良いと言われるものを摂取することは必要ですが、大切なのはやはりバランスのよい食事です。

体に良いものを摂取するためには、その方法・手段を考えることから始まります。つまり、3食を作る中で、どのように調理し、取り入れていくかということです。

味噌や納豆、粕漬けなどの発酵食品を必ず一品以上作るようにし、食物繊維が豊富に含まれた野菜や豆類、海藻類を調理して食べています。

以前は、お惣菜を購入し、外食をすることが多かった母ですが、今では体に良いものを3食に取り入れるようになりました。料理の幅レパートリーを広げ、「家で食事をすることが一番おいしい」というようになりました。実際に、実家に帰り食事をすると、品数の多さ、バランスの良さが格段に違います。

腸内環境を改善して実感した体調の変化

食習慣を改善した結果、母は今では全く便秘をすることなく、「毎日快便」という生活に変化しました。
体に良いものを食べ、便秘が改善すると、体のむくみがなくなる、体が軽くなるなどの変化も起きます。また、気持ちも元気になります。腸が健康だと、精神的にも身体的にも元気になるといえます。

母は、食事の改善とともに、運動もするようになりました。体を動かすことで、腸の動きも良くなります。今でも週3回ジムに通っています。ジムに通うことで、人との交流もあり、より生き生きとしているように見えます。

そして現在、手術後15年以上が経ちます。幸運なことに、大腸がんの再発もなく、今では年1回の定期健診だけでよいというほど元気に過ごしています。

食事療法、運動は、今でも継続しています。食事に関しては、さらにいろんな食材の効果も取り入れて、最近は「料理するのが楽しい」と、新しい料理にチャレンジしたり、ジムで知りあった友人と旅行にいったりと、充実した日々を過ごしています。

毎日の食事は、体を作る源であり、毎日の排便は体調を表しています。

「今食べているものは、体にどんな影響があるのかな?」「今日のお通じはどうかな?」「体は元気かな?」そんなことを少し考えてみてはどうでしょうか。

実は、そんな自分の体への毎日の少しの気遣いが、健康維持の大きな要素となります。大腸がんを予防するために腸内環境を整えて、健康的な生活を送りましょう。