便秘や太りやすい体質、ニキビや乾燥肌などの症状は、女性なら誰もが一度は経験したことがあるのではないでしょうか。こうした問題は長期間にわたって継続することが多く、体の不調が生活の一部になっていることも珍しくありません。

例えば、便秘になるのが当たり前になっている人では、下剤や便秘薬が手放せなくなります。皮膚の問題も同様に、肌のコンディションがすぐれないため、ニキビ治療薬を使い続け、高額な化粧品を使ってたるみやシミをおさえようとしている人は多いです。

しかし、便秘や肌トラブルは薬や化粧品で一時的に対処することはできたとしても、問題の大元に迫った解決策にはなりません。そこで、腸内環境を整えることを考えましょう。なぜなら、こうした問題はすべて腸内環境の悪化が原因で生じているからです。

便秘を治し、皮膚のトラブルを解消するには、腸を整えることが先決です。腸内に住む細菌のバランスが乱れることで、腸の機能が低下し、肌の潤いやハリ、ツヤを保つ物質が作られなくなってしまうからです。

ここでは、腸内の悪化が便秘を引き起こすしくみを紹介していきます。そして、便秘に伴って生じる体の機能低下や肌荒れとその改善方法についても考えていくことにします。

便秘の改善は腸内環境の見直しから

統計データによると、日本人女性の2人に1人は便秘に悩んでいるといわれています。便秘になると便意をもよおすタイミングを逃したり、毎日決まった時間に排せつすることが習慣化できなくなったりします。水分が抜けた固い便しか出すことができず、バナナ上の健康なうんちをスルリと出すことも難しくなります。

便秘が続くと老廃物が体内から出されず、体の中に毒素がたまります。便を通じて毒素を出すことができないと、頭痛や肩こり、疲労感など全身の症状となって現れます。また、体の細胞やエネルギーを生み出す代謝が回転しないために体重が増加します。

こうした問題を解決するためには、市販の便秘薬や化粧品に頼るのではなく、腸内環境を整えるように意識してみましょう。便秘は、腸内環境にいる細菌のバランスが崩れると生じる病気からです。

便秘は腸内環境を整える食品を取り、腸機能を改善することで解消することができます。悪化してしまった腸に目を向け、本来の機能を取り戻すことが毎日の快便に繋がります。

便秘の原因は腸内環境の悪化にある

ストレスや食生活の乱れによって腸内環境のバランスが崩れると腸内細菌の善玉菌(ぜんだまきん)が減って、悪玉菌(あくだまきん)が増えます。善玉菌は、健康的な体づくりをする上でとても大切な働きをしている菌です。その反対に、悪玉菌は増えすぎると体にとって悪い作用をもたらします。

善玉菌には腸内を酸性の環境にする働きがあります。腸内が酸性になることで病原菌や有害物質を殺し、病気を予防することができます。

また、善玉菌が作り出す酸性の物質は腸の運動を活発にします。腸が元気に働くことで、食べ物をきちんと消化、吸収することができ、排便リズムも整います。

ところが、腸内に悪玉菌が増えると食べ物の残りカスを大腸まで押し出していく機能が低下してしまいます。腸が伸びたり縮んだりしながら、食べた食品のカスを肛門まで運んでいくこうした機能を「ぜんどう運動」といいます。

便秘は腸内の善玉菌が減り、ぜんどう運動の機能が低下してしまうために起こります。腸のぜんどう運動が十分に機能しなくなると、便がいつまでたっても押し出されず腸の中に停滞してしまうのです。

便秘はさまざまな病気を引き起こす

便秘になると、人によっては数日から数週間ほど便が出なくなります。お腹がはって、うんちが出ないのでいつもスッキリしません。便意をもよおしてトイレに駆け込んでも、ぜんどう運動が不十分であるために便がなかなか出てこないことがあります。

便秘になった腸には長い間うんちがとどまるため、便から水分が吸収されてカチカチに固くなってしまいます。そのため、強く息まないと便が出せず、トイレにいくたびに苦労している人もいるでしょう。

ようやくうんちが出てきたとしても、便の量が少なく、コロコロとしたウサギのフンのような便しか出ないことがあります。うんちを出したにも関わらず、まだお腹にうんちが残っているような感覚(=残便感:ざんべんかん)を覚える人もいます。

便秘の状態では腸に悪玉菌が増えて腐敗が進むため、便は出にくいのにおならばかり増える人もいます。便が体内にたまったまま、悪臭の元となるガスが大量に発生して、おならの臭いがきつくなります。

さらに便秘の状態が重くなると、溜まった老廃物や毒素が血液を介して全身を巡ります。その結果、頭痛や肩こり、腰痛や激しい疲労感、肌荒れを生じることがあります。

このように、便秘は単純に便が排せつされないだけではなく、日常生活に支障をきたすような症状を引き起こしてしまいます。

便秘になると基礎代謝が落ちて太りやすくなる

便秘で生じるやっかいな問題のひとつが体重の増加です。

ぜんどう運動が行われなくなったために便秘になると、本来なら体から毎日排泄しなくてはいけない便が腸に蓄積します。老廃物や毒素が腸内に留まっている状態になると、腸は正常に働くことはできなくなります。その結果、食べ物から取った栄養素を腸で吸収することができなくなってしまいます。

こうした状態では、新陳代謝(しんちんたいしゃ)が低下します。新陳代謝は、体の古い細胞が新しい細胞に入れ替わるサイクルです。新陳代謝が弱まると、体にとって必要な物質を体内に取り入れ、用済みになった古い物質を体外に出す力が弱まってしまうのです。

また、栄養素を取り入れることができなくなるため、細胞の働きが低下し体の機能が衰えます。すると、生命活動を支えるエネルギーである基礎代謝(きそたいしゃ)も下がります。基礎代謝は何も活動していなくても消費されるエネルギーのことです。

基礎代謝が下がると、普段と同じものを食べていてもカロリーを消費することができなくなります。脂肪も燃焼しにくくなり、太りやすくなるといわれています。

加えて、便秘になりやすい人は、もともと体重が増えやすい食生活や生活習慣を送っている傾向があります。肉やジャンクフード、甘い物ばかりを食べたり、アイスや冷たい飲み物を好んで食べたりしています。

こうした食生活ではカロリーを必要以上に取っている上に、腸内の悪玉菌が増えてぜんどう運動が低下するため、便秘体質になってしまいます。

腸内環境の悪化による便秘を防ぐためには、食物繊維(しょくもつせんい)を豊富に含んだ食べ物を食べることが効果的です。食物繊維が腸内細菌によって分解されると、有機酸と呼ばれる酸性の物質が作られます。これによって腸内環境は酸性になり、腸のぜんどう運動が活発化します。

食物繊維がたくさん含まれた食品は、穀類やイモ類、豆類、果物、海藻などがあります。このような食品を積極的に取り入れることで、善玉菌が腸を掃除してくれ、腸の中を清潔に保つことができるようになります。

便秘で体に毒素が溜まると肌が荒れる

腸内細菌のバランスが乱れて便秘になると、腸の機能は低下します。毎日決まった時間に排便することができないので、体内に老廃物や毒素が溜まります。すると、それらの物質が血液中に流れ出し、ニキビや吹き出物、しわ、むくみといった肌トラブルが生じます。

肌は体から毒素を出す排泄器官(はいせつきかん)のひとつです。そのため、体の中に老廃物や毒素が溜まると、毛穴からこうした毒素を出そうとするのです。本来ならうんちとして出されるべき毒素が、便秘が原因で外に排除されないために肌を通じて体外に出てきてしまうのです。

腸内環境が悪化すると、肌の再生に必要な物質を腸で作りだすこともできなくなります。その結果、ニキビができても治りにくかったり、日焼けのシミが残ったままになったりします。

このように、便秘がある人はお肌のトラブルを抱えていることも多いです。しかし、肌に現れるトラブルを生み出している原因が体の中に溜まった毒素であることはあまり知られていません。ほとんどの女性は、肌の悩みがあるとスキンケア商品を買って治そうとします。

しかし、問題を生じさせている腸内環境を見直さなければ、病気の根源を退治することはできません。便秘で肌荒れしてしまった大元に迫るには、腸内の環境に目を向ける必要があります。食事生活を見直して腸の状態を改善することで、便秘も肌荒れも解消することができるようになります。

善玉菌が増えると肌が健康になる

腸内細菌のバランスが乱れて腸の免疫力が低下するとニキビや肌荒れ、乾燥肌などが起きやすくなるといわれています。免疫力とは、外部からやってくる病原菌やウイルスの侵入を防いで体を守るしくみです。

腸には、免疫に関係する細胞が体の中で最も存在しています。そして、腸の免疫細胞を活性化するためには善玉菌が必要です。善玉菌が十分にあることで、健康な肌の育成が促進されます。また、外部からやってくる病原菌やウイルスを攻撃するための物質をスムーズに作り出すことができるようになります。

善玉菌の一種であるビフィズス菌を摂取した実験では、腸内でビフィズス菌が増えることで肌の細胞が健全に育ち、十分な水分を維持したことで乾燥肌を防ぐことが確認されました。

しかし、便秘の腸では悪玉菌が優勢で、ビフィズス菌のような善玉菌は減少しています。このため、肌の水分量が減って乾燥肌や敏感肌になってしまいます。

便秘になると美肌を生み出す物質が失われる

丈夫で強い肌を作るにはビタミンBは欠かせません。ビタミンBは肌の古い細胞が新しい細胞が入れ替わるのを助け、血行を促進します。

ただ、ある研究では「腸内環境が悪くなると腸内でビタミンBが作られにくくなる」ことが分かりました。腸内のビタミンBが不足すると、皮膚炎や口内炎、かゆみ、湿疹、ニキビなどの症状が出ます。

ビタミンBが不足すると、皮膚細胞の生まれ変わるターンオーバーのサイクルが安定せず、皮膚細胞が生まれ変わるまでに時間がかかってしまいます。すると、ニキビあとや日焼けあと、傷あとが治りにくくなってしまいます。

また、腸内に悪玉菌が増えて便秘になると活性酸素(かっせいさんそ)が大量に生じます。活性酸素は増えすぎると体の細胞を酸化させてしまう物質です。増えすぎた活性酸素はニキビや肌荒れ、たるみ、シワなど皮膚の老化の原因となります。

過剰なスキンケアは肌にダメージを与える

肌荒れが起きると、肌を清潔にしなくてはいけないと思い込んで過剰な洗顔をしたり、ニキビ治療薬を塗ったり、高級な化粧品を買って対処する人がいます。しかし、洗顔をしすぎたり、化粧品を重ね塗りしたりしても、問題の根本的な解決には至りません。

私たちの皮膚には皮膚常在菌(ひふじょうざいきん)という微生物が存在します。皮膚には10種類以上の常在菌が約1兆個いると考えられています。皮膚常在菌の代表的なものとして表皮ブドウ球菌、アクネ菌、マラセチア菌があります。皮膚常在菌は、肌のトラブルを引き起こす微生物が繁殖しないように働きます。

そのため、ニキビや吹き出物ができたからといって必要以上に顔を洗ってしまうと、肌を外敵から守ってくれている菌が殺されてしまいます。すると、ニキビや乾燥は悪化し、かゆみや湿疹が出てくることがあります。

また、添加物を含んだ化粧品は、肌に悪影響を与えることがあります。化粧品に含まれている防腐剤が皮膚常在菌を殺してしまうからです。皮膚の常在菌がいなくなると、花粉や病原菌、化学物質など、少量では害のない物質にも過剰に反応してしまい、肌トラブルを生じるリスクが高くなります。

表面的な対処ではなく、腸の中から改善する

キレイな肌を保つためには、問題が生じてからスキンケアで対処するのではなく、まずは便秘を治して体の内側から改善していきましょう。溜まった老廃物が体内から排せつされないと、毒素が肌の表面から出ようとするために、さまざまな肌の病気を引き起こしてしまうからです。

便秘を解消すると体から老廃物がなくなり、デトックス(=解毒)をすることができます。腸の働きも改善するため、栄養素を消化・吸収する機能も正常化します。その結果、新陳代謝や基礎代謝があがり、肌の細胞の入れ替えがスムーズに行われるため、みずみずしい素肌をキープすることができるようになります。

便秘を解消するにはまずは食生活を見直すことが重要です。先に述べたような、食物繊維は腸のぜんどう運動を活発化するため、便秘に悩んでいる人は特に摂取したい食品です。体から毒素を排泄するショウガやレモン、ペパーミントなども簡単に取り入れられる食材です。

他には、腸内の善玉菌を増やす効果があるヨーグルトやオリゴ糖、乳酸菌が入ったサプリメントを摂取する方法もあります。

これまで見てきたように、便秘で悩んでいる場合には、腸内環境を改善して体内に毒素が溜まらない生活を心がけることが大切です。体の代謝機能が向上し、太りにくい体質になると同時に、肌荒れも治すことができます。腸内環境を整えれば、便秘に関連するさまざまな症状は解決されます。