副腎疲労症候群(ふくじんひろうしょうこうぐん)とは、副腎(ふくじん)という臓器が何らかの原因よって酷使されて消耗した結果、副腎の機能が低下することが生じる病気です。

英語で「アドレナル(Adrenal)」「ファティーグ(Fatigue)」と表記され、文字通り「副腎の疲れ」と呼ばれます。副腎疲労症候群の英語表記である「Adrenal Fatigue Syndrome」を略して、AFやAFSと記載されることがあります。

副腎疲労症候群になると、十分な休息や睡眠を取っているのに疲れが抜けず、いつも体がだるい状態になってしまいます。朝ベッドから起き上がることができなくなったり、ぼーっとして仕事や勉強に集中できなかったり、運動やレジャー、買い物など、外に出てアクティブに活動する気力や体力もなくなってしまいます。

人によっては、副腎疲労症候群で極度の疲労に達し、会話を通じて意思疎通をすることができなくなったり、寝たきりの状態になったり、休職や休学をせざるを得なくなったりする人がいます。また、子育て中の人では、家事や育児に専念できず、子供と一緒に遊ぶ体力がまったくない人が存在します。

さらに症状が深刻になると、何事に対しても興味や関心が無くなり、生きていくことに意味を見いだせなくなって「死にたい」と思うようになる場合があります。このように副腎疲労症候群が重症になると、うつ病に似た症状が出ることが研究でも臨床でも確認されています。

副腎疲労症候群は過剰なストレスや不健康な食事、好ましくない生活パターン、血糖値の乱高下、栄養不足などが原因で起こります。

副腎が疲弊(ひへい)することで、私が生命活動を維持するのに必要な「ホルモン」を副腎で作ることができなくなった結果、体に様々な症状が出現します。そのため、この病気は、副腎疲労”症候群” と呼ばれます。症候群とは、原因は定かでないものの、同時に複数の病気が発症するという意味です。

副腎疲労症候群という病気は、医学の主流に浸透していない病気であるため、診断する医師がよく理解していない事が多く、街のクリニックや総合病院、大学病院に行ったとしても、この病気の名前自体を知らない医療関係者はたくさんいます。また、一般の人も、この病気について詳しい情報を持っている人は少ないです。

加えて、副腎疲労症候群は、会社や学校で実施される「健康診断」から、発症の可能性を推察したり、スクリーニング(検出)したりするのが難しい病気です。通常、健康診断で発見できる可能性がある病気は心臓病、糖尿病、高血圧、がん、慢性胃炎、胃潰瘍、貧血などです。

しかし、副腎疲労症候群は、医師や患者がこの病名の存在を知っていて、かつ、症状が自分に当てはまると認識した上で、唾液やホルモンなどの検査を行わなければ確定できないことが多いです。

そのため、どうして自分は他の人に比べて疲れやすく、エネルギー切れしてしまうのか、原因が分からないままに過ごしている人が多く存在します。

特に「疲れが取れない」という症状は、明確な病気として診断されにくいです。また、「頭痛薬」や「咳止め」のような薬剤とは異なり、「だるさ」や「疲労感」といった、曖昧ではっきりしない症状には、ピンポイントで効く薬を出すことはほぼ不可能です。「疲れに効く」という効果・効能をうたった処方薬は存在しないからです。

そのため、「理由は分からないが、とにかく体が疲れて動けない」という症状を訴えた場合、一般的な病院では的確な対処をして貰えない可能性が高くなります。また、副腎疲労症候群の治療は、今のところ、保険が適応されません。こうしたことも相まって、一般的な医師が診断するケースは少ないようです。

ここでは、副腎疲労症候群の具体的な症状と原因について詳しくみていくことにします。自分の症状や生活パターンに当てはまることがないか、考えながら読んでみて下さい。

もし、自分が副腎疲労症候群にかかっているかもしれないと思った場合には、「副腎疲労症候群をきちんと診断・治療してくれる医療機関」を探して、受診しましょう。副腎疲労症候群を見てくれる病院は「実践医療機関」から探してみて下さい。

また、副腎疲労症候群の専門医が執筆した書籍が販売されています。この章の最後に紹介していますので、参考にして下さい。

尚、副腎疲労症候群を改善するには、自ら書籍やインターネットからの情報収集を行い、自分の生活スタイルや食事習慣を見直すことで、十分に改善できる場合があります。副腎疲労症候群の専門医が、自分で副腎疲労症候群を治すための方法をビデオで解説した教材も販売されています。

副腎疲労症候群の正しい知識を得て、然るべき専門医の元で治療を行いながら、日々の生活スタイルを見直すことで、副腎疲労症候群を改善していくことが大切です。

目次

副腎疲労症候群の基礎知識

ここでは副腎疲労症候群という病気の基本的なことについて説明していきます。

副腎は体のどこにあって、どんな役割を果たしているのか、また、副腎が酷使されてしまう状況とは一体どんな場面なのかをみていきます。また、副腎が消耗してその機能が果たせなくなった結果、私たちの体にどのような悪影響が生じるのかについても説明していきます。

副腎疲労症候群とは何か

副腎疲労症候群とは、肉体的・心理的ストレスや乱れた食習慣などによって、副腎でホルモンが作られなくなった結果、身体を維持するための様々な機能が低下し、持続的な疲労感やだるさ、アレルギー、むくみ、苛立ち、不眠、低血糖症状、性欲の低下、うつ病など、様々な病態を引き起こす病気です。

副腎はどのような臓器か

副腎は、腎臓(じんぞう)の上に位置する臓器です。腎臓は体内に2つあるため、副腎も2つあります。

左右で形が異なり、右は三角錐(さんかくすい)、左は半月型(はんげつがた)をしています。副腎の大きさには多少の個人差があるものの、長さ2.5cm、幅2センチ、厚さ0.6cm、重さ5gが標準的な大きさと言われています。副腎はウズラの卵やピンポン玉位の大きさと表現されます。一般的に、男性の方が女性よりも副腎のサイズは大きいです。

副腎は、サイズが小さくて目立たない存在ですが、私たちが生命活動を営んでいくために、極めて重要な役割を果たしています。

副腎はホルモンを作っている臓器のひとつ

副腎では色々な種類のホルモンを作っています。ホルモンとは内分泌腺(ないぶんぴつせん)で作られ、血液に放出されることで、体が安定的な状態を保つように作用する化学物質のことです。

内分泌腺とはホルモンを合成・分泌している組織のことで、脳下垂体(のうかすいたい)、胸腺(きょうせん)、甲状腺(こうじょうせん)、副甲状腺(ふくこうじょうせん)膵臓のランゲルハンス島、精巣(せいそう)、卵巣(らんそう)などがあります。

体のいたる所にある内分泌腺で作られたホルモンは、毛細血管に取り込まれて血液の中に入り全身を巡ります。そして、特定の臓器の特定の細胞に対して作用します。ホルモンの作用を受ける臓器をホルモンの標的器官(ひょうてききかん)といいます。ホルモンには色々な種類があり、それぞれ作用する標的器官が異なります。

ホルモンは内分泌腺で合成されたのちに標的器官に届けられ、そこで化学的な変化を起こすことで、体内の内外で起きた環境変化に対応して体が安定するように働きます。

ホルモン(内分泌腺)は大きく2種類に分けることができます。

1. 他の器官と独立し、内分泌機能のみ司る器官
脳下垂体、松果体、副甲状腺、副腎

2. 器官の一部として内分泌細胞が組み込まれている器官
膵臓ランゲルハンス島、卵巣・精巣の性ホルモン分泌細胞、消化管ホルモン分泌細胞、心臓や腎臓のホルモン分泌細胞

ホルモンは、ごく少量であっても、非常に強い作用をもたらします。そのため、体内で合成・分泌されるホルモン量のバランスが崩れると、あまねく病気を引き起こすことになります。

副腎では様々なホルモンを作っている

副腎で合成されているホルモンには、アンドステロン、コルチゾール、アンドロゲン、エピネフリン、ノルエピネフリンがあります。

副腎の外層部分である副腎皮質(ふくじんひしつ)では、アンドステロンコルチゾールアンドロゲンが作られています。副腎の内部を構成する副腎髄質(ふくじんずいしつ)では、エピネフリンノルエピネフリンが作られています。

アルドステロン

副腎皮質の球状帯(きゅうじょうたい)から分泌されるホルモンで、鉱質コルチコイド(ミネラルコルチコイド)の一種です。
腎臓の尿細管に働きかけ、体からナトリウムを再吸収したり、体外にカリウムの排泄を行うことで、尿として排出される塩分やカリウムの量を調節したりしながら、体内の塩分濃度を一適切に保つ働きをしています。

コルチゾール

副腎皮質の束状帯(たいじょうたい)から分泌されるホルモンで、糖質コルチコイド(グルココルチコイドの一種です。

生命を脅かすような緊急事態に直面した際やストレスを受けた時に、ストレスに対応するように働きかけるホルモンです。体の中で糖を合成して血糖値を上昇させる糖新生(とうしんせい)を促進したり、炎症をしずめたり、免疫を抑制する働きがあります。

アンドロゲン(副腎男性ホルモン)

副腎皮質の網状帯(もうじょうたい)から分泌されるホルモンで、男性ホルモン(雄性ホルモン)とも呼ばれます。アンドロゲンとは第二次性徴を促したり、生物学的に男性が男性らしい肉体や特徴を形作るために働いたりするホルモンの総称です。

アンドロゲンは「男性ホルモン」ですが、男性でも、女性でも作られています。男性では精巣でアンドロゲンが合成され、女性では卵巣でアンドロゲンが合成されます。そして、男女共に副腎でアンドロゲンが合成・分泌されています。

副腎で合成されるアンドロゲンを、精巣や卵巣で作られるアンドロゲンと区別して「副腎男性ホルモン」と呼ぶことがあります。

アンドロゲンの種類として、テストステロン、ジヒドロテストステロン(DHT)、デヒドロエピアンドロストロン(DHEA)、アンドロステロン、アンドロステンジオンなどがあります。アンドロゲン(男性ホルモン)の中で、90%以上を占めているのがテストステロンです。

副腎で分泌されるホルモンの種類(表)

グルココルチコイド (糖質コルチコイド) コルチゾール
ミネラルコルチコイド (鉱質コルチコイド、電解質ホルモン) アルドステロン
性ホルモン 男性ホルモン アンドロゲン(テストステロン)
女性ホルモン エストロゲン(卵胞ホルモン)
プロゲステロン(黄体ホルモン)

エピネフリン(アドレナリン)

副腎髄質からされるホルモンの一種です。エピネフリンには、心臓の拍動を速くする、汗をたくさん出す、気管支を拡張させる、血糖値を上昇させる、血圧を上げる、瞳孔を拡大して血糖値を上げるといった働きがあります。エピネフリン(アドレナリン)は、身体を興奮させ、攻撃状態に動く作用を持っています。

ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)

副腎髄質からされるホルモンの一種です。ノルエピネフリンはエピネフリンの前駆物質(ぜんくぶっしつ)です。前駆物質とはある物質ができる前の段階の物質をいいます。体内ではノルエピネフリン→エピネフリンの順序で合成されます。

ノルエピネフリンには、エピネフリンと同様に心拍数や呼吸数、血圧を上げて体を緊張さたり、興奮状態にしたりする働きがあります。

また、ノルエピネフリンには、覚醒作用(かくせいさよう)があるため、頭が冴えて、物事に対するやる気が高まります。集中力や判断力を向上させ、長期的な記憶力を良くし、ストレスへの対抗力を増強する作用があります。加えて、突発的な衝動を抑える働きがあります。

エピネフリンとノルエピネフリンは脳で作られ、脳の細胞と細胞の間(シナプス)を行き来することで、私たちの認知や感情に働きかける神経伝達物質(しんけいでんたつぶっしつ)でもあります。

副腎が疲弊して副腎疲労症候群になるとどうなるのか

ストレスが過剰になり、副腎でストレスホルモンが合成され続けた結果、副腎は疲れ果て、機能は弱まってしまいます。すると、ストレスがあるにも関わらず、副腎でストレスに対抗するためのホルモンを作り出すことができなくなってしまいます。こうした状況になると、副腎疲労症候群が発生します。

副腎疲労症候群では、その発症段階や重症レベルによって症状が異なりますが、ここでは特徴的な症状について述べたいと思います。

コルチゾールの影響

まず、副腎が疲弊してコルチゾールが正常に分泌されなくなると、ブドウ糖(グルコース)を体内で作りだすことができなくなるため、血糖値を安定的に保つことができなくなります。その結果、「低血糖状態」になることがあります。 血糖値が上昇しないために、エネルギーを作り出すことができなくなり、休息を取っても、睡眠をとっても、体は疲れたままになります。

血糖値が不安定であるために、精製された炭水化物や砂糖が入ったお菓子など、糖質が多い食べ物が欲しくなります。

また、いつも眠くて頭が冴えないため、コーヒーやお茶など、カフェインが入った飲み物が欲しくなります。タバコ(ニコチン)を吸わないと、仕事や家事に取り掛かれなくなる人もいます。

アルドステロンの影響

副腎疲労症候群になって、アルドステロンが分泌されなくなってしまいます。その結果、副腎疲労症候群が重症になると、無性に塩分が欲しくなります。ポテトチップスや梅干し、漬物が食べたくなったり、おかずに塩やしょう油を大量にかけて食べていたりする人も存在します。

ノルエピネフリン・エピネフリンの影響

副腎が消耗してノルエピネフリンやエピネフリンの分泌が低下すると、気分や行動に影響が出ます。いつも不機嫌になってイライラしたり、集中力が途切れたり、理性を保つことができずに衝動的な行動に出てしまったりする場合があります。

副腎疲労症候群による体の不調

副腎疲労症候群になると、下記のような体調不良が生じることがあります。

  •  理由もなく何だかいつも疲れている
  • 十分な休息や睡眠をとっても常に身体は重い
  • 朝、布団から起き上がる事が出来ない
  • 日中はだるく、眠くてあくびがとまらない
  • 頭がぼーっとして冴えず、集中することができない
  • コーヒーや甘い菓子パンで何とか朝を乗り切っている
  • 塩辛いものが食べたくなる
  • 以前よりも食欲や性欲が落ちた
  • アレルギーやアトピーが出るようになった
  • 花粉症の症状が年を追うごとに悪化する
  • めまいや立ちくらみがする
  • 突然の吐き気に見舞われる
  • 風邪をひきやすい
  • ちょっとした事で疲れやすい
  • 飲み会、パーティー、残業などでムリをすると、翌日どっと疲れが出て倒れ込む
  • プレッシャーやストレスに弱い
  • 血圧が低い
  • 月経前症候群(PMS)がひどく、生理痛で仕事や勉強に支障が出ている
  • 低血糖症という自覚がある
  • 毎日の生活を力を振り絞ってどうにか生きている
  • 生きがいが感じられない、やる気が出ない
  • 死んでしまいたいと思う など…

副腎疲労症候群による症状

副腎疲労症候群になると、下記のような症状が出る場合があります。個人によって症状の現れ方には差があります。副腎疲労症候群を診てくれる専門の医療機関にかかり、詳しい問診や検査をしてもらうことが望ましいです。

  • エネルギー合成能低下
  • 抗ストレス作用低下
  • 血糖調節異常(高血糖、低血糖)
  • インスリン抵抗性亢進
  • アレルギー(花粉症、アトピー、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎、ぜん息)
  • 自己免疫疾患(リウマチ)
  • 慢性疲労
  • 消化不良
  • 高血圧
  • 肥満
  • 不眠
  • うつ病
  • 低体温
  • 月経前症候群(PMS)など

※上記の病気が副腎疲労症候群と併発している場合もあります。

副腎疲労症候群になりやすいタイプの人

医学的なエビデンスや統計はありませんが、一般的に副腎疲労症候群になりやすい体質があります。

  • 几帳面で真面目、完璧主義で何ごとも100%やらないと気が済まない
  • 上昇志向が強い
  • 仕事第一優先で、朝から晩まで、週末返上で働いている
  • 甘い物やコーヒーが無いと朝がスタート出来ない
  • 外傷や炎症がある
  • 日頃から、大きなストレスやプレッシャーに晒されている
  • 「常に働き続けていなければいけない!」という強迫観念に駆られている
  • 金、地位、名声、昇進、世間体など、何かに固執して譲る事が出来ない
  • ジャンクフードや甘い物、炭水化物ばかりを好んで食べている
  • 睡眠時間が短い
  • 運動不足
  • 余暇を楽しむなど、リフレッシュする時間が無ない

副腎疲労症候群が発症するのは過剰なストレスが原因

副腎疲労症候群になってしまう原因に大きく関わっているのがたび重なるなるストレスの存在です。現代社会を生きる私たちは、絶えずストレスを感じながら毎日を生活しています。

副腎ではストレスに対抗するためのホルモンが作られています。ストレスが続いて、副腎が絶えずストレスに対抗するためのホルモンを作り続けると、副腎は休むことができなくなり、疲れ果ててしまいます。

その結果、副腎でコルチゾールやノルアドレナリン、アドレナリンが合成できなくなってしまいます。すると、ストレスから心と体を守ることができなくなってしまいます。

ストレスには大きなものから小さなものまでありますが、こうしたストレスが積み重なってゆくことで、副腎に大きな負担がかかります。

副腎で分泌されるコルチゾール

肉体的なストレスを受けたり、精神面なストレスを感じた際、副腎ではストレスに対抗するための「ストレスホルモン」の合成を行って、好ましくない状況に対処しようとします。このときに分泌するストレスホルモンが、先に説明したコルチゾールやノルエピネフリン、エピネフリンです。

ストレスを受けると、副腎の副腎皮質でコルチゾールが分泌されます。コルチゾールは、体の内外でおきた緊急事態に対応するよう、体の機能を調節するように働きます。

コルチゾールが担う働きには、下記のようなものがあります。

  • 血糖上昇
  • 炎症抑制
  • 血圧、脈拍上昇
  • タンパク質、脂質のエネルギー変換
  • 胃酸調整
  • 甲状腺ホルモンの活性化
  • 骨吸収 など

副腎から分泌されたコルチゾールは、肝臓に働きかけてグリコーゲン(肝臓で貯蔵されているブドウ糖)を分解し、ブドウ糖(グルコース)を作り出して血糖を上昇させます。これの仕組みを、糖新生(とうしんせい)といいます。

このとき、コルチゾールは、血中のブドウ糖を細胞内に取り込む働きをするインスリンの分泌量を抑制します。糖新生によって体内でブドウ糖を合成しながら、同時にインスリンを抑制することで、体内の血糖値を一気に上昇させます。

こうしたことから、コルチゾールは、別名「糖質コルチコイド」と呼ばれます。

また、コルチゾールは血管を縮めて血圧を上昇させることで強い緊張感をもたらします。さらに、体温や心拍数も上昇させることで、目の前にいる敵から逃げだしたり、緊急事態から脱出したりするように態勢を整えます。コルチゾールは「一刻を争う事態に対して、体が瞬時にエネルギーを作り出す」ように働きかけているのです。

また、コルチゾールには炎症(えんしょう)を抑えて、免疫力を弱める働きがあります。

炎症とは、体に傷ができたり、細菌やウイルスに感染した際に、赤く腫れたり、痛みが出たり、熱を出したりすることで、体を回復に向かわせるための働きです。炎症が生じている最中は、体内では傷や病原菌がある部分に白血球が集まって、異常を起こしている物質を攻撃している状態です。 コルチゾールによって、炎症が抑制されるため、腫れや痛み、発熱が抑えられて、体が楽になります。

また、コルチゾールが分泌されると免疫力が低下します。免疫力が抑制されるので、炎症症状は軽くなりますが、病原菌やウイルスに抵抗する力は弱められます。そのため、風邪にかかりやすくなったり、体内に病原菌が繁殖しやすくなったり、花粉症が重症化したりすることがあります。

ストレスに対抗しようとする際、副腎皮質では、コルチゾールと共にアルドステロンを作り出します。アルドステロンは、鉱質コルチコイドやミネラルコルチコイドとも呼ばれます。鉱質とは「無機塩類」のことをあらわします。

ストレスが溜まって副腎皮質からアルドステロンが大量にでることで、体内に塩分を溜め込もうとします。アルドステロンは、尿として排出される塩分を調節することで、体内の塩分濃度を一定レベルに保つ働きをしています。

さらに、ストレスを受けたときに副腎髄質からはノルエピネフリンとエピネフリンが作られます。

ノルエピネフリンには、同様に心拍数や呼吸数、血圧を上げて体を緊張さたり、興奮状態にしたりする働きがあります。 一方のエピネフリンには、心臓の拍動を速くする、汗をたくさん出す、気管支を拡張させる、血糖値を上昇させる、気管支を拡張させる、血圧を上げる、瞳孔を拡大して血糖値を上げるといった働きがあります。

いずれのホルモンも、体を「戦闘状態」や「攻撃モード」に仕向ける作用をもたらします。

ストレスホルモンの役割と自律神経との関わり

ノルエピネフリンとエピネフリンは、私たちの自律神経(じりつしんけい)とも密接な関わりを持っています。自律神経とは、私たちの意思とは無関係に働く神経のことで、呼吸や体温調節、代謝、消化活動、血液の循環など、生命を維持するために絶えず活動している神経をいいます。

自律神経には、交感神経(こうかんしんけい)副交感神経(ふくこうかんしんけい)の2種類があります。

交感神経は日中、体が活発に動いているときに優勢になる神経です。交感神経が優位になっているときは、心拍数が増え、瞳孔が開き、身体のすみずみまで血液が届くように血管が収縮し、多くの酸素を取り込むために呼吸が激しくなります。

副交感神経は穏やかな気分でリラックスしているときや安静にしているときに優勢になる神経です。副交感神経が優位になっているときは、脈拍がゆっくりになったり、呼吸が深くなったり、胃腸での消化・吸収の動きが活発になったりします。血圧も落ち着いた状態になります。

興奮作用をもたらす交感神経は心臓や血管、皮膚、気管支などに張り巡らされています。ストレスを受けると、交感神経の先端から、ノルエピネフリンとエピネフリンが分泌されます。また、ノルエピネフリンとエピネフリンが、交感神経を刺激して活性化することも知られています。

つまり、交感神経とノルエピネフリン・エピネフリンは、双方向の働きによって、私たちの体をより強い興奮状態へと導きます。

現代のストレスは昔と違う

私たちの体に、ストレスに対抗するための力が備わっている背景には、生物学的な理由があります。

太古の昔、まだ文明が発達していない頃に人間が直面した「ストレス」とは、どう猛な動物に襲われたり、他の部族と殺し合いをしたり、日照りや豪雨に襲われるなどの、命を脅かす危機のことでした。このような非常事態は、ヒトの心身に相当なインパクトをもたらしたものの、大抵の問題はごく短い間に終わるものばかりでした。

そのため、非常事態に直面した際に、昔の人が瞬時に決断したのは、敵から「逃げるか」「戦うか」のどちらかひとつでした。そうした理由から、副腎ホルモンによるストレスへの適応システムは、「闘争か逃走(ファイト・オア・フライト)反応」と呼ばれています。

しかし、現代社会を取り巻くストレスは、遠い昔に私たちの先祖が体験したストレスとは大きく性質が異なります。現代社会にはびこるストレスは、直接的に命の危険を脅かさないものの、日常生活の中で止めどなく発生するやっかいなトラブルであることが大半です。

原始時代のように、草原で餌を探しているときに巨大な恐竜に襲われることがなくなった反面、会社や学校での人間関係に問題が生じたり、経済的に困窮したり、受験や昇進に失敗したり、食品や化学物質に過敏になったりと、毎日いたるところでストレスを感じるような生活へと変化しました。

そのため、本来であれば、ごく短い時間だけ作られていたホルモンが、24時間365日発生するストレスに対処するため、休みなく作られるようになってしまいました。

視床下部、下垂体、副腎の連携:HPA軸

脳が何らかのストレスを感じ取り、怒りや不安、恐れ、苦しみなどの感情が起こると、自律神経が興奮して副腎髄質からノルエピネフリンが分泌されたり、副腎皮質からコルチゾールが分泌されたりします。

このとき、ノルエピネフリンやコルチゾールがどの位分泌されるかは、脳の命令によって管理されています。脳では、視床下部(ししょうかぶ)下垂体(かすいたい)という組織でコルチゾールの合成を制御しています。

視床下部では、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH:corticotropin-releasing hormone)を合成・分泌します。

視床下部から放出された副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)は、下垂体を刺激します。すると、下垂体は、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH:adrenocorticotrophic hormone)を合成・分泌します。すると、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)は、副腎皮質にコルチゾールを分泌するように命令します。

副腎で作られたコルチゾールは血液に乗って視床下部と下垂体に到達します。すると、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)と副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌は抑制されます。これをネガティブフィードバック(負のフィードバック)と呼びます。

ネガティブフィードバックでは「ストレスに対抗するホルモンが十分に作られたから、これ以上は分泌する必要はない」と脳に伝える働きをしています。このような視床下部、下垂体、副腎の連携を、HPA軸(Hypothalamus-Pituitary-Adrenal)といいます。

副腎疲労症候群とうつ病との関係

通常、HPA軸は、ストレスに対して十分なコルチゾールを合成すると、フィードバック機構によって、これ以上コルチゾールを作らないようにします。しかし、副腎疲労症候群の人では、このHPA軸によるフィードバック機構が正常に働かないことがあります。

HPA軸が過剰に働く状態が続くと、コルチゾールをはじめとしたストレスに関わるホルモンが大量に放出されます。コルチゾールが大量に分泌され続けると、脳の海馬(かいば)に影響を及ぼします。すると、記憶や学習、気分に悪い影響をもたらすようになります。

このことが、うつ病が発症する要因のひとつではないかとされています。実際に、うつ病の人では、HPA軸の負のフィードバック機能に障害があることが認められています。こうしたことからも、副腎疲労症候群とうつ病には深い関連があることが読み取れます。

ストレスによる副腎疲労は記憶や学習、気分にも影響を及ぼす

副腎疲労症候群になると、脳の機能に支障が出て、集中力の低下や思考力の低下、記憶力の衰え、キレる、衝動が抑えられなくなるといった症状が生じる場合があります。つまり、副腎疲労が認知、記憶、情動の問題を引き起こしてしまうのです。

ストレスが過剰なために副腎疲労症候群になると、脳の海馬が萎縮(いしゅく)することが知られています。萎縮とは「臓器や組織がしぼんで縮んでしまう状態」をいいます。

海馬は大脳の奥深くに存在します。形が「タツノオトシゴ」に似ているために海馬と呼ばれるようになりました。

海馬には、生活の中で生じる様々な情報を整理して、一時的に記憶として保管しておく働きがあります。海馬では、五感を通じて得られる様々な情報を選別して、1ヶ月から数ヶ月程度の「短期記憶」を保存しています。したがって、海馬は「新しい記憶」を保管している組織といえます。

海馬は外部の刺激にとても敏感で、壊れやすい性質を持っています。海馬が心理的ストレスを長期間受け続けると、副腎皮質からコルチゾールが大量に分泌され、海馬の神経細胞が破壊され、海馬が萎縮します。

副腎疲労症候群によって海馬の機能が低下すると、新しいことが覚えられなくなります。人によっては、過去に起きた出来事ははっきりと覚えているのに、最近起きたことは思い出せなくなります。

そのため、記憶障害や学習障害が生じます。人によっては、自分の感情が抑えられなくなって怒りが爆発したり、感情が抑えられずに理性的な行動がとれなくなったりします。また、うつ病に似た症状が出現することがあります。

コルチゾールの日内変動

健康な人では、朝起きたときにコルチゾールの濃度が最も高く、夜にかけて低くなります。これがコルチゾールの正常な分泌状況です。コルチゾールの24時間のサイクルをサーカディアンリズム(Circadian rhythm)といいます。

コルチゾールの日内変動

ストレスや不規則な生活、食生活の乱れなどが原因で副腎疲労症候群になると、コルチゾールの分泌バランスが崩れます。特に、ストレスが多い生活を送っていると、副腎は身体の恒常性を保とうとして、一生懸命に働きます。すると、副腎では常に大量のコルチゾールを合成し続けます。(下の図の赤線)

その結果、朝から夜まで休む暇もなく副腎でコルチゾールが作られることになり、正常なサーカディアンリズムを刻むことができなくなります。

ストレスに対抗するために、副腎が大量のコルチゾールを生産し続けると、やがて副腎の能力の限界が超える日がやってきます。ついに副腎は疲れ果て、コルチゾールを作り出すことができなくなってしまいます。(図の黄線)

その結果、朝起きる時間になってもコルチゾールを生産することができなくなります。すると、一日中、コルチゾールの分泌量が低くなります。このような状態では、ストレスに対処するだけではなく、生きるためのエネルギーも低下し、体のあらゆる機能不調が生じます。

コルチゾールの減少

コルチゾールの分泌状態を調べる検査

コルチゾールの分泌状態を調べる「唾液中コルチゾール検査」があります。1日に4回唾液を採取することで、時間の経過に応じて適切なレベルのコルチゾールが副腎で分泌できているかを調べます。

時間ごとに測定するコルチゾールは、副腎がどれだけ機能しているかを推察するための指標とします。
朝のコルチゾール: 副腎最大機能、昼のコルチゾール : 副腎適応能力、夕方のコルチゾール:副腎血糖調節能、夜のコルチゾール:副腎基礎能力。

唾液中コルチゾール検査を受けると、このような検査結果が出ます。

各クリニックにより、検査代金や検査代会社、測定方法、検査キットの内容は異なります。詳しくは各クリニックまでお問い合わせ下さい。

コレステロールが低いと体内でホルモンが作られなくなる

副腎疲労症候群の人では、血液中の「コレステロール」が低い傾向があります。コレステロールはホルモンの材料として使われる大切な物質です。

一般的な健康診断では、コレステロールが高いと動脈硬化のリスクが高まるために注意が促されます。しかし、コレステロールは低すぎることも問題です。

コレステロールが減少すると、健康的な生活を維持するために必要なホルモンを作り出すことができなくなります。すると、副腎疲労症候群以外にも、あまねく病気を引き起こしてしまうことになります。

副腎疲労症候群と診断された人で、コレステロールの値が低い場合は、コレステロールを上げるための食事指導がされることが多いです。コレステロールが高い食品として、フォアグラやレバー、鶏卵、するめ、からすみ、さくらえび、あん肝などがあります。

こうした食品に加え、分子整合栄養医学による治療では「良質な油」を積極的に摂取することが勧められます。

他にも、オリーブ油や亜麻仁油、ココナッツオイル、オメガ3系のPEA/DHAには、悪玉コレステロールを減少させ、炎症を抑え、血液をサラサラにし、エネルギーの合成を促し、細胞の膜を強化する働きがあります。

副腎に負担がかかる食事

副腎疲労症候群の人では、普段の仕事が忙しくて料理をする時間がなかったり、思考力が低下してメニューを考えることができないために、きちんとした食事を自分で作らない人が多いようです。

普段の食事はコンビニエンスストアのお弁当やスーパーで売られているお惣菜、ファーストフードなどの外食で済ませている人がいます。しかし、こうした食品には、添加物や着色料、保存料、酸化した油などが使われています。そのため、全身の細胞の機能を低下させて、身体の交感神経を優位にさせてしまうことに繋がります。

加えて、副腎疲労症候群の人は、体が低血糖状態にあり、エネルギーも不足しているため、ついつい甘いもや炭水化物に手が伸びてしまいます。お菓子やパン、麺類などはすぐに血糖を上げて、エネルギーとなるからです。

また、甘い物を食べると、脳内にセロトニンという物質が一時的に増えます。幸福感が得られるためにデザートや菓子パンなどの炭水化物を食べたくなってしまいます。

しかし、糖質が多い食品ばかりを摂取していると、血糖値が乱高下するために、安定的な血糖を保つことができなくなります。血糖値が短時間に上昇したのちに、血糖が急降下すると、再び血糖を引き戻そうとして副腎のコルチゾールが大量に分泌されることになります。

すると、ただでさえ疲れている副腎に、さらなる負担が襲い掛かることになります。そのため、副腎疲労症候群と診断された場合は、副腎に負担がかからないような食事内容に切り替える必要があります。食事内容は個人の体質や症状の深刻度によって異なりますので、主治医やカウンセラーにご相談下さい。

副腎疲労症候群の人はカフェインの摂取を控える

副腎疲労症候群の人では、コーヒーや紅茶、炭酸飲料などからカフェインを摂取しないと、目が覚めず、頭が働かないという人が多いです。カフェインは副腎を刺激してエピネフリンの分泌を促進したり、交感神経を活性化させて神経を興奮させます。そのため、出勤前などにカフェインを飲むことで、気持ちをシャキッとさせている人が多いです。

しかし、過剰なカフェイン摂取は副腎にとって大きなストレスになります。毎日、コーヒーを何杯も飲んでいると、カフェインの作用によって体が興奮し、それをストレスだと認識した脳が副腎に命令を出して、副腎皮質から大量にコルチゾールが分泌されるようになります。

カフェインも、砂糖と同様に、摂取すればするほど、その刺激が欲しくてより多くの量を求めてしまう嗜好品(しこうひん)です。お茶やコーヒーを飲むとやる気が出たり、リラックスしたり、安心感や幸福感を得たりすることができますが、カフェイン中毒になると、カフェインなしではや日常生活を送ることができなくなってしまいます。

一時的に疲労感をごまかし、やる気を引き立たせるために摂取しているカフェインが、結果的に副腎を更に疲弊させる原因になっている可能性もあります。

副腎疲労症候群と診断された場合には、カフェインの摂取量を控えるようにしましょう。どうしても、コーヒーや紅茶が飲みたい場合には、カフェインレスのコーヒーやたんぽぽコーヒー、ハーブティーなどを代わりに飲むことができます。

コーヒーの摂取に関しては、然るべき医療機関を受診した際に、主治医に相談してみましょう。

副腎疲労症候群の治療では、基本的にカフェインは控えるように指導されることが多いですが、医師によっては、副腎疲労症候群が重度のケースでも、「患者にコーヒーを突然やめさせない」ケースがあります。こうした理由には、患者の生活状況が関係しています。

たとえ、副腎疲労症候群が重度であっても、毎朝出社して、仕事をしたり、子供を学校まで送らなければいけない状況の人は大勢います。そうした人が、突然カフェインをやめてしまうと、体が動かなくなったり、思考が停止したりして、業務や育児に支障が出ることがあります。

そのため、ドクターによっては、敢えてカフェインの摂取を中断せずに、徐々にカフェインの量を減らしていくことで「カフェインが無くても良い状態に体を慣れさせる」治療方針をとる人がいます。

自分の体質や症状の重さに応じて、カフェインとどう付き合っていけばよいのか、治療の過程で主治医とじっくり相談してみましょう。

また、コーヒーやお茶にはポリフェノールやカテキンという有用な成分が含まれています。これらの成分には、抗酸化作用や殺菌作用、血圧を下げる作用、血糖を調節する作用などがあります。コーヒーを楽しむ時は、適量をバランスよく摂るのが良いと言えるでしょう。

副腎疲労症候群が重症の人は糖質制限を行ってはいけない

副腎疲労症候群の人は、副腎が消耗して正常にコルチゾールが分泌できないために、糖新生が行えずに低血糖状態になることがあります。そのとき、低血糖の症状を改善するために、砂糖や炭水化物を一切排除して、厳格な糖質制限をやってしまう人がいます。しかし、自らの勝手な判断で糖質制限を実施するのは危険な行為です。

副腎疲労症候群の人が低血糖状態になっているのは、いわゆる「機能性低血糖症」と同じ状態であることが多いです。つまり、単純に「血糖が低い」のではなく、血糖コントロールが乱れて、血糖値が不安定になっている状態です。

副腎疲労症候群を専門的に診ている宮澤賢史先生によれば、「副腎疲労症候群に伴う低血糖」には2パターンあるそうです。

  1. インスリン過剰分泌パターン
    インスリンが過剰に分泌されるために、血糖値が必要以上に下がっている状態。
  2. 肝機能・コルチゾール低下パターン
    肝臓の機能が低下していたり、副腎皮質でコルチゾールを分泌する機能が低下していたりするため、正常な糖新生を行うことができず、ブドウ糖を作り出す力が弱くなって血糖値が下がっている状態。

副腎疲労症候群で「2. 肝機能・コルチゾール低下パターン」になっている人は、糖質制限を行なってはいけないとされています。この治療の考え方は、糖尿病や生活習慣病予備軍の人が糖質制限を行うのとは異なります。

自分の体で必要なブドウ糖を作る能力が低下している人が、糖質制限によって炭水化物を除去してしまうと、ブドウ糖の入手源がなくなってしまいます。もともと体内でブドウ糖を合成できずに血糖が低下している状態なのに、食事からブドウ糖の補給を断ってしまうと、体内のブドウ糖はさらに減ります。

すると、体内ではブドウ糖を利用してエネルギーを生み出すことができなくなります。体内のブドウ糖の濃度が下がってエネルギー不足になると、私たちの体は、自らの筋肉や脂肪を分解してブドウ糖を作り出そうとします。すると、人によっては大幅に体重が減少したり、さらに疲労感が増すようになったりします。

このように、副腎疲労症候群が重症期の人や糖新生を正常に行うことができない人では、厳格な糖質制限をやってはいけないと判断されることがあるようです。しかし、万人にこの治療ルールが当てはまるわけではなく、症状や体質などの「個体差」を考慮した上で決められます。

糖質制限に関しては、栄養療法を実践している医師の間でも、各自の見解が異なります。糖質制限を積極的に推奨する人もいれば、緩やかな糖質制限に留めておくのが好ましいとする人もいます。

糖質制限をするかしないかは、患者本人が望む治療の方針や人生の哲学によっても左右されるため、まずは自分の考えや意志を主治医に伝えることが大切です。その上で、最適な治療方法を主治医と共に考えてゆくのが、最善と言えるのではないでしょうか。

DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)

副腎疲労症候群の治療では、DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)という、男性ホルモンが用いられる場合があります。

DHEAは、副腎や性腺で産生される男性ホルモンの一種です。テストステロン(男性ホルモン)エストロゲン(女性ホルモン)が合成されるひとつ手前の物質です。(前駆体)つまり、DHEAがないと、アンドロステンジオンやテストステロン、エストラジオール、エストロン、エストリオールといった「性ホルモン」を作り出すことができません。

そのため、DHEAは種々の性ホルモンを作りだす「マザーホルモン」と呼ばれています。

性ホルモンは通常は精巣や卵巣などの生殖器で大部分が生産されます。しかし、年齢と共に性ホルモンの合成能力は低下するため、副腎でも生産できるようバックアップ機能が備えられていると考えられています。

DHEAは、20代後半に最も多く作られますが、年齢を重ねるごとにDHEAの生産能力は衰え、80歳を迎えるまでにはピークの95%まで低下するとも言われています。

副腎で作られるDHEAは、コルチゾールと同じく「コレステロール」を原料として作られています。コルチゾールもDHEAも、同じコレステロールを原料としています。

DHEAはコルチゾールと同じように日内変動をしますが、DHEAはコルチゾールとは正反対の動きをします。

ストレスホルモンであるコルチゾールは糖新生によって血糖値を上げたり、内臓脂肪を蓄積したり、炎症を抑制したりする働きをします。一方で、DHEAは、脂肪の分解を促進し、筋肉量を増やします。結果として基礎代謝が向上、ダイエット効果があるともされています。DHEAは、副腎疲労症候群のほかに、ニキビ治療や糖尿病、うつ病、アンチエイジング、筋力増強などにも用いられます。

副腎疲労症候群になると、DHEAは低下する傾向にあるといわれます。DHEAが低下すると、疲労感やだるさを感じるようになります。そのため、副腎疲労症候群と診断された人で、DHEAが低下している人には、DHEAのホルモン療法がなされる場合があります。

しかし、DHEAの詳しい役割に関しては、まだ分かっていないことが多く、体内での詳しい働きや、DHEAのホルモン剤を用いた際の影響についてはさらなる検証が急務だとされています。実際に、様々な病気の治療でDHEAを使用する場合、様々な副作用が生じることが知られています。

DHEAによる副作用としては、乳がんや前立腺がん、体毛が濃くなる、ヒゲが生える、頭頂部が薄くなる、肌が脂っぽくなりニキビが出る、肥満、陰核肥大、偏頭痛、生理不順、火照り、情緒不安定、イライラなどがあります。

ホルモン治療などでDHEAを用いる場合には、そのメリットとデメリットを主治医に確認してから使用するようにしましょう。

ステロイド剤と副腎

副腎で生産される糖質コルチコイドを化学合成したものをステロイド剤といいます。炎症を鎮めたり、免疫を抑制したり、炎症を抑えたりするために、様々な治療に用いられています。ステロイド剤は、主に膠原病(こうげんびょう)、気管支喘息(きかんしぜんそく)、アトピー性皮膚炎などの炎症性疾患の治療に多く利用されます。

ステロイド剤には、短時間で効き目が現れるというメリットがありますが、強力な副作用をもたらす事が多く、使用法や使用量には十分な注意が必要です。ステロイド剤を長期間使ったりすると、体がステロイドホルモンを分泌しなくなり、副腎機能が衰えたり、副腎が委縮してしまったりします。

ステロイド剤使用による副作用

ムーンフェース、小児の成長抑制、月経異常、副腎不全、副腎クリーゼ、離脱症侯群、座瘡、糖尿病(ステロイド糖尿病、真性糖尿病の憎悪)、中心性肥満、満月様顔貌、皮膚線条、皮膚葬薄化、皮下組織萎縮、創傷治療の遷延、骨粗そう症、圧迫骨折、無菌性骨壊死、筋萎縮、血栓形成、塞栓、皮下出血、高血圧、浮腫、低血圧症、好中球増多、好酸球・リンパ球減少、免疫・炎症反応の低下、アレルギー反応抑制、感染症の誘発・憎悪、消化性潰瘍(出血・穿孔)、脂肪肝、急性膵炎、躁欝状態、多幸感、不眠、食欲昂進、脳圧昂進、けいれん、白内障、緑内障、多毛、皮膚の萎縮、塗った場所が赤くなる、色素脱失、毛細血管の拡張、湿疹・角化症様、疣贅(イボ)、皮膚の感染症の悪化・誘発(水虫、カンジタ、尋常性疣贅、かい癬)など

ステロイド離脱症状

突然ステロイドの投与を中断すると、生体内のステロイドホルモンが欠乏に陥り、吐き気、頭痛、倦怠感、血圧低下を来たす場合があります。これを、ステロイド離脱症状(ステロイド離脱症候群)といいます。

ステロイド剤の投与を中断する際は、医師とよく相談した上で決めましょう。ステロイド離脱症と同時に、副腎不全を招く事があります。副腎不全とは、副腎が働かなくなっている状態で、倦怠感、関節痛、筋肉痛、 食欲不振、悪心、低血圧、体重減少、発熱などの症状が見られる病気です。

副腎を回復させるための工夫

副腎疲労症候群を治すためには、疲れ切ってしまった副腎を休ませることが大切です。そのためには、副腎に負担をかけない生活スタイルにシフトする必要があります。例えば、単純炭水化物や精製された砂糖を控えたり、ストレスを減らしたり、十分な休息と睡眠時間を確保したりすることが求められます。

加えて、普段の食事に気を付けて、副腎の機能を回復させるための栄養素を補給することが、副腎疲労症候群を治すための近道になります。

次章では、副腎疲労症候群に効果的な栄養素についてご紹介してきます。副腎疲労症候群の症状を効率的に治すために、上手に取り入れてみて下さい。

ストレスを減らす工夫をする

副腎疲労症候群の症状を軽減させるためには、病気の元である「ストレス」を軽減することが重要になります。

ストレスには様々なものがありますので、そう簡単に解決したり、解消したりできるものばかりではないものもあるでしょう。そうした場合は、短時間でもいいのでなるべくストレスから離れ、頭が嫌なことでいっぱいになってしまう状況を避けましょう。

日常生活に手軽に取り入れられることができるリフレッシュ方法として、下記のような方法があります。参考にしてみて下さい。

  • 近所を散歩する
  • 深く深呼吸する
  • 美しい花を買ってリビングに飾る
  • サイクルリングをする
  • ペットや子供と遊ぶ
  • 森林浴で自然と触れ合う
  • 軽い運動やランニングを行う
  • ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる
  • お笑い番組などを見ておもいきり笑う
  • 趣味に没頭して、仕事や育児などから一時解放される
  • 好きな料理を作って食べる
  • アロマキャンドルを灯す
  • スマホやパソコンの電源をオフにする
  • 読書や映画鑑賞をする
  • 瞑想をする
  • 十分な睡眠時間を確保する

副腎をビタミンCで満たす

ビタミンCは副腎や脳、水晶体、白血球などの組織で多く消費されるビタミンです。ビタミンCには炎症を抑える「抗炎症作用」や酸化を食い止める「抗酸化作用」があります。また、免疫を高める作用もあります。

高濃度ビタミンC点滴療法学会」によれば、血中を1とすると、脳は血液中の20倍、白血球は80倍、副腎には150倍もの濃度のビタミンCが含まれているそうです。

臓器・組織 イラスト 倍数
血中 1
脳(下垂体) 20
白血球 80
副腎 150

「ビタミンCを必要とする臓器に、より多くのビタミンCが存在する」という考えに照らし合わせると、副腎は他の臓器と比較して、多量のビタミンCを消費する臓器だと言えるでしょう。

ビタミンCには副腎皮質ホルモンの合成を促進する働きがあります。しかし、副腎ホルモンを作り出すことができない副腎疲労症候群の人では、体内のビタミンC濃度が極度に低下していることが考えられます。

一般的に「ビタミンCは美白や美容に良い」とされていますが、ヒトの皮膚は「排泄器官」であり、体内で不要になった老廃物を汗や皮脂、古くなった細胞などをアカとして捨てる働きを行っています。

そのため、副腎や脳でビタミンCが不足している場合、肌の組織にビタミンCが行き届く優先順位は低くなります。体内の中でビタミンCを最も多く消費する臓器から優先的にビタミンCが行きわたるという考えを前提とするならば、ビタミンCが先に届けられる臓器は副腎や脳、白血球とうことになります。

ビタミンCを摂取することで、「美肌作り」の効果を狙うのであれば、まずは副腎や脳、水晶体などの臓器をビタミンCで満たすことが大切です。そうした組織がビタミンCで満たされてはじめて、ビタミンC肌の細胞にも行き渡る可能性が高くなります。

ビタミンCを食事に取り入れる場合は、ビタミンCを多く含む食品を意識して摂取してみましょう。ビタミンCは野菜や果物に豊富に含まれています。特に、赤ピーマンや黄色ピーマン、ブロッコリー、ゴーヤ、カリフラワー、ケール、トマト、パセリ、レモン、アセロラなどの食品にはビタミンCが多く含まれています。

副腎疲労症候群の治療として、不足しているビタミンCを補給する場合、サプリメントや高濃度ビタミンC点滴が行われることがあります。

ビタミンCのサプリメントは、他の栄養素サプリの中でも比較的安価で、入手しにくいもののひとつです。次の章では、ビタミンCをはじめとした、副腎疲労症候群に効果的なサプリメントを紹介します。

高濃度ビタミンC点滴に関しては、高濃度ビタミンC点滴の章を読んで下さい。ビタミンC点滴の濃度や料金は、各医療機関によって異なるため、直接病院にお問い合わせ下さい。

副腎疲労症候群に効果的な栄養素

ここでは、副腎疲労症候群を改善するのに役立つ栄養素をいくつか紹介します。こうした栄養素は普段の食事から摂取することができます。

しかし、食事から必要な栄養素を至適量補うことが難しい場合には、患者の希望に応じて「医療用サプリメント」が処方されることがあります。クリニックによっては、インターネットの通販サイトを利用して、患者自身でサプリメントを購入するようにしているところがあります。

また、ここに紹介する栄養素を摂取できるサプリメントを「栄養素のはたらき」のページで紹介しています。サプリメントを購入する際の参考にして下さい。

ただし、当ウェブサイトで紹介しているサプリメントはあくまでも参考情報として下さい。サプリメントの選択、購入、摂取後の体調不良等で生じた損害に関して、当方はいかなる内容においても一切責任は負いません。ご自身の責任で購入、使用して下さい。

副腎疲労症候群の治療でサプリメントを利用する場合、サプリメントのブランドや摂取タイミング、服用量はドクターの指示に従って下さい。

ビタミンC

先に述べたように、ビタミンCは副腎疲労症候群を治療する上で欠かせないビタミンです。国内の成人におけるビタミンCの必要量 は1日当たり100mgとされています。しかし、副腎疲労症候群の人では、こまめに摂取するのが望ましいです。

大量のビタミンCを一気に摂取すると、お腹がゆるくなったり、下痢になってしまったりする場合があります。ビタミンCは体内の許容量を超えると、体の外に排せつされてしまいます。

そのため、体内を高濃度のビタミンCで満たすためには、少量を何度も繰り返して飲みます。ビタミンCの効果を最大限の高めたい場合は、下痢になる直前の量まで服用量を増やす場合があります。

副腎疲労症候群の治療にビタミンCを用いる場合は、摂取タイミングや服用量など、あらかじめ主治医に相談しましょう。

ビタミンB群(ビタミンBコンプレックス)

ビタミンB群は副腎でのコルチゾールの合成を促進させます。また、ビタミンB群には、体内でエネルギーを作りだす働きや疲労回復の効果があるため、副腎疲労症候群の人は積極的に摂取したい栄養素です。

ビタミンB群のなかでも、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6は副腎ホルモンを作り出すのに欠かせない栄養素です。また、ビタミンB7(ビオチン)やビタミンB9(葉酸)、ビタミンB12なども大切なビタミン類です。

こうしたビタミンB群は、単独で効果を発揮するのではなく、色々な種類のビタミンB同士が協力しながら働いています。そのため、ビタミンB群のサプリは、様々な種類がミックスされた「マルチビタミン・サプリメント」として売られていることが多いのです。

ビタミンB群の中で、ビタミンB6は活性型のサプリメントが利用される場合があります。「活性型とは体内ですぐに使える形状になったサプリメント」という意味です。

副腎疲労症候群など、体調不良を訴える人の中には、ビタミンB6を摂取しても、自分の体の中で「活性型のビタミンB6」に変換させる能力が低下しているために、体内でビタミンB6を効率的に使うことができない人がいます。こうした場合には、活性型のビタミンB6サプリメントの摂取をアドバイスされることがあります。

活性型のビタミンB6には、ピリドキサール5リン酸(P 5 P)と呼ばれます。ピリドキサール5リン酸は主に海外製の製品を用いることが多いです。

副腎疲労症候群などの治療で活性型のビタミンB6を使用して問題ないかどうかは、必ず主治医に相談しましょう。人によっては作用が強すぎるため、返って症状が悪化してしまう人がいるかもしれません。服用タイミングや用量は主治医の指示に従いましょう。

また、ビタミンBコンプやピリドキサール5リン酸は、空腹時に飲むと気分が悪くなったり、吐き気をもよおしたり場合があります。食事をしてから飲むようにアドバイスされることがあるかもしれませんので、こちらも主治医に確認しましょう。

アドレナルサポート(副腎抽出物)

副腎の機能を支える抽出物が入ったサプリメントが効果を発揮する場合があります。豚や牛などの動物の副腎をすりつぶし、その成分を抽出したサプリメントが売られています。

ハーブ類

副腎疲労症候群にはハーブが用いられる場合があります。アシュワガンダというナス科の植物のサプリメントがあります。アシュワガンダは植物の一種で、インドでは古くからアーユルヴェーダで愛用されてきた歴史があります。

アシュワガンダはアダプトゲンとしても知られています。アダプトゲンとは、過去のトラウマや精神的苦痛、肉体疲労、免疫強化など、ストレスに対する抵抗力を高める作用のある天然のハーブをいいます。

甘草(リカリス)

甘草は過剰なコルチゾールの代謝を抑えてくれる働きがあります。サプリメント以外にも、「カンゾウ根のお茶」などがあり、朝にこのお茶を飲むことでも副腎疲労が軽減されるといわれています。

甘草には、主成分としてグリチルリチン酸が含まれています。グリチルリチン酸には炎症を抑えたり、免疫を調節したりする働きがあります。その一方で、グリチルリチン酸の摂取によって、腹痛、吐き気、むくみ、筋肉のこわばり、筋肉痛、こむら返り、手足のだるさなどが生じる場合があります。(偽性アルドステロン症)

そのため、甘草のサプリメントを選ぶ際には、グリチルリチン酸を含まないものを選ぶようにするといいでしょう。サプリメントのラベルにDGL(deglycyrrhizineated licorice)と表記されているものは、グリチルリチン酸の大部分が取り除かれたサプリメントです。

オメガ3系脂肪酸(DHA/EPA)

副腎疲労症候群の人は、体内で起きている炎症を抑えるために、抗炎症作用のあるサプリメントを服用するように指導される場合があります。そうした栄養素の中で代表的なものがオメガ3系脂肪酸のオイルです。

オメガ3系脂肪酸のサプリメントとして、DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)があります。それぞれ単独の栄養素として販売されているものもあれば、ミックスになっているものもあります。主治医と相談して選んでみて下さい。

マグネシウム

副腎疲労症候群の人で絶対的に不足している栄養素がマグネシウムです。マグネシウムは、体内でのエネルギー生産や有害物質の解毒、筋肉の収縮、血圧の維持、ストレスに対抗し精神の興奮を抑える働きがあります。

マグネシウムは私たちの体内で行われている300以上もの化学変化(代謝活動)に関わっている重要な栄養素です。

副腎疲労症候群の人では、ストレスが多く、食生活が乱れているため、マグネシウムの消費量が多いにも関わらず、食事から十分なマグネシウムを摂取することができていません。

マグネシウムサプリには色々な種類があります。グリシン酸マグネシウムや硫酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウム、リンゴ酸マグネシウム、アスコルビン酸マグネシウムなどです。

副腎疲労症候群を治療するのにマグネシウムを用いる場合、どの種類のマグネシウムを摂取すれば良いのか迷った場合には、主治医に相談しましょう。また、マグネシウムは大量に摂取すると下痢などの副作用を起こすため、服用量には注意が必要です。

乳酸菌

副腎疲労症候群の人では過剰なストレスや食生活の乱れ、不健康な生活パターンによって腸内環境が乱れていることがあります。人によっては腸内環境が悪くなり、正常なお通じがないという人もいます。 そうした状況では、腸内フローラのバランスが乱れて、腸内細菌の善玉菌よりも悪玉菌の方が増えている可能性があります。

腸内環境が悪いままでいると、いくら食事内容を改善して、サプリメントを大量に摂取しても、腸内できちんと消化・吸収ことができないために、摂った栄養素が体の細胞にまで届けられなくなります。その結果、体にとって必要な栄養素が不足するため、副腎疲労症候群の治療が成功しないことがあります。

腸内環境が悪いと、リーキーガット症候群による食物アレルギーやカンジダ感染を引き起こす場合があります。すると、腸の粘膜細胞が壊れて栄養素が取り込めなくなるほかに、免疫力が低下したり、悪玉菌の増殖によって便秘や下痢が生じたりする場合があります。

本来であれば腸の壁で排除されるはずの異物が体内に入り込んできてしまうために、体が興奮状態になり、交感神経が優位になり、ストレスによる悪順が起きてしまいます。

こうした問題を改善するために、副腎疲労症候群の人では、腸内環境を改善するためのサプリメントが用いられる場合があります。腸内細菌を改善するためのサプリメントには、乳酸菌やビフィズス菌などの種類があります。

内細菌のサプリメントは、同じ家族でも個人によって合うものと合わないものがあります。主治医と相談しながら選ぶようにしましょう。

副腎疲労症候群を自分で勉強する方法

自宅にいながら自分で副腎疲労症候群について詳しく情報を得られる方法があります。書籍やセミナー動画を購入すれば、病院にかかる前に、あらかじめ自分の病気について知ることができます。書籍やセミナー動画から得た情報を、日常生活にいかすことで、副腎疲労症候群を自分で改善できる場合があります。

また、ドクターなどの医療関係者の人で、副腎疲労症候群の治療方法を学びたいと考えている人も、書籍やセミナー動画を通じて勉強することができます。書籍やセミナー動画を見れば、東京や大阪の都市まで学会に足を運ばなくても、空いた時間に病気の概念や治療法を学ぶことができます。

そして、副腎疲労症候群の基礎知識を得た上で学会に参加すると、講義で解説されている内容をさらに深く理解することができるでしょう。詳細はこちらから。

副腎疲労症候群に関する書籍

副腎疲労症候群について書かれた書籍があります。こうした書籍を読むことで、副腎疲労症候群に関する理解がより深まります。自分が副腎疲労症候群かもしれないと思った場合は読んでみましょう。

副腎疲労症候群に関する書籍は、下記の記事をご覧下さい。

・ 栄養療法の書籍レビュー 副腎疲労症候群(書籍)

副腎疲労症候群に関するセミナー動画

副腎疲労症候群と診断された人が、自分の病気についての理解を深め、日常生活を見直すことで、病気の改善スピードを早めることができます。副腎疲労症候群が発症するメカニズムや副腎疲労が起きてしまう原因について解説しているセミナー教材が販売されています。

副腎疲労症候群を治すための食事方法や効果的なサプリメントの飲み方、サプリメントが効かない理由について、現役の医師やカウンセラーが講義を行っているもようを収録しています。

自宅にいながら勉強できるため、地方都市に住んでいる方や自分のペースで勉強したい方には最適な動画です。一般患者の方でも購入可能です。

副腎疲労の治し方」について、医師が解説している無料の動画がありますので、まずはこちらをご覧下さい。

さらに理解を深めたい人や医師としてこの病気の治療法を学びたい方は、「副腎疲労 脱出セミナー」や「血液検査・毛髪ミネラル検査 徹底解析セミナー」をご覧下さい。

これらの有料動画は、副腎疲労症候群に関する基礎知識をマスター人向けの講義です。分子整合栄養医学を広くカバーしているので、副腎疲労症候群に限らず、腸内環境やカンジダ感染、リーキーガット症候群など、様々な知識を得ることができます。

副腎疲労症候群の説明に使えるマスコット

副腎疲労症候群の病気を患者に説明する際に、口頭だけで説明していませんか?診察のとき、副腎疲労症候群について一生懸命に説明していても、患者にとっては難しい専門用語や聞き慣れない言葉ばかりで、なかなか思うように伝わらないかもしれません。

栄養療法.jpでは、「副腎疲労症候群」を説明するときに使えるよう、フクジンのマスコットを作成しました。手芸のプロに一点、一点手作りして貰ったフエルト製のマスコットです。背中には大きく「フクジン」と刺繍(ししゅう)がほどこされています。

ほぼ原寸大の副腎マスコットを使いながら、副腎疲労症候群について説明をすれば、患者さんは、より具体的なイメージを持って副腎のことを理解することができます。栄養療法のセミナーを開催している講師の方にもおすすめです。(1個 900円)

※ 銀行振り込みご希望の方は、別途メールにてお問い合わせ下さい。

副腎疲労症候群を専門的に診察している医療機関

副腎疲労症候群をきちんと診断し、適切な治療を行ってくれる医療機関をご紹介します。他にも実践医療機関の中には、診察項目に「副腎疲労症候群」とウェブサイトに記載していなくても、相談や診察を行ってくれる病院があります。

先ずは、病院に問い合わせてみましょう。ここに紹介した以外にも副腎疲労を専門的に診ている外来があるので、実践医療機関で紹介しているクリニックを見るか、インターネットで探してみて下さい。

神奈川県川崎市
スクエアクリニック アドレナルファティーグ外来

東京都新宿区
新宿溝口クリニック

東京都千代田区
ナチュラルアートクリニック

東京都港区
ラファエルクリニック

東京都渋谷区
アタナハクリニック

東京都葛飾区
宮澤医院 副腎疲労外来

副腎疲労症候群の問診から治療まで

副腎疲労症候群の人が、初めて病院に行くときに参考になる情報を記載します。副腎疲労症候群が重症が人は、外出するのもやっとだという人がいます。あらん限りの体力を振り絞って病院に行くことを決意したあなたの体力や時間を無駄にしないよう、受診前に準備をしておくことで、医師との円滑なやり取りが行え、安心して治療を進めることができるようになります。

クリニックの予約

副腎疲労症候群の可能性を疑って病院に来院する場合は、まず病院に予約を取る事から始めます。副腎疲労症候群を専門に見ている病院や栄養療法を実践している病院は、「完全予約制」のところが多いです。あらかじめ電話などで予約をした上で来院しましょう。

また、病院に予約をする際には、簡単な既往や問診がされることがあります。これまで大きなけがや病気をした経験はないか、他の栄養療法のクリニックに通っていたことはあるか、現在(過去に)飲んでいるサプリメントは何か、食事はとれているか、会社や学校に通えているか…などを質問される場合があります。

こうした情報は、患者を受け入れる病院や医師にとって極めて重要な情報になりますので、差し障りがなければ答えるようにしましょう。

また、過去に栄養療法のクリニックを受診していたり、各種の検査を受けたりしている場合は、今までに受けた検査結果を持参すべきかどうかを、クリニックのスタッフに聞いてみて下さい。

あなたが過去に受けた血液検査や各種の検査データの推移をドクターに見せることで、症状の経過を読み解き、病気の根本的原因を探るためのヒントが得られる場合があります。

当日のドタキャンが不安な場合

副腎疲労症候群が重症期に差し掛かると、ベッドから起き上がるのもやっとの状態になることがあります。外出することはおろか、料理や掃除、洗濯といった家事や自分の身の回りの世話をすることすらできない場合があります。

こうした人が副腎疲労症候群かどうかを診断して貰うために病院を予約したとき、当日の朝、起きてみないと病院に行くだけのエネルギーがあるかどうか分からないことがあります。

本人には全く悪気がなくても、どうしても体力がついていないために、予約を急にキャンセルせざるをえないケースがあるかもしれません。もし、体力が落ちて予約の日に病院にいくことができない不安を抱えている場合は、最低いつまでに病院にキャンセルの電話をすればいいか聞いておくようにしましょう。

あなたが予約した日に、別の患者さんが来院を希望していたかもしれません。あなたが予約を入れたために他の患者さんが通院できないということになっては、他の患者に迷惑をかけることにもなります。また、事前にあなたを迎え入れる準備をしていた病院にとっても手間かけることになります。

また、予約をした当日は、家族や友人に付き添って貰ったり、タクシーで病院まで行ったりするなど、極力あなたの体力が消耗しないようにしましょう。

来院(問診、カウンセリング、診察、検査、食事・生活指導、サプリメント処方、点滴)

副腎疲労症候群の可能性がある場合、病院ではまず問診票を記載する場合があります。また、問診票を記入した後に、病院によってはカウンセラーが、あなたの症状や生活状況について簡単なヒアリング(聞き取り調査)を行う場合があります。

これまでケガや病気をしたことはあるか、普段はどのように過ごしているのか、便通はきちんとあるのか、食事はどうしているのか、休職していたり、不登校になっていたり、肉体的な疲労感以外に、精神的なストレスやメンタルに影響を及ぼす症状が出ていないか聞かれる場合があるかもしれません。

医師への伝え方

いつから、具体的な症状、思い当たる原因、普段の食事、お通じ、女性特有の症状(生理が不順、生理前に暴飲暴食するなど)、性欲の低下

カウンセラーによるヒアリングを介さずに、すぐにドクターが診察するクリニックもあります。

事前に、副腎疲労症候群についてよく調べた上で来院する人の中には、一回の診察で様々な検査をやってしまいたいと思う人もいるでしょう。そのような場合は、どのような順序でどういう検査を行うべきなのかを主治医と相談するようにしましょう。

患者の体の負担にならず、また、患者の治療予算に余裕がある場合は、一度に複数の生化学的検査を実施するケースがあります。

その反対に、検査やサプリメントは少しずつ始めたいと思う人もいるでしょう。限られた予算や時間の範囲内で治療を進めたい場合には、事前に医師やカウンセラーに相談しましょう。血液検査や唾液コルチゾールなど、最低限必要な検査に絞った治療計画を提案してくれるはずです。

診察中に混乱しないように

副腎疲労症候群の患者は、体力が落ちているだけではなく、集中力や注意力、理解力が落ちている場合があります。こうした状況では、診察中にドクターやカウンセラーの話を聞いて理解することができず、帰宅した後に言われたことを覚えていなかったりすることもあるでしょう。 また、思考が冴えずに、情報を秩序立てて整理することができないため、話が長く、要領を得ない人がいます。

そこで、副腎疲労症候群が重症な人は、診察を受ける前に、いくつか準備をしておくことをお勧めします。

主治医に質問したいことや疑問に思っていることは、あらかじめ「メモ」にまとめておきましょう。自分が聞くべきことを整理してから来院すると、医師と患者のコミュニケーションが楽になり、誤解や間違いのリスクを減らすことができます。

時間と体力とお金を使って受診したのに、病院から帰宅してから「先生に○○について聞いておけばよかった」という後悔もなくなります。

監修:山王病院 森田重文