分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学はインチキで信ぴょう性のない治療法なのでしょうか?

「栄養素ごときで病気が治る何てどーにかしてるよ」
「どうせ、高額なサプリを売りつけられるだけでしょ!?」
「民間療法の端くれか? うさん臭いなぁ~」

分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学のことを初めて知った人は、この学問に対して否定的な印象をも持つかもしれません。事実、分子整合栄養医学は医学界の主流からは認められてない治療であり、大多数の医師には認知されていない学問です。

日本の医療体制は、消化器や心臓、脳、腎臓、泌尿器などの臓器別の診察や、がんの外科手術や心臓病の冠動脈バイパス手術、糖尿病の透析などの疾患別の治療を行うなど、医師が専門性を高めることで質の高い治療サービスを提供することを前提に、ドクターの研修や養成がなされています。

専門性を極めながら、さらに、全身に対する理解を深め、栄養学や生化学の観点から治療を展開しているのが分子整合栄養医学です。

私たちの体を構成している60兆個の細胞の機能を高めるのは、栄養素であるという考えに基づき、食事やサプリメントを用いて、体の自然治癒力や免疫力を高めていくのが分子整合栄養医学の大きな特徴です。

しかし、健康増進や病気予防を目的として食事に気を付けるならまだしも、「栄養素(サプリメント)で病気を治す」という大胆な発想に対して、違和感や不信感を覚える人もいるはずです。

巷(ちまた)には健康食品やサプリメントと名の付くものが大量に売られ、医学的な効果があるのかも定かではないのに、消費者を煽る(あおる)ような宣伝・広告が多いと感じている人もいるでしょう。

ここでは、オーソモレキュラー医学や分子整合栄養医学が世間からどう見られているかについて、考えていきたいと思います。

オーソモレキュラー医学や分子整合栄養医学に対する世間の反応は?

にわかに信じがたい話ではありますが、食事やサプリメントから不足している栄養素を補うことで、糖尿病やがん、不妊、副腎疲労症候群、うつ病、パニック障害、統合失調症、自閉症、原因不明の体調不良などの慢性疾患を改善することができた患者が存在します。

一部の慢性疾患や精神疾患に対して優れた効果を発揮したとして、近年注目を集めているのが分子整合栄養医学です。

現状の日本の医学部のカリキュラムでは、欧米諸国の医学部と比較して、栄養素や生化学に関する授業の時間が少ない大学がほとんどです。そのため、医師として臨床経験を積んでいくなかで、栄養素が細胞にとってどんな働きをするのか、また、不足することでどんな体調不良が生じてしまうのかを知っている医師はそれほど多くはありません。

体が体調不良や病気になった際に「栄養素を用いて全身の細胞を回復させる」ことを意識して治療に当たっている医師は少ないのです。

大半の医師は、腹痛には痛みを和らげる薬、下痢には下痢を止める薬、皮膚の炎症には抗生剤…といった具体に、個々の病気に対して薬を出してくれます。しかし、こうした治療アプローチは、病気になった「根本的原因」を追究するのではなく、出現した層状を一時的に軽減する「対処療法」にしか過ぎないと捉えられることがあります。

現代医学は、外傷や急性疾患に対しては目覚ましい発展を遂げ、効果的な治療法を確立しています。しかし、癌や糖尿病、高血圧、精神疾患などの「慢性疾患」に対しては、主に薬を用いた対症療法がなされているのが大半のケースです。

しかし、患者の病気を治していく過程でどんなに薬を用いても、一向に体は回復しないことをもどかしく感じたり、病気になってしまってから慌てて入院や手術をする患者をどうにかして減らせないかと考えている医師は多いようです。

そうした状況の中、体が病気になってしまった本当の原因を追究し、全身の細胞の健康を回復させることで、慢性疾患を改善させる治療法が、一部の医師によって導入されるようになりました。

1950年代にアメリカのライナス・ポーリングらによって提唱された「メガビタミン療法」の概念が日本に持ち込まれたことをきっかけに、「栄養素によって全身機能を高めて、病気を改善させる」ことに興味・関心を抱いた医師たちが増えていったのです。

1960年代には、既にアメリカで「オーソモレキュラー精神医学」という言葉が生み出され、科学や医学の世界にも徐々に、栄養療法の概念が浸透していきました。

オーソとはギリシャ語で「正しい・適切」を表し、モレキュラーは「分子」を意味します。したがって、オーソモレキュラーとは「私たちの体を構成する細胞の分子を、栄養素によって健全に保つ」ことを目指した学問といえます。

日本ではオーソモレキュラー精神医学のことを、「分子整合栄養医学」や「分子正常矯正医学」、「栄養療法」などと呼ぶことがあります。

国内の医師たちが、栄養素に注目を寄せるようになった理由のひとつとして、標準医療では治らなかった一部の病気が、栄養療法によって劇的に改善したということがあげられます。

薬を用いた一般的な治療に限界、頭打ちを感じていたところ、栄養学的アプローチを試したところ、患者がみるみるうちに元気になったという症例を目の当たりにした医師たちよって、「草の根運動」として広まっていきました。

近年では、この業界を牽引する医師による書籍の出版やインターネットによる情報発信、学会活動が盛んになり、少しずつ社会から認識されつつあります。

加えて、分子整合栄養医学を実践したことで、自身の体調不良や病気を克服した患者らが発信する情報も、この学問を世に広めることに大きく貢献しています。

しかし、分子整合栄養医学は日本に導入されてから日が浅い学問であり、科学的・医学的なエビデンスが不十分だと言われることがあります。

分子整合栄養医学は魔法の治療法ではない

分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学は、「どんな病気も立ちどころに治せる」というような魔法の治療法ではりません。

事実、分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学は、あくまでも代替医療や統合医療のひとつでしかありません。また、分子整合栄養医学は西洋医学や標準的投薬療法を完全否定するものでもありません。

栄養療法を実践している医師たちは、その殆どが標準医療の効果を高めるための補助療法としてこの治療法をクリニックに取り入れています。例えば、漢方や音響療法、温熱療法などの、統合医療のサービスの一つとして分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学のサービスを患者に提供しているところがあります。

分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学は、「患者本人がこの治療法を希望して取り組む」ことが必要条件です。

患者が自発的にこの治療法を選択することで、それぞれの生き方や人生価値観に基づいた治療を実現し得るのであれば、健全且つ理想的な治療手段になると言えます。

分子整合栄養医学を実践するかどうかは個人の判断にゆだねられる

分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学は基本的に自費治療になります。問診やカウンセリング、検査、食事指導、サプリメントは、自己負担になる場合が多いです。患者に対して金銭的な負担を強いるという点が、分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学のデメリットのひとつです。

各病院によって料金の設定や含まれているサービスが異なるため、患者には情報を収集する能力や治療の優先順位を決めること求められます。また、自分と相性の良い医師を探し出す知識や行動力を養うことも必要になります。

分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学による治療を検討する場合は、この治療法に対しては否定的な意見があることを認識しておく必要があります。

そうした否定的な意見は、医療業界を取り巻く様々な要因が複雑に絡み合った社会構造が原因の場合もありますし、この治療法が内包する弱点が原因である場合もあります。

例えば下記のようなものです。

  • 研究及び統計の側面から捉えた際の、医学的・科学的根拠不足対する、医学会の主流組織集団からの敬遠
  • 医療従事者の知識の固定化、従来メソッドへの固執、代替医療に対する嫌悪感
  • 栄養療法による減薬や断薬に対する製薬会社からのけん制
  • 高額サプリメント処方や自費負担に対する患者らの不安感、不信感
  • 詳細血液、ビタミンC点滴、糖負荷、便/尿、有害重金属、食物アレルギーなど、特殊検査のオンパレードに対する患者の経済的・心理的負担

こうしたネガティブな反応がある反面、分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学を推奨している医師の数は増えつつあります。先にも言及したように、この学問を率先して行っている医師やカウンセラーなどによって、様々な媒体を通じた情報発信がなされるようになったためです。

結局のところ、分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学による治療アプローチが、患者本人の治療方針や病気の改善に役立った場合は、革命的治療方法だと認識されます。

しかし、病気の治療期間が長期に渡ったり、期待して以上の効果を発揮しなかったり、安易に処方されたサプリメントばかりを飲んでいると「トンデモ・インチキ民間療法」として終わりを迎えてしまいます。

分子整合栄養医学では、癌治療のような明確な診療ガイドラインは存在しません。また、各ドクターの経験や手腕に頼る部分も非常に大きく、主治医の診断や治療方針によって治療の進め方や優先順位も異なります。

病気になってしまった根本的原因に迫った治療が行われず、不足している栄養素を安易にサプリメントだけで補おうとしてばかりいては、栄養療法による治療パフォーマンスが十分に発揮されません。

また、分子整合栄養医学は近代医学や西洋医学とは、いささか異なる原理に基づいて治療が勧められる場合があります。そのため、大学病院や総合病院など、いわゆる「医局」に属する医療関係者からの認知は低く、大々的な普及活動は難しいという実状があります。

分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学は、根本的な病気の解決を図ろうとする個人開業医らを中心に活発化したのがここ数年の様相です。

こうした現状を踏まえ、この治療法をやるのか、やらないのかは、あなた自身の判断に委ねられます。

分子整合栄養医学の将来

オーソモレキュラー医学は、現代医学の限界を補完・代替する手法として、いかなる形を以て日本の医療現場に浸透し、普及していくのでしょうか?

大きな期待と不安を背負った中で、栄養療法の様々な活動が推進されています。

2023年には『居住地域の30分圏内に栄養療法を実践する医師、又は、歯科医師がいる事』を目指し、第一線で活躍する医療関係者らが日夜研鑽に励んでいます。