ここでは細胞の中で中心的な役割を果たす「核(かく)」の働きについて見ていくことにしましょう。

核の働き

細胞の中心にあるのが核(かく)です。核の中にはDNAがあり、両親から子供へと引き継がれる遺伝情報が書き込まれています。DNAは細胞が分裂されるたびに複製されます。また、DNAはmRNA(メッセンジャーRNA)による転写を経て、更にtRNA(トランスファーRNAな)とリボソームが協力して翻訳を行うことで、私たちの体に必要なタンパク質が合成されます。

タンパク質は私たちの体を作るあらゆる材料になります。骨や筋肉、皮膚、爪、臓器はもちろんのこと、DNAやRNA自身もタンパク質から作られます。

そして、消化酵素(しょうかこうそ)や代謝酵素(たいしゃこうそ)、インスリンなどのホルモンも、タンパク質を材料として作られます。さらに、体内で栄養素や酸素を運搬をするアルブミンやヘモグロビンもタンパク質から合成されます。

DNAの複製(細胞分裂)とRNAによる転写・翻訳(タンパク質合成)

人種が違えども、体の構造を支えるタンパク質の合成は同じ

DNAに書き込まれている遺伝情報は、皮膚の色や髪の色、目の色、骨格など個人の身体的特徴を決定する設計図と言えます。白人の肌が白いのは、親から肌が白くなる遺伝子を受け継いだためです。一般的に私たちアジア人の髪が黒いのは、私たちの両親から髪の毛が黒くなる遺伝子を受け継いだからです。

このように、遺伝情報は同じ人間同士であっても、体格や体質などに明らかな違いを生み出すことがあります。

その一方で、生命活動に関わるタンパク質は、人種や民族が違えども、ヒトという同じ種族が作るタンパク質なのですべて一緒です。白人でも黒人でも、黄色人種でも、混血であっても、筋肉や血液、心臓などは同じ状態で作られます。白人だから手の指が6本あるとか、黒人は目が3つある…ということはありません。

つまり、DNAに書かれている遺伝情報は、皮膚の色や背の高さなど、「個体差」を生み出す要因になりますが、体の構造を支えるタンパク質の合成は変わらないということができます。

タンパク質がなければ、私たちがエネルギーを生み出して、健康的な日常生活を営むことはできません。DNAやRNAから合成されるタンパク質によって私たちの命が支えられています。タンパク質を作ることは生体にとって大変重要なことなのです。