精神疾患に対する分子整合栄養医学

分子整合栄養医学を一躍世に広めた理由の1つに、 うつ病や統合失調症などの精神疾患を「向精神薬」を用いずに、栄養素の力で一定レベルにまで改善することができたという事実があります。

このことが、分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学を有用な代替療法として世間からの視線を集めることに寄与しました。

実際にオーソモレキュラー医学や分子整合栄養医学が、うつ病や統合失調症、パニック症状、双極性障害といった、脳や神経疾患に大きな効果をもたらすことが臨床で確認されています。また、米国を中心にして行われた研究結果をはじめ、各種文献でいくつかのエビデンスが出されています。

心の病気には栄養不足や代謝異常が関わっている

現代社会ではこうした精神疾患に対する治療手法は、投薬治療が一般的です。しかし、向精神薬の大量処方により、患者の症状が悪化したり、副作用が生じたりすることがあり、大きな社会問題となっています。精神疾患に対する薬の効果の是非を巡って、専門家の間でも論争は絶えません。

患者の中には何とか薬漬けになっている現状を打破し、より効果的で身体にとって自然で優しい治療を行いたいと願っている人がいます。そうした中、先駆的な手段による治療として注目を集めているのが栄養療法による治療です。

従来は、家系や生い立ち、生活環境、果ては個人の性格が影響して引き起こされると考えられて来た精神疾患ですが、近年、DNA解析や細胞生物学、分子栄養学などの基礎研究技術が飛躍的向上した恩恵を受け、そうした精神的変調は、栄養摂取状況や生体機能に原因があると唱える専門家が現れるようになりました。

そうした専門家の中には、「精神や身体の不調の原因は、栄養素不足を始めとした生態内の代謝バランスの乱れから生じている」と提唱する人がいます。

その例を一部ご紹介します。

精神疾患の要因として考えられる生体の機能不全

  • 栄養素の不足(酵素の活性化低下)
  • 血糖調節異常(カテコールアミンが及ぼす精神・身体症状)
  • 脂質代謝異常
  • 重度のコレステロール低値
  • 神経伝達物質の合成、調節異常
  • 腸内環境悪化(カンジダ菌)
  • リーキーガット症候群による過剰な免疫、または、免疫力の低下
  • IgG(遅延型)フードアレルギーによる過剰な免疫、または、免疫力の低下
  • 慢性疲労症候群による免疫システムのバランス異常
  • 交感神経の活性化による免疫システムのバランス異常、神経伝達物質のバランス異常
  • 重金属蓄積(ヒ素、水銀、鉛、アルミニウムなど)による必須ミネラルバランスの崩壊
  • 遺伝子多型、遺伝子の脆弱性 など

精神疾患が発症する原因として、上記の要因が関係している可能性がある場合、不足している栄養素を補ったり、滞っている代謝を修復したりすることで、病気の治療を試みるのが分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学です。

病気を治すことを主眼に置いた栄養療法では、健康増進や病気予防とは異なる考え方に基づいて、食事療法やサプリメントの摂取、解毒プログラムなどが組み立てられます。精神疾患をはじめとした病気の治療を目的とする場合、栄養素は通常の数十倍から数千倍に及ぶ栄養素を摂取するケースがあります。

こうした栄養素の補給による治療は、従来の投薬治療と比較して副作用が極めて少ない点が特徴です。副作用が少ないというメリットは、分子整合栄養医学が精神疾患に対する効果的な治療法として注目を集めた要因のひとつです。

分子整合栄養医学はすべての精神疾患に有効ではない

精神疾患に対する画期的な突破口的手法として登場した分子整合栄養医学ですが、いわずもがな、万病に有効というわけではありません。

分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学による問診や検査を行ったとしても、心の病気を発症してしまった本当の原因が判明し、あなたの遺伝子や細胞が修復されるまでには、相当の時間を要する場合があるでしょう。

人によっては、分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学をだけを実践しても、精神疾患が治らないケースがあります。

心の病気を抱えている人では、長いあいだ薬を飲み続けてきた人が多くいます。そのため、今まで飲んでいた薬を服用しながら、認知行動療法や音楽療法などの、様々な治療法に分子整合栄養医学を組み合わせて治療を継続している人もいるようです。

精神疾患を治すために分子整合栄養医学を取り入れる場合は、治療が長期戦になる可能性があることを覚悟した上で、焦る事なく自分のペースで進めていくのが良いでしょう。

そして、自己の勝手な判断に基づいて栄養療法を行うのではなく、医師やカウンセラーなど、専門家による指導や監視のもとで治療を行っていきましょう。特に、分子整合栄養医学による治療の途中経過が良好だからと言って、「勝手に服薬を止める」のは大変危険な行為です。

薬の服用を中断してもよいかどうかは、必ず主治医に相談しましょう。

また、サプリメントを服用する場合、人によっては大きな副作用が生じる場合があります。特定の栄養素を体の中できちんと分解することができない人や特定の栄養素が体内で過剰になっている人がいます。そうした人がサプリメントを安易に摂取すると、精神症状が悪化したり、暴れて他人を傷つけたりするなど、大きな問題を起こすリスクが生じます。

サプリメントの摂取をする際も、必ず医師に相談しましょう。

精神疾患に分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学を取り入れる場合、分子整合栄養医学を実践する医師との信頼関係を築きつつ、今までお世話になってきた精神科医・心療内科の主治医とも円滑な意思疎通を図れるよう、双方の医師が連携することが、あなたの病気を治す上で重要なポイントになります。

現状通っている精神科や心療内科の主治医に分子整合栄養医学のことを話してもいいかどうか心配なときは、まず先に分子整合栄養医学を実践している医師に相談してみましょう。今後の治療の進め方や精神科の先生との付き合い方についてアドバイスをしてくれるはずです。

分子整合栄養医学の観点から書かれた精神疾患の書籍

自分が抱えている「心の病気」が分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学で治るかどうかを知りたい場合には、下記の書籍を参考にしてみて下さい。様々な観点から、栄養素が心に及ぼす影響について解説されています。

たとえ、分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学があなたの心の病気を改善するのに役に立たなかったとしても、あなたの病気がいつかきっと良くなることを信じましょう。治療の方法が何であれ、信頼できる専門医が見つかり、あなたの価値観や人生観にマッチした分野が見つかることを願っています。

脳から「うつ」が消える食事
溝口徹

 

 

 

 

 

 

 

 

「うつ」は食べ物が原因だった!
溝口徹

 

 

 

 

 

 

 

 

脳から「うつ」が消える低糖質レシピ
溝口徹・大柳珠美

 

 

 

 

 

 

 

 

「うつ?」と思ったら副腎疲労を疑いなさい
本間 龍介

 

 

 

 

 

 

 

 

食事で治す心の病 : 心・脳・栄養─新しい医学の潮流
大沢博

 

 

 

 

 

 

 

 

低血糖症と精神疾患治療の手引
柏崎 良子

 

 

 

 

 

 

 

 

心療内科に行く前に食事を変えなさい
姫野 友美

 

 

 

 

 

 

 

 

なぜあなたは食べすぎてしまうのか―低血糖症という病
矢崎 智子

 

 

 

 

 

 

 

 

心の病は食事で治す
生田 哲

 

 

 

 

 

 

 

 

脳身快適!!心と身体の健康は食べ物から
森山 晃嗣

 

 

 

 

 

 

 

 

脳にもっと栄養を!うつな気分は食事で治る
高田 明和

 

 

 

 

 

 

 

 

「腸の力」であなたは変わる
デイビッド・パールマター/白澤 卓二(翻訳)