フィット・フォー・ライフ ——健康長寿には「不滅の原則」があった
ハーヴィー・ダイアモンド 、マリリン・ダイアモンド (著)、松田 麻美子 (翻訳)

 

 

 

 

 

 

 

 

米国でベストセラーになった食事療法に関する書籍です。翻訳は、女性のためのナチュラル・ハイジーンで有名な松田麻美子さん。

本書によれば、ナチュラル・ハイジーンの基礎的な考えは、「体は健康を求めていつも努力しており、有害な老廃物を自ら絶えず浄化する事によって、それを成し遂げようとしている」というアイディアに基づいています。

ナチュラル・ハイジーンに基づく食事療法こそが、人間の身体をケアし、大切に維持するための最も優れた方法としています。

ヒトの「排泄サイクル」を適切にする事が減量(解毒)に繋がると唱え、老廃物を溜めこまない為の三原則として、以下を提唱しています。

1. 水分を多く含む食べ物を食べること
水分を多く含む、生の野菜と果物を摂取することにより、ビタミン、ミネラル、タンパク質(アミノ酸)、酵素、炭水化物、脂肪に至るまで人間が要求する栄養素は全て賄えらえる。凝縮食品(パン、米、肉、魚、乳製品など)は、30%程度に抑える。


2. 食べ物は正しく組み合わせて食べること
人間は2つ以上の凝縮食品(パン、米、肉、魚、乳製品など、果物と野菜以外の食品)を胃で同時に消化するようには作られていない。

肉とジャガイモ、魚とご飯、鶏肉と麺、卵とトースト、シリアルと牛乳などの組み合わせは、消化器官に負担を与え、組織中に有害な老廃物を作り出す。そして、胃の中で、タンパク質は腐敗し、炭水化物は発酵し、体内で有害な酸を発生させる。

2つの異なるタンパク質を同時に摂取する事も控える。(肉と魚、肉と卵、魚と卵など)
野菜は特定の消化酵素を必要とないので、肉やパンは野菜と一緒に食べ、1回の食事では1つの凝固食品のみを摂る事が理想的。


3. 果物を正しく食べること
ヒトは肉食でも草食でも雑食でも無く、「果食動物だった!」そう… (ホント!?)

果物こそがヒトの構造や機能から、人類がすんなりと受け入れられる事が出来る唯一の食べ物。果物はほかの食べ物よりも、消化するのに僅かなエネルギーしか必要としない。

・(加熱、調理せず)新鮮な果物だけを食べる
・空腹時にのみ食べる

果物では太らないので、朝は果物とフレッシュジュースだけにする。

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本書の中で最もインパクトがあったのは、第10章 「現代人はタンパク質を取り過ぎている」です。

人間の身体は肉を食べるようにはできていない
(ヒトと肉食動物を生理学的な側面から比較)

ヒトの身体のタンパク質は、タンパク質を食べる事によって体内で作られるのではなく、食べ物(植物がベスト)に含まれるアミノ酸から作られるのだそうです。よって、動物性タンパク質が重要な栄養素である事やビタミンB12の不足を気にするのはナンセンスだそうです。

不飽和脂肪酸を含む、EPAやHDAに関しても、魚は水銀などの汚染があるため、オメガ3系の脂肪酸摂取については、魚よりもフラックスシードやクルミ、緑黄色野菜が最適としています。

第11章では、「牛乳は健康食品などではない」 とうことに関しても言及しており、ジェイン・プラント著 「乳がんと牛乳」 に通じる内容も散見されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

分子整合栄養医学や糖質制限とは、根本的に概念や主義が異なりますが、非常に学ぶことの多い一冊です。

根本的にベジタリアン志向の考え方に即していますが、筆者は決して肉食を批判したり、読者にナチュラル・ハイジーンを強要するという事はしてない点は好感が持てます。

本国アメリカのアマゾンには、実に270ものレビューが記載され、1980年代には既にこの食事療法が確立されていたようですからその先駆性には感嘆します。

本書は、重要な部分が太字で簡潔に書かれているため、重点は手っ取り早く理解できるのも読者にとっては親切です。一方で、著者の論拠を下支えする、栄養学的、生化学的に見た場合の裏付けや因果関係は説明が不足している感は否めない部分があります。

日本語版では、翻訳者による注釈、レシピの紹介、Q&Aなど、実にきめ細やかな加筆がなされ、ページの厚さに寄与しています。

さて、「果物の摂取に関して、血糖は上がらないのだろうか?」と疑問に思ったところ、正にそのQ&Aが末尾に記載されていました。

問1:
果物は果糖が多く、血糖値を上昇させてしまうのではないか?

回答:
・果物は空腹時に正しく摂取されている限り、いくら食べても血糖値の上昇を心配する必要はない
・菓子などの炭水化物よりも性質が複雑で、血中へゆっくり吸収される
・果糖は、肝臓や細胞に取り込まれる際、インスリンの助けを必要としないので、
インスリンの使い過ぎによる枯渇や、 膵臓疲弊させる事はない
・万が一、食べ過ぎるような事があったとしても、菓子の場合のような弊害は殆ど起こらない

この見解は妥当なのか、個人的には腑に落ちない所もりますが…

栄養療法や糖質制限とは対照的な理論ですが、十数年経過しても尚、信頼・指示され続ける理由があることに深く頷ける一冊です。実際、この食事療法を通じて、心身共に健康でいる方も沢山いるであろうと思います。

本書には記載されていない生化学的なメカニズムや科学的エビデンスも存在するのかもしれません。

栄養療法や糖質制限を実践していると、提供される情報を鵜呑みにしてしまい、視野が狭くなったり、柔軟な感が方から遠ざかっていると反省する瞬間があります。よって、この書籍を通じて、「正反対の側面から敢えて物事を見る」 事の重要性を痛感した次第です。

異なるの見解や批判的な意見に耳を傾ける事で、栄養療法や糖質制限の意義を客観的に捉えると共に、更に理論を補強するヒントも得られるはずです。

世の中には、数えきれない程の健康法や食事療法が存在します。他のメソッドでも、理にかなっている思ったポイントや相性の良いやり方は、自分で適切に判断、検証しながら上手く取りいれて行きたいものです。勿論、時と場合に応じて、専門家からのアドバイスも上手に取り入れていくとリスクを避けられます。

多分に示唆に富んだ内容の書籍であり、是非お勧めします。