脳に効く栄養
マイケル・レッサー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本書の著者であるマイケル・レッサー博士は、分子整合栄養医学の開祖であるライナス・ポーリング博士と共にオーソモレキュラーの臨床導入と普及に大きな貢献を果たした人物のひとりです。

精神科医であるレッサー博士は、「うつ症状の原因は食事にある」として、栄養学の観点から、心の病気(=脳)を治療してきたパイオニアでした。

栄養療法は、ヒトの身体や病気のメカニズムを分子レベル(細胞)から捉え、糖質制限含めた食事療法とサプリメント摂取から身体や脳の調和を整え、健康維持を図る療養アプローチを取っています。

ヒトの身体は約60兆個の細胞から構成されていますが、細胞は必要な栄養素を至適量摂取して、初めて最適に機能します。栄養が適切に補給されないと細胞が正常に機能できなくなり、ホルモンや自律神経の異常などから、身体不調、心(脳)の病気をも引き起こすというのがベースの考え方です。

レッサー博士が本書で指摘する所によると『体内で起こる化学藩王のバランスが崩れた結果、うつ病や精神疾患になる。 場合によっては、生命にも関わることすらある。』のだそうです。

本中では、ノーベル賞受賞者のライナス・ポーリングがサイエンス誌に寄せた論文との劇的な出会いについても触れられており、
ポーリングの言葉も紹介されています。

『脳の働きには、脳内に正常な状態で存在している様々な物質の量(分子濃度)が影響している。その人が普段の食生活から得ている分子濃度や、遺伝的に備わった分子濃度と、その人にとって最適な各物質の分子濃度には大きな隔たりがある場合もある。』

レッサー博士は、統合失調症に対する栄養容量が科学的エビデンスからも効果的であることを、カナダのエイブラハム・ホッファー博士とハンフリー・オズモンド博士の論文から突き止め、レッサー自身が精神病の患者に栄養療法を試した所、従来の治療法と比較して、劇的な改善効果があったことをが認められました。

かくして、レッサー博士は、オーソモレキュラー精神医学アカデミー(現:国際オーソモレキュラー医学協会)に加入し、精神疾患に対するオーソモレキュラー治療のエキスパートとしての地位を確立していきました。

本書では、脳を6つのタイプに区分し、それぞれのタイプに応じた栄養素、食べ物の摂取方法、医療検査、サプリメント、生活改善ガイドを解説しています。

具体的な6つのタイプは以下の通り
1. ストイックタイプ -うつ病 (例:元アメリカ大統領 アブラハム・リンカーン)
2. ガーディアンタイプ -強迫神経症 (例:レオナルド・ダヴィンチ)
3. ウォリアタイプ -人格障害 (例:預言者モーゼ)
4. スタータイプ -躁うつ病 (例:元イギリス首相 ウィンストン・チャーチル)
5. ドリーマータイプ -統合失調症 (例:ヴァン・ゴッホ)
6. ラバータイプ -不安症 (例:マリリン・モンロー)

これらの症状は、かなり悪化した状態を示していますが、チェック項目を付けて自分が該当するタイプを見ると、日常生活の行動パターンや思考パターンと合致する事も多々みられます。

最後の章では、脳のための健康食として加工・精製されていない自然な食品を摂る事やオーガニック、オメガ3系の良質な脂肪酸を摂取する必要性も説いています。

マイケル・レッサー博士の名著であり、1991年に出版された栄養・ビタミン療法-栄養による精神的健康の改善‐からも、現代に繋がる栄養・ビタミン療法の基礎を作った背景が見て取れます。

統合失調症やうつ病治療に活かせるヒントが盛り込まれたレッサー博士の治療内容を垣間見れる一冊です。