アレルギーは砂糖をやめればよくなる
溝口 徹

 

 

 

 

 

 

 

 

 

分子整合栄養医学の大家による、アレルギーに対する栄養療法的治療アプローチとその効果を示した書籍です。

昨今ブームに沸く「糖質制限」ですが、通常は、糖尿病対策やダイエット、アンチエイジングなど、一般人が興味を抱くよう特化されたテーマで語られる事が多い印象を受けます。

一方で、著者のこれまでの書籍は、栄養療法の観点から、人間にとって重要な栄養素の必要性・効果を包括的に捉え、その上で、「砂糖・炭水化物(糖質)」は不要とのスタンスを取っています。
取り上げている対応症例も、低血糖症や癌、鬱、不妊治療、アトピー、脂質異常、不定愁訴など多岐に渡ります。

栄養療法関連の書籍に目を通した事のある読者ならば、糖質があらゆる病気の原因になっているという理論は既知の事と思います。

今回の書籍では、「砂糖」(=糖質)が食物アレルギー、花粉症、アトピー性皮膚炎などを引き起こすメカニズムが、分かりやすく纏められていると同時に、改善効果のある栄養素も網羅されています。

本書によれば、副腎から分泌されるホルモンは、血糖調整、ストレス対応、免疫機能の調整を行う「副腎疲労」がいかにアレルギーの悪化を招いているか、分かりやすい説明で、素人でも容易に理解ができました。

本書中にも記載がありますが、要点は下記のとおり

・糖質の過剰摂取

・インスリンの分泌(上昇した血糖の降下)

・副腎ホルモンの分泌(下がり過ぎた血統の安定化)

・副腎への負担増、ホルモン分泌減(アレルギーに対するホルモンの減少)

・アレルギー症状の悪化

アレルギー改善のアプローチとして、「腸管免疫を鍛える」事も提言しています。
IgE, IgG, IgAのタイプ別にも触れつつ、アレルギー疾患の原因が粘膜レベルで引き起こされる事に注目し、腸内環境と整える方法としてプロバイオティクス、プレバイオティクス、食物繊維、母乳など善玉菌を増殖、定着させる為の栄 養素を紹介し、併せて、市販の胃腸薬の弊害も説いています。

慢性的なアレルギーやアトピー、花粉症に苦しむ患者の中には、長年に渡り、ステロイドや抗アレルギー剤などを使用している人が多く、何らかの副作用が生じ、中々改善傾向が見られれない人もいるそうです。

栄養療法は万能という訳ではなく、未だ、医学分野では異端児存在と扱われる事があります。殊アレルギーに関しては、単一栄養素だけを摂取すれば完治するというものでもなく、相当期間に及ぶ治療の結果、症状が改善されるという場合もあるようです。

しかし、筆者が長年に渡る臨床の現場で培って来た、栄養療法に基づく治療アプローチの様々な効果は、これまで出版された書籍を拝読しても疑いの余地は無いです。

栄養療法と糖質制限が、改めてヒトの身体にとってどのような好影響を及ぼすのか、また、アレルギーに対する画期的な治療法の知識を得るという意味においても、極めて貴重な一冊です。