2017年3月12日に開催された第8期分子栄養学実践講座の「プレ講義」では、「医療機関が活用すべきサプリメントの条件」として、病院で処方するサプリメントの導入方法や良いサプリメントの見分け方についての講義がなされました。

「良質なサプリメントを選ぶ方法」は、「栄養外来」や「サプリメント外来」を導入しているドクターなら、絶対に知っておくべき内容です。また、自分で健康を管理したいと考える患者が、自身でサプリメントを比較・検討する際にも必ず役立つ知識です。

ここでは、田村社長から伺った講義内容のポイントをご紹介したいと思います。

栄養療法とはサプリを摂取することだと思っているなら心を入れ替えるべし

分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学を実践する人の中では、サプリメントを摂取することが「治療法の根幹」だと勘違いしている患者がいますが、そうではありません。

サプリメントはあくまでも、治療の改善スピードを加速させるための「手段」です。サプリメントを取ること自体が「ゴール」や「目的」ではありません。

とりわけ、分子整合栄養医学を「治療目的」として行う場合は、手あたり次第にサプリメントを飲んだとしても、効果を上げるのは難しいということは、私の周辺にいるドクターからも頻繁に寄せられる意見です。

では、一体どんな場面でサプリメントを用いれば良いのでしょうか?

病気の治療を念頭において分子整合栄養医学を実践する際に、「食べ物から得る栄養素だけでは摂取量が追いつかず、体内の細胞を修復させるのには間に合わないので、サプリメントから栄養素を補いたい」とあなたが希望したときに、医師からサプリメントを処方してもらうことができます。

ですから、分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学をやっているけど、サプリメントは自分にとって「不要だ」という結論に至る人もいて当然なわけです。

自分の健康管理や病気改善を行うにあたり、普段の食事に気を付けるだけで、症状や体調をコントロールできるのであれば、これ以上素晴らしいことはありません。食事だけで済めば、経済的にも時間的にも精神的にも、まったくの負担はありません。

分子整合栄養医学の究極的な理想は「食事だけで細胞機能を最高のコンディションに持っていく」だと言えるでしょう。

食事からでは栄養素を補うことが難しい場合にサプリメントを使う

その一方で、「食事だけから栄養素を摂取するのは難しい」と感じる人も多いと思います。毎日、自炊をすることができない環境にある人もいますし、消化・吸収の機能が低下していて、食べた分だけの栄養素が体に入っていないことを自覚している人もいるかもしれません。

また、分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学の基本的な考え方は、「細胞の機能を高めて自然治癒力を向上させるためには、推奨量の何倍もの栄養素を摂取しなくてはいけない場合がある」です。このことを理解している人からすれば、食事のみから至適量(してきりょう)の栄養素を得るのは時間がかかり過ぎると捉えられることがあります。

分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学が実践される臨床の場で、患者の希望を前提として処方されるのが医療用サプリメントです。

標準摂取量と栄養学的な使用量との比率

医療現場ではサプリメントの有効性が広く認識されつつある

ヘルシーパスの田村社長によれば、ここ数年でサプリメントに興味・関心を持つ医師や歯科医師が急激に増えているそうです。

その背景として、下記の事実があげられます。

・生活環境の悪化(汚染、食生活、ストレス)、高齢化などが原因で、不調に悩む人が増加「している
・近代西洋医学の発達によって、手術や医薬品で治る病気や陰はすぐに治癒できるようになった反面、そうした処置では奏功(そうこう)しない患者が目立つようになった
・平成24年の診療報酬改定で、ビタミン剤などが処方しにくくなってしまった。

普段から全国のクリニックを巡って、現場からの声を聞いている田村社長の考えを裏付けるように、近年の日本人の栄養状態は良くないことが、厚生労働省の統計からも示されています。

20~29歳の食事摂取基準と比較した栄養素摂取量
厚生労働省 平成25年度 国民健康栄養調査より

ヘルシーパスウェブサイトより引用 

上記のグラフからは、脂溶性のビタミンA,D,Eや水溶性のビタミンB1,B3,B6,Cなどに加え、カルシウムやマグネシウム、鉄、亜鉛が「充足割合」に達していないことが分かります。

特に「鉄不足」は多くの女性に見られる状態であり、分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学による「血液検査」から「貧血」と判断される人は多いようです。

もし、血液検査を受けたことがある場合は、あなたの血清鉄(Fe)やヘモグロビン、フェリチン、TIBC(総鉄結合能)、UIBC(不飽和鉄結合能)の検査結果の数値を見てみましょう。

女性の場合は毎月の月経によって血液を失います。 その際に、鉄も排出することになってしまうため、必然的に貧血になりやすくなってしまいます。

貧血の状態では、全身の細胞に十分な酸素を運ぶことができず、ミトコンドリアでエネルギーを合成する機能も低下してしまいます。そのため、活動的になることができず、昼間でも眠く、いつも元気がなくてフラフラしている人が多いです。

さらに、貧血の人で、副腎疲労症候群(ふくじんひろうしょうこうぐん)機能性低血糖症(きのうせいていけっとうしょう)が併発していたりすると、「毎日食材を買って料理をして食べる」ことが困難な人もいるでしょう。

鉄欠乏を補うために、「鉄分を多く含む食品」を摂取することを心がけることができますが、吸収性の高い「ヘム鉄」は、レバーや赤身の肉、貝、魚などに多く含まれています。

こうした食品を食べることで、不足している鉄を補うことができますが、様々な体調不良を抱えている人では、大量のタンパク質を正常に消化・吸収・利用する力が落ちている場合があります。

たとえば、咀嚼の力が弱かったり、胃酸が十分に分泌されていなかったり、腸内環境乱れて悪玉菌が多い状態だったりすると、大量の動物性タンパク質を摂取することで返って体の調子が悪くなってしまう可能性があります。

こうしたときに、「自分の治療を助けてくれる存在」として医療用サプリメントが検討できると思います。

貧血気味でエネルギーが全体的に落ちている女性に「ヘム鉄」や「ビタミンB群」のサプリメントを入れると、かなり体感が上がることが実感できる場合があります。このとき、必ずしも、全員がサプリメントから恩恵を受けるわけではありません。しかし、サプリメントを飲み始めて2,3日で明らかな効果を実感することは、「大きな一歩」となります。

少し体力が回復すれば活動的になれますから、料理をしようとか、運動をはじめてみようといった前向きな気分になれます。また、思考能力もクリアになるので、今まで見えなかったことが見えるようになったり、考えられなかったことが考えられるようになります。

すると、自分のことを客観的に捉えながら、どうすればもっと治療を効率的に進めていけれるかを積極的に協議していくことができます。

分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学による治療を本格的に進めていくための「最初のステップ」を後押ししてくれるのが、医療用サプリメントの存在と言えるでしょう。

栄養療法の具体的な効果や手ごたえが得られない状態で、いくら患者に料理やタンパク摂取を勧めたとしても、共感や理解が得られなければ、自ら率先して行おうとは思ってくれません。

そういう観点に立てば、サプリメントとは、患者さんを突き動かすことで、次のアクションに導くための「即戦力」として利用することができるのだと思います。

サプリメント選びに困っているのはドクターも患者も同じ

田村社長によれば、自分が普段飲むサプリメントをどうやって選べばいいのか分からなくて困っている人は多いそうです。

・自分でサプリメントを選んで購入している人は6~7割
・購入した理由は、宣伝広告や口コミによるもので、自分の選択に自信は持てていない

消費者から寄せられたこうした「声」は、医療サプリメントを治療に用いる一部の医療関係者にも当てはまるのではないかといえます。

なぜなら、症例検討会やその他のセミナーで飛び交うドクター同士の会話といえば、「○○先生は、どこのサプリを使ってるんですか?」とか「○○サプリメントって、何mg飲めばいいんですかね?」というものが圧倒的に多いからです。

分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学を実践するドクターが、忙しい合間を縫って毎週末学会に参加しているのは、治療の最新情報を得ること以外に、サプリメントに関して情報交換をするという目的もあると考えられます。

分子整合栄養医学で栄養素を補う場合、必ずそこには「個体差」という壁が立ちはだかります。ある人には1日600mgで足りた栄養素であっても、他の患者には、1日600mgでは全く足りないということもあり得ます。

また、サプリメントは用量だけではなく、ブランドや種類、飲み方、バリエーションを考慮しなくてはいけないケースがあります。

ビタミンB6のサプリメントが効かない人には、活性型のビタミンB6である「P5P(ピリドキサール5リン酸)」を入れるとか…そんな具合にです。

特に、腸内環境を整えるためのプレバイオティクスやプロバイオティクスなどのサプリメントは、個人によって合う・合わないが顕著に出やすいタイプのサプリメントと言えます。家族や兄弟であってもヒットするタイプの乳酸菌やビフィズス菌が違うことがあります。

「手持ちのカード」や「自分の引き出しを増やす」という意味においても、日頃からサプリメントに関する情報収集を積極的に行っている医療関係者は多いです。

ところが、いざ自分でサプリメントを選ぶとなると迷ってしまうことが多いと思います。世の中には、たくさんのサプリメントや健康情報が氾濫しています。自分が選んだサプリメントが正しいのかどうかを、確信を持って判断するのは困難でしょう。

活用すべきサプリメントを見極める3つのポイントとは

田村社長の講演では、良いサプリメントと悪いサプリメントを判断するための3つのポイントに関して教えて頂きました。

実際の例を示しながら、要点を教えて下さいましたので、内容をシェアしたいと思います。あなたがサプリメントを選ぶ際の参考にしてみて下さい。

① 材料の中で一番何が多く入っているのかを知る

食品やサプリメントなどの品質表示の適正化に関する法律(JAS法)では、下記が定められています。

食品添加物以外の原材料を、原材料に占める重量の多いものから順に記載し、そのあとに、食品添加物を原材料に占める重量の割合の多いものから順に記載する

つまり、食品やサプリメントの裏に記載されている材料の「順番」を見れば、何が最も多く含まれているかが分かるということです。ただし、表示を見る場合は、何が食品添加物であるかをおさえておくことが必要です。

たとえば、これはエステティックのTBCから出ている「コラーゲンドリンク」です。(※当ウェブサイトが独自に作った例であり、田村社長の資料とは関係ありません。)

原材料を見ると、「砂糖・果糖ブドウ糖液糖」がトップに書かれています。これは、ドリンクの中に砂糖や合成のブドウ糖が最も多く含まれていることを示しています。

効果をうたっているはずのコラーゲンとビタミンCは、中盤以降に書かれています。

これは他のダイエット食品やサプリメントにも同様に言えることだそうです。ビタミンCやミネラルという効果・効能を示しておきながら、実際の原材料に含まれる割合が低い商品が数多く出回っているそうです。

サプリメントを選ぶ際には、裏の原材料名を見るようにしてみて下さい。

② 原材料は天然なのか合成なのかを知る

サプリメントを選ぶときに、栄養素が原材料由来なのか、合成されたものを用いているのかを判断する方法があるそうです。
表示方法を見れば分かります。最も良いのは、右側の天然素材で書かれているものです。

たとえば、下記のようなサプリメントであれば、天然の材料をもとに作られたものだと判断して良いのでしょう。(※当ウェブサイトが独自に作った例であり、田村社長の資料とは関係ありません。)

○製品名:ビタミンB群サプリ
○名称:ビタミン類含有食品
○内容量 24.0g(60粒:1粒重量400mg、1粒内容量330mg)
○原材料名:でんぷん、酵母、パントテン酸含有酵母、ビタミンB6含有酵母、大豆濃縮物、ビタミンB1含有酵母、糖蜜、ビタミンB12含有酵母、HPMC、ナイアシン、ビタミンB2、、葉酸、ビオチン、(原材料の一部に大豆を含む)

③ 添加物がどのくらい入っているのかを計算する

サプリメントの裏を見ると、栄養素が様々な単位で書かれていることがあります。

g(グラム)mg(ミリグラム)、µg(マイクログラム)などです。
1g = 1.000mg   1mg = 1,000µg

添加物は下記のように計算することができます。
1粒の重さ-栄養素の量=添加物

例として、ネイチャーメイドの「葉酸サプリメント」で計算してみましょう。(※当ウェブサイトが独自に作った例であり、田村社長の資料とは関係ありません。)

○名称:葉酸含有糖類加工食品
○原材料名:乳糖、セルロース、ショ糖脂肪酸エステル、葉酸
○栄養成分表示 1粒 (0.3g)あたり
エネルギー:1.18kcal
タンパク質:0-0.1g
脂質:0-0.1g
炭水化物:0.279g
ナトリウム:0-2mg
葉酸:200µg

1粒の重さ(300mg)- 葉酸(0.2mg)= 299.8mg

成分のほぼ全てが葉酸以外の成分からできていることが分かります。

パッケージを一瞬見ただけでは「200µg」と書かれているので含有量は多そうに見えますが、単位はmg(ミリグラム)の1000分の1です。単位を揃えて計算すると、圧倒的に含有量は少ないことが分かります。

因みに、ネイチャーメイドで使用されている「葉酸」が天然成分のものなのか、合成のものなのかは分かりません。

分かりやすく円グラフにしてみましょう。

全然、”ネイチャー”じゃない(゚△゚;)/

「酵母が気になるなあ」と思ったあなたへ

天然の材料をベースに作られているサプリメントが良いとはいうものの、カンジダ菌の除去中のために「酵母」が使用されたサプリメントを用いることに抵抗がある人がいるかもしれません。

ヘルシーパスでは、そうした方のために、酵母フリーの「マルチビタミン・ミネラル」のサプリメントを用意しています。

同社のサプリメントは、分子整合栄養医学を実践しているクリニックで処方して貰うことができます。オンライン経由で患者が購入することも可能ですが、かかりつけの病院の医療機関コードが必要です。

もしこれから栄養療法を始めようとしている人でこちらのサプリメントに興味がある場合は、来院先の病院でヘルシーパスのサプリメントを扱っているか、事前に問い合わせしてみましょう。(病院コードがない場合は、一般人は購入することはできません。)

サプリメントの選び方をもっと詳しく知りたい人は、下記の書籍を参考にしてみて下さい。

ヘルシーパスの田村社長は、医療用サプリメントを製造・販売しているのに、自社製品のアピールをほとんどされないことで有名です。そんな田村さんが、出版された本があります。

サプリメントの正体
「これ」を食べればサプリはいらない

過剰なタイトルが目を引く書籍ですが、消費者が抱いている「サプリ信仰」に注意を促しながら、アンチ・サプリメントならぬ「食事からの栄養摂取」を提唱されています。

将来的に分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学に基づいた「栄養外来」や「サプリメント外来」を導入されたいと考えている医師や歯科医師の方には、こちらの本がお勧めです。

自由診療・サプリメント導入実践マニュアル

また「無駄なサプリを見分ける方法」について書かれたマンガも配布されています。待合い室などに置いて、患者さんに読んで貰うことができます。

マンガが欲しいという先生は、ヘルシーパスにお問い合わせ下さい。
※マンガは個人患者への提供は行っておらず、クリニックのみへの提供となるそうです。

分子栄養学実践講座に参加すると、こうしたサプリメント会社の方から直接お話しを伺える機会にも恵まれます。製造方法や成分のこと、吸収性のことなど、たくさん質問できます。

自分でサプリメントを選ぶ際の参考にして見て下さいね。