こんにちは。
分子栄養学のポータルサイトの管理人 奥田です。

今日は、分子整合栄養やオーソモレキュラー医学の未来について、個人的に思ったことを書きたいと思います。

私たちは「知らないこと」は認知・判断できない

資本主義経済のシステム下に生きている私たちは、社会によって意図的に作り出された「ことば」から強い影響を受けながら生活しています。

毎年「新語・流行語大賞」とやらが発表されますが、時代背景やトレンドを反映しているとはいえ、「だから何なの?」という冷めた目で見られることも多いようです。

こうした状況を一歩引いた目で眺めていると、毎年の流行語が賛同を得ようと、批判を得ようと、様々なメディアで繰り返され、人々の間で話題にのぼり、コミュニケーションのひとつとして利用されるということは、「キーワードが人々に認識されている」ことを表すひとつの指標として捉えることができます。

誰からもその存在を知られず、認知されなければ、肯定されることはおろか、批判されることすらないのです。自分が知らないコトやモノを良いとか悪いとか判断することは誰にもできません。

「○○活」って言葉は多すぎるよね

こうした「意図的に作り出された言葉」として散見されるのが「○○活」というものです。

  • 就活(就職活動)
  • 婚活(結婚活動)
  • 妊活(妊娠活動)
  • 菌活(腸の善玉菌を増やす活動)
  • 朝活(朝の活動)
  • 保活(保育園に入れるための活動)
  • 終活(墓に入る準備活動)

あまりにも量産される○○活に辟易している人も多いはずです。

しかし、長い間人々の間で使用され続けていると、その言葉が定着し、あたかも最初から存在した言葉のように扱われるようにすらなります。

実際、「就活」という言葉は、一般に浸透し、パソコンで「しゅうかつ」とひらがなで入力すれば、一発で「就活」という感じに変革されます。

それに、「就活とは、就職活動のことです。」とわざわざ説明する文章なんて見たためしがありません。

「○○活」はアクションを生み出す魔法の言葉

メディアや業界が意図的にトレンドを生み出したり、消費者心理を操作するために次々と生み出される「○○活ワード」は、途切れる気配はなさそうだと個人的に思っています。

なぜなら「○○活」という言葉は、消費者に具体的な行動を促すものであり、購買やサービスの消費に直結するからです。

かつて「ちょい悪」とか「モテ期」とか「フォーーー!」とか「萌え~」とか「エビちゃん」とかやはりました(相当、古いですね)。こうした言葉は抽象度の高い概念であったり、個人のタイプを表現したものだったりしました。

それに対して、就活や婚活、菌活は具体的な「アクション」を起します。例えば、就活は採用試験を受けたり、企業面談を受けたりします。婚活は、交際相手を探しますし、菌活は、腸内環境を整えるための食事をします。

このように、「○○活」は消費者マインドを誘導するだけでなく、キーワードに一貫した行動をさせることに成功しています。つまり、○○活という言葉は、その概念を社会に認知させると同時に、実際の行動までをも示すことができます。

したがって、「○○活」という言葉を好むと好まざるとに関わらず、人々は一瞬にしてこの言葉が意味する所と実際の行動を認識することが可能になります。

中には、言葉よりも先に「活動」を目にする人もいるかもしれません。

例えば、最近やたらと発酵食品を口にしている人がいたとします。その人に「麹とか味噌とかばっかり食べてるけど、最近どうしたの?」という質問してみます。

それに対して、「菌活中だからさ~」という答えが返ってくれば、「菌活」という言葉を知るよりも前に、リアルな行動(=発酵食品を食べまくる)を予め目撃していますから、「菌活」という言葉を何の抵抗もなく受け入れることができます。

「栄活」によって分子整合栄養医学は定着する?

「○○活」という言葉がもたらすプラスの側面を考えとき、使いようによっては、とても大きな啓蒙・販促手段になり得るでしょう。

こうした点で私が密かに期待しているのが「栄活(えいかつ)」という言葉の流行です。

栄活:栄養療法の活動
意味:全身の細胞機能を高めるための栄養素を摂取すること
方法:普段の食事に気を付け、必要に応じてサプリメントを摂る
行動:糖質制限、ファスティング、グルテン・カゼインフリー、ケトン食、ローフード、サプリetc…

まあ、ざっくり言うとこんな感じでしょうか。

「栄活」というキーワードの川下にあたる「実際の行動」として、様々な食事療法が包含されます。

商業的な観点からみると、飲食業界や医療業界、ファッション・美容業界、調理器具のメーカー、サプリメントメーカーなど、あらゆる業界にとっても大きな可能性を秘めた言葉であるといえるでしょう。

そして、実際に栄養療法を行う人にしてみれば、「目的」が病気の改善であれ、健康増進であれ、美容であれ、抗加齢であれ、すべて「栄活」と言えば通じるので、この言葉を使うことの利便性は極めて高いです。

「手段」という逆方向から捉えた場合であっても、「栄活」という言葉の利便性は担保されます。

ファスティングしようが、糖質を控えようが、サプリを飲もうが、グルテンを除去しようが、すべて「栄活」 という共通概念の枠組みの中で語ることができるようになります。

個人の人生哲学やライフスタイルに基づく「食生活」について、イチイチ他人に説明する手間が省けますし、あれこれ詮索されたり、批判されたりするようなことも少なくなるような気がします。

「栄活」はLGBTと共通した概念

少々乱暴な言い方になるかもしれませんが、「栄活」とはある意味「LGBT」に似ているような気がします。

LGBTとは、女性同性愛者(レズビアン、Lesbian)、男性同性愛者(ゲイ、Gay)、両性愛者(バイセクシュアル、Bisexual)、性同一性障害を含む性別越境者など(トランスジェンダー、Transgender)の人々を意味する頭字語です。
-ウィキペディアより引用

つまり、LGBTとは、様々な形態の性的アイデンティティを持った人々の事を言います。

私はLGBTに関してはあまり詳しくありませんが、LGBTを「性的マイノリティー」と表現することにはいささか疑問を感じています。LGBTとは、言ってみれば、その人が選択した生き方の一つに過ぎずません。

LGBTが本質的に目指すものは、生物学的に持って生まれた身体的特徴に関わらず、自己を女性なのか男性なのかということを自分自身で決定することですし、パートナーとして選ぶ相手を同性とするか、異性とするか、両方OKなのかということでしかないと思います。

LGBTに関する細かい分類や規定はあるのかもしれませんが、「個人の自由だし、別にいいじゃん」という域を出ないものだと思います。

LGBTという「個人の多様性を認める概念」さえ理解できていれば、ゲイやホモ、レズなどの性的指向は当事者にとっての判断基準であり、第三者がとやかく口出しするものではありません。

「栄活」により相互理解が生まれる社会へ

「栄活」もLGBTと同じように、「体の細胞にとって有益となる食事をする」という基本概念さえ押さえていれば、細かい部分ディティールに関しては「各自の自由ですからお好みでどうぞ」ということになります。


「各自が選択する栄養療法」=「本人にとって重要な判断基準」

 

あと数年後に「栄活」という言葉が流行るのだとしたら、そのときは、この言葉が単なる商業目的に利用されて一人歩きしてしまうのではなく、「より社会が柔軟になり、多様性や個性を認めること」を促進するキーワードとして普及すればいいなと考えています。

そのためには、このブログを読んでくれている皆さんが、各自が信じる「栄養療法」の理想を、自由な発想で情報発信していくことが最も大切だと思います。

認知から普及までのプロセス

冒頭でも触れたように、世間に分子整合栄養やオーソモレキュラー医学が認知されなければ、人々から賛同どころか、非難さえして貰えません。

汚い言葉になってしまいますが、特にインターネットという情報媒体では

  • 栄養療法 トンデモ
  • 分子整合栄養 インチキ
  • オーソモレキュラー サプリ ぼったくり
  • 分子栄養学 医者 死ね
  • 歯科アマルガム 除去 詐欺

と書かれて「ようやく一人前」です。

アンチがいるからこそ、社会への認知スピードは加速します。

これから将来的に分子整合栄養やオーソモレキュラー医学がどういう発展を遂げるのか分かりませんが、「栄活」の中心的役割を担っているのは、現場の第一線で戦っているドクターや医療スタッフ、カウンセラーの方であることは間違いありません。

そうした方々は、日々の仕事が、将来の新たなムーブメントの布石になります。

一方で、一般人や患者として、分子整合栄養やオーソモレキュラー医学の新たなトレンドを生み出す一員になりたいと考えている人は、できるところから情報発信してみて下さい。あなたにしか書けないテーマが沢山あるはずです。