こんにちは。奥田です。

先週の金曜日から「ゴースト・イン・ザ・シェル/攻殻機動隊」の実写版の上映が開始されました。主演は、スカーレット・ヨハンソンです。(このブログを書いているのは2017年4月です)

「攻殻機動隊(こうかくきどうたい)」について知らない人のために、少し説明したいと思います。

攻殻機動隊は、1995年に公開された劇場アニメです。原作は士郎正宗、監督は押井守です。

押井守は、GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」以外に、「イノセンス」や「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」などのSF作品で有名な監督です。具体的なストーリーを知らない人でも、イラストは一度どこかで目にしていると思います。

「攻殻機動隊」に登場する人物たちは、人工的な義体(ぎたい:アンドロイド)を持っています。

脳の神経細胞は電気信号で情報のやり取りをしていますが、義体を持っている捜査官たちは、自分の脳から外部のネットに接続したり、敵と戦っている最中に極秘のデータベースにアクセスしたり、言葉を交わさずに電脳(でんのう)を介して仲間と会話をしたりできます。

全身のほぼすべてが義体であれば、怪我をしても出血せず、交換可能なパーツがあればすぐに取り替えたり、修理して貰うことができます。食事や排せつも不要で、歳を取ることもありません。

1995年に公開され、世界的に大ヒットした「攻殻機動隊」ですが、当時は2030年頃の地球を想定して描かれたそうです。あと13年後ですから、もう間もなくといって良いでしょう。

人工知能によって私たちの生活は激変する

コンピューターの技術革新が進む中で、パソコンや機械に学習をさせて、人間が行ってきた仕事や活動を、ロボットに代わりにやって貰うという動きが活発化しています。

人工知能(AI)とは、コンピュータを使って学習や判断、創造、思考などといった人間が持つ「知能」を人工的に実現化したものです。

人工知能(AI)を一言でいえば、「人間の脳が行っている知的活動をコンピュータや機会で再現し、それを生産活動や知的活動に落とし込んで、世の中を更に発展・効率化しようとするための研究」と表現できます。

人工知能(AI)の定義は確立されておらず、その意味するところも非常に広いです。

人工知能(AI)というと、先に挙げた攻殻機動隊の大佐のような「アンドロイド」や「Robi」のような完全なロボットを思い浮かべますが、iPhoneに搭載されている「Siri(シリ)」などの音声認識システム、カーナビなんかも広い意味では人工知能(AI)の領域に入るのだそうです。

10年後に機械や人工知能に取って代わられる職業

イギリスのオックスフォード大学で人工知能を研究しているマイケル・A・オズボーンは、将来コンピューターに取って代わられる仕事の確率を試算しました。702種もの業種について調査した結果、下記の仕事はほぼ確実に消滅することが分かりました。

  • 銀行の融資担当者
  • 歯科技工士
  • スポーツの審判
  • 小売店販売員
  • 外科手術を行う医師
  • レストランの案内係
  • レジ係
  • 会計士
  • 販売員
  • データ入力作業
  • 税務申告書代行業者
  • 秘書
  • 飲食カウンター接客係
  • 切符販売員
  • 大型トラック・ローリー車の運転手
  • コールセンター
  • 乗用車・タクシーの運転手
  • 中央官庁職員など上級公務員
  • ビル管理人
  • ファンドマネージャー など

こうした職業のうち、いくつかは既に消えつつあります。実際に、電車の切符や映画のでチケットを買う時は、券売機から購入したり、ネット予約で済ませます。

こうした流れは、医療分野でも同じです。国立大学の付属病院などでは、受け付けを済ませると、ブザーがついた端末を渡されます。自分が受診する番になると端末のブザーが振動して、その上に「診察室の番号」が表示されます。診察室に入るときに「○○さんどうぞ~」何て、大声で名前を呼ばれることもありません。

グーグルカーをはじめとした車の自動運転技術だって、実用化は間もなくと言ったところでしょう。実際に、都内を走る「ゆりかもめ」と「東京モノレール」は完全に無人電車です。

医療現場に登場するアンドロイド

医療業界における人工知能(AI)の応用も大きく期待されています。特に、介護現場では肉体的な重労働を軽減してくれるロボットは、労働力やコストの削減に寄与します。

子育ても同様です。ベビーカーを押しながら、重い買い物袋を提げて両手がふさがってしまう母親をサポートするために、「買い物同行」するロボットがいてもいいわけです。

子供の宿題を見てくれたり、急な発熱や嘔吐の予兆を知らせてくれたりするロボットが登場するかもしれません。深夜に子供の様子がおかしくなったとき、救急車が到着するまでの間、世界中の小児科のデータ―ベースに瞬時にアクセスして、今すぐ対処できる方法をロボットが示してくれるかもしれません。

また、外科手術用ロボットが実際に医療現場に導入されていることも忘れてはいけません。外科手術用ロボットで有名な「da Vinci Surgical System(ダ・ヴィンチ サージカルシステム)」は、医師が患部の立体画像を見ながら遠隔操作を行い、患者に触れることなく、機会が連動して手術うハイテク機器です。

世界中に導入され、既に何十万件以上の症例実績をあげています。

ダ・ヴィンチを開発している企業は更なる開発を進めており、「熟練外科医の技術と経験をAI化することで、熟練外科医がマニュアル操作を行わなくても完全自動で手術を実行することができる」システムの実験に成功しています。

今後は機械がフルオートメーションで、私たちの外科手術を行ってくれるようになります。

熟練した外科医の知識や経験、術中の体の動きや指先の感覚といった抽象的なテータを蓄積して、新たな「知の集合」として機械ができれば、「極めて難易度の高い手術」であっても、世界のどこでも機械が一律に提供することができるようになるんですね。

こうした動きが進めば、盲腸や胆石、レーシックなどの比較的簡単な手術は機械に任せて、人間はより高度で重要な労働だけに集中すべきだという流れに変わってゆくのが自然でしょう。

栄養療法もアンドロイドがやるようになる

機械や人工知能(AI)の発展は、分子整合栄養やオーソモレキュラー医学にとっても大きなインパクトを与えます。

勘の良い人ならすぐに分かると思いますが、分子整合栄養こそ人工知能(AI)に真っ先に取って代わられる分野であることが分かります。

なぜなら、現状の分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学で行われている診察や食事指導、サプリメント処方などは、ある種の統計的なものに基づいて行われているからです。

患者の主訴や症状と検査データを照らし合わせると、ある栄養素が足りていないとか、特定の代謝が回っていないとか、遺伝的な要因が絡んでいるとか、そういったパターンが浮かび上がってきます。

「患者をパターン化する」というと少し乱暴ですが、血液検査のデータから、体の調子や栄養素の摂取・利用状況など、一定の傾向を読み取って、いくつかのタイプに分けることは、治療を効率的に進めていく上で意義のあることだと思います。

年齢や体重、既往、服用している薬、ライフスタイルといった、個別の要素はパラメータを設定しておけば、ある程度調整できるはずです

パラメータとは、「機械でデータ処理した結果に影響を与える変動要素」のことです。これは、私たちが血液検査のデータを解析する際に、患者の年齢や体重、既往を踏まえて考察しているのと同じことです。

血液データにおけるパラメータとは、性別や年齢別の「標準値」のことだと思えば分かりやすいです。たとえば、血液検査で「ALP」を見るときに、思春期の子供・妊娠中の女性・一般成人では、基準値が違いますよね。

だから、同じ検査数値を示したとしても、それが女性なのか男性なのか、10代なのか60代なのかによって、分析する時の脳内での「読み込み作業」は大きく変わります。

血液検査に基づく栄養解析では、「例外」や「微調整」などのパラメーターを使って、個人の脳内で情報を処理し、解析結果という形で出力しています。

こうした「例外」や「微調整」を一定の数値に置き換え、そして栄養療法に携わる人々のデータベースを構築すれば、かなり高い精度で「患者をパターン化する」ことができるようになると思います。こうすれば、初めて分子整合栄養医学を学んだ医師であっても、より効率的に勉強することができますし、臨床応用へのスピードも短縮化されます。

さらに、もっと細かい「条件付け」もやろうと思えば可能でしょう。

例えば、血液検査の数値を入力して、自動算出された栄養解析データがあると仮定します。

あなたは毎日○gのタンパク質と○mgの亜鉛と○mgのビタミンCを摂って下さい。
サプリメントは、BCAAを1日○粒、マルチビタミンを1日3回○粒…

上記のような紋切型の解析結果に条件を付けて、データを少し加工するのです。

例えば
・サプリメントは保険の範囲で
・サプリメントは3種類以内で
・服用中の薬がある(飲み合わせ禁忌をデータ化)
・ベジタリアン対応
・サプリメントは国内メーカーを希望

このようにして、自動で出力された血液データをより「カスタムメイド」に近づけていくのです。

分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学は「個体差」を重視し、個人が必要とする栄養素の量や種類は大きく異なるという考えに基づいて治療が行われます。しかし、そうした「個体差」ですら、ベースとなる部分には「一定の法則」が見いだせます。

「一定の法則」が共有されているからこそ、初めての患者さんには(取り敢えず)マルチビタミンやマルチミネラル、ビタミンCといった定番サプリが処方されているのではないでしょうか。

生身の人間が診察する方が珍しくなる?

人工知能(AI)や学習機能を持った機械が台頭してくる世の中を見据えたとき、現状では信じられないような変革が医療現場で起こります。

予約から受付、問診、診察、診断、薬やサプリの処方、アフターケアまで、すべてが人工知能(AI)のドクターが行う時代が到来するかもしれません。

現時点で、既にその一部は機械化されています。

ネットで病院を予約し、問診票を予めインターネット上に書き込んだり、メールで送信させるオペレーションを取っているクリニックは沢山あります。

また、患者が病院から紹介されたオーガニックの食材やサプリメントをインターネットで購入している時点で、既に「機械化」です。

自ら店舗に足を運んで購入するにしても、店舗情報や取扱い製品を調べる際には、インターネットを活用しているはずです。

加えて、調剤薬局の中には、処方された薬の管理をスマートフォンやパソコン上で管理できるサービスを提供しているところがあります。薬のみならず、自分の体温管理や月経管理、便通の管理ができるアプリもいっぱいあります。

人工知能(AI)とはちょっとズレますが、ネット上で「現役の医師が無料で患者の相談に答えてくれる」ウェブサイトだってありますからね。

さて、話題を人工知能(AI)に戻します。

もし、人工知能(AI)のドクターが主流になってきたら、逆に、人間が診察してくれる病院の方が珍しくなるのではないかと考えています。

・当院では生身の人間による丁寧な診察・カウンセリングを行っています。
人間同士の触れ合いをご希望の患者様は、是非当院までお越し下さい。

・アンドロイドではなく、人間の医師が患者様の声をしっかりとお聞きします。
ただし、人間による診察は別途料金がかかります。

・山田医師(人間)による診察は、木曜日 午後のみ受け付けています。

といった具体にです。

こうした風景が、日常の出来事になってしまう日は、そう遠くないような気がします。

ネットで病院を予約し、iPadに問診票を書き込み、AIのドクターに診察して貰い、アンドロイドの受付に診察料を電子マネーで支払って、サプリメントは「ドローン」で自宅に届く。

一連の医療行為に、1ミリも「人間が介在しない」SFのような世界は、あと数十年後には当たり前になっているかもしれません。

人間にしかできない医療行為

人工知能(AI)のドクターによる診察など、あまりにも殺伐とした内容になりましたが、将来的にいくら機械化や情報化が進んだとしても、最後に残るのはやはり「人同士のコミュニケーション」です。

人工知能(AI)といえども、相手の真意を汲んで、人と人のコミュニケーションを成立させるのは難しいです。

私たちが日常的に使っている言語をコンピュータに処理させる技術を「自然言語処理」といいます。

「自然言語処理」とは、人間との対話から「相手が何を望んでいるかを察し、今何をすべきか考察した上で、データベース化された知識に基づいて適切な応答する」能力といえます。

「自然言語処理」には様々な研究領域があり、対話や意味の解析、言い換え、質疑応答、情報抽出、文書解析、要約、翻訳、検索などに及びます。

そして、「自然言語処理」は言語学や情報検索、音声・画像処理、最適化、学習などのあらゆる叡智をまとめた集大成として位置づけられています。

何だか難しい話に聞こえますが、「自然言語処理」のポイントは、相手と自分の発話状況を理解した上で、最適な解決策を導くことです。そのためには、相手の発現に見え隠れする「本音」や「真意」を読み取らなくてはいけません。

これを人工知能(AI)や機械に肩代わりさせるのは、非常に難しいことです。

なぜなら、私たち人間の会話はあいまいでファジーなものだからです。

たとえば、問診の第一声で患者が発生する「最近、何となく調子が悪いんです」という言葉の裏には、膨大な情報が隠れています。

ある人は仕事によるストレスかもしれないし、ある人は育児疲れかもしれないし、別の人は金銭的な悩みを抱えているかもしれないし、他の人は失恋をいつまでも引きずっているのかもしれません。

人間の会話の裏側に潜んでいる「本当の気持ち」を、断片的な単語から人工知能(AI)がどこまで読み取れるかは、如何に科学技術が進もうとも、そう簡単には達成し得ない気がします。

人間同士ですら、相手の本音を聞き出したり、本当に悩んでいることを打ち明けて貰うには相当の時間と努力を必要としますし、信頼や関係性を築かなくてはいけません。

血液検査で表面化した体の不調は指摘できたとしても、それが引き起こされた本当の理由は、人間が持つあらゆる五感や共感力を総動員しなくては、探り当てることはできません。

こうした能力こそが、人間が人工知能(AI)との差別化が図れ、唯一対抗することができる能力だと思います。

何より、他の人に話を聞いてもらったり、手を握ってもらったり、「頑張りましたね」と肩に触れて貰えるだけで心が落ち着き、穏やかになります。患者とのラポールが人工知能(AI)に築けるかどうかは、よく分かりません。

冒頭では、人工知能(AI)や機械に奪われていく仕事が増えると述べました。しかし、その反対に10~20年後の未来でも生き残る職業があります。

そうした仕事のほとんどは、「人の気持ちを汲んで、相手が抱える問題点を解決する」職業です。

・レクリエーションセラピスト
・メンタルヘルスと薬物利用者サポート
・ヘルスケアソーシャルワーカー
・教育コーディネーター
・スクールカウンセラー
・キャリアアドバイザー
・(患者と対話する)内科医/カウンセラー

分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学に限らず、これからの医療やサービスは、「人工知能(AI)による効率化」と「人の体温が感じられるアナログ化」の二方向で発展してゆくのではないかと個人的に考えています。

そのとき「人工知能(AI)による効率化」が必ずしも医療・経済格差や全体的なサービスの低下を助長する原因となるかどうかは何とも言えません。

アンドロイドと生身の人間が入り乱れながら、新しい形の医療業界へと変貌を遂げ、思わぬ経済効果や商機が出現するかもしれません。

そんな日が近い将来やってくるので、これからも人工知能(AI)の動向には目を向けていきたいと思っています。