炎症のメカニズムについて
今日は、「トランス脂肪酸」について書こうとしたのですが、
その前に、そもそも「炎症」って何なのか考えてみたいと思います。
Wikipediaによれば、
-「炎症」とは、生体が何らかの有害な刺激を受けた時に免疫応答が働き、それによって生体に出現した症候のこと-
だそうです。
代表的な「炎症の5徴候」
・発赤:赤くなる
・熱感:熱が出る
・腫脹:腫れる
・疼痛:痛い
・機能障害(動かせないなど)

炎症の主な原因

生物学的因子:病原体の侵入によっておこる感染症
(細菌、真菌、ウイルス、原虫、寄生虫など)
物理的因子:外傷や電気・紫外線・放射線・高温による熱傷や低温による凍傷
化学的因子:重金属や有機溶剤による中毒、酸・アルカリによる腐食など
まとめると、
「炎症」とは生体が何らかの損傷や刺激を受けた際に生じる反応で、細胞や組織が傷害された時に、これを取り除いて再生するための防御機能」
と言えます。
異物や死んでしまった自分の細胞を排除して生体の恒常性を維持しようとする生体機構なんですね。
因みに、「炎症」は英語でInflammation(インフラメーション)と言います。

Information(インフォメーション)とちょっと発音が似てます。

ジャックのセミナーの時にも、この言葉は頻繁に出てくると思います。

さて、ここらは、炎症が起こるメカニズムについて少し見ていきましょう!
炎症に繋がる刺激が起こると、まずその付近の血管が一時的に収縮します。
血管内皮の損傷に伴って、マスト細胞や血小板から放出されたヒスタミンやセロトニンが血管を収縮させます。
アラキドン酸から代謝された「トロンボキサン」によっても
血小板凝集や血管収縮が起こり一次的に血栓を形成します。
「トロンボキサン」は血小板を凝集促進する物質でしたね。
(詳細は、分子栄養学実践講座のテキストを見て下さい)
また、炎症による不快な「痛み」を感じても、交感神経を刺激して血管収縮が起こります。
収縮が解除されると、血管は反対に拡張し始め、大くの血液が集まるように働きます。
多量の血液が流れることで、皮膚などの局部に、熱感、発赤、拍動性疼痛が現れる場合もあります。
局部の血管を拡張したことで、
血液の約55%を構成する液体成分である血漿(けっしょう)が炎症部位へと滲み出していきます。
この現象を、血管透過性が亢進すると言います。
血液の液体成分が漿液として出ていくので、「浮腫み」が起こります。

炎症時にみられる滲出では、血管内のアルブミンが組織にも漏れ出てしまうので、
血漿膠質浸透圧が低下してしまうとされています。

血管のタンパク質であるアルブミンは、水分を維持する役目を担っていますが、
このアルブミンが漏れ出てしまうことで、間質から血管に水を引っぱろうとする力)が低下して、浮腫みを生じさせてしまうのです。
こうして、血液から血漿成分が滲み出て、血管内の液体成分が減少すると、今度は、血液の粘性が増加し、血流速度が低下します。
そこから、通常は血管の中心部を流れている細胞成分が、
血管内壁側に集まる現象が起きます。
細胞成分の一つである白血球は血管内皮細胞に接着し、
形を扁平化させて、血管内皮細胞の隙間から血管の外へと自由に通過して血管外に出ると、アメーバ様運動(遊走)を始めます。

この移動を「血管外遊走」と言います。

血管の外へ出た白血球は、『炎症』が生じている損傷部位に向かって遊走します。
この時、白血球は、損傷部位に出現しているサイトカインとよばれる様々な種類の情報伝達タンパク質をめがけて集まります。

白血球を炎症局所へ導くサイトカインをケモカイン(白血球走化性因子)と呼びます。

現在までに50以上にもおよぶケモカインが同定されていますが、
代表的なケモカインとしては、インターロイキン8、補体(C5a)、ロイコトリエンB4、血小板活性化因子などが知られています。
炎症がおこった局所において、刺激をうけた組織細胞が産生・分泌する化学物質群は、
他の細胞や組織にさまざまな情報を伝え、炎症での連鎖反応に関わる因子となります。
このような作用を化学物質を炎症のケミカルメディエーター(化学伝達因子) と言い、

ヒスタミン、セロトニン、ブラジキニン、プロスタグランジン、サブスタンスP、トロンボキサン、ロイコトリエンが例として挙げられます。

さて、白血球には、好中球・好酸球・好塩基球・リンパ球・単球の5種類があり、それぞれが異なる役割を持っています。
白血球の種類は東大のウェブサイトが分かりやすいです。
『炎症』が生じている部位に遊走した白血球のうち、最初に働き出すのは、好中球です。
好中球は、組織に侵入した細菌や細胞の残骸を好中球内に取り込み、好中球内のタンパク質分解酵素や活性酸素によって分解、死滅させます。
好中球は、最終的にアポトーシス(細胞死)を起こし、マクロファージに貪食されます。
マクロファージは、単球が組織に移行して分化したもので、
組織に侵入した異物、自己の死細胞、死んだ細胞やその破片、
体内に生じた変性物質や侵入した細菌などの異物を捕食して消化する機能を果たします。

アポトーシスを起こした好中球や、組織の残骸、細菌を掃除してくれるんですね。
「炎症細胞」には,好中球のように、急性期に見られる炎症細胞と、リンパ球やマクロファージのように慢性期に見られる炎症細胞とがあります。

独立行政法人科学技術振興機構の「慢性炎症」研究領域のウェブサイトでは、慢性炎症に伴う病気について触れられています。

“慢性炎症を伴う病気にはさまざまな種類があり、ぜんそくやアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患、関節リウマチなどの自己免疫性疾患が良く知られています。

それらは、発症して直ぐに死に至るような病気ではありませんが、長期間にわたってつらい症状が継続します。

また、時間がたつと、患部組織の障害や構造変化(変形)を伴い、しばしば患部組織が有する本来の機能に障害をきたすことが問題となります。”


僕が専門としてる「関節リウマチ」も慢性炎症であることは言うまでもなく、
がんや糖尿病といった生活習慣病も「慢性炎症」が原因だとする意見は多いのです。

「炎症」のメカニズムに関しては、「免疫」などの生体防御の仕組みにも関わってくるので少し複雑ですが、今日はこんな感じでざっくりまとめてみました。