昨年末に発売された、
週刊ダイヤモンド14年12月20日号 労基署がやってくる!
をご覧になった方はいますか?

昨今ではサービス残業や不明瞭な労働規約などから企業の被雇用者に対する過重労働が強いられ、残念なことに自殺者まで出てしまう事態にもなり、世間の関心度も高いトピックです。

中間管理職を中心として、現場の最前線で働く若い人達にも
売上達成や店舗管理、職務報告など、日頃から精神的・肉体的プレッシャーが掛けられています。

労働条件が過酷で、管理体制がずさん。
被雇用者が安心、安全に労働できるための環境・体制づくりが欠如しているとすぐにブラック企業だ!叫びといって叩かれる時代になりました。

メンタル面にも悪影響を及ぼす過労死はクローズアップされ、
社会問題としても大きく取り上げられていることは皆さんも既にご承知のことでしょう。

こうした状況を受け、昨年労働安全衛生法の改正がなされ、
今年の12月末までに『ストレスチェック』義務化されることになりました。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000069013.html

この法律の制定を前から知っていたドクターはいますか?

この法律によって何がどうなったかと言えば、
企業内の健康診断のように、必ず精神的なストレスが無いかをチェックする確認義務が生じることなったという事です。

1. 従業員50人以上の事業所は、年1回、従業員に対してストレスチェックを実施することが義務付けられる(50人未満の事業所については「努力義務」)

2. 事業所はストレスチェックの結果を従業員に通知し、従業員が希望した場合には医師による面接指導を実施する

○メンタルヘルス対策の充実・強化
医師又は保健師等による労働者の心理的な負担の程度を把握するための検査を行うことを事業者に義務づけます。
検査の結果は、検査を行った医師又は保健師から労働者に直接通知されます。医師又は保健師は労働者の同意を得ずに検査結果を事業者に提供することはできません。
検査結果を通知された労働者が面接指導を申し出たときは、事業者は医師による面接指導を実施しなければなりません。なお、面接指導の申出をしたことを理由に労働者に不利益な取扱をすることはできません。
事業者は、面接指導の結果、医師の意見を聴き、必要な場合には、作業の転換、労働時間の短縮など、適切な就業上の措置をしなければなりません。

※厚生労働省
「『労働安全衛生法の一部を改正する法律案要綱』の労働政策審議会に対する諮問及び同審議会からの答申について」より

これは、厚生労働省から一例として過去に示された9問の簡易ストレスチェック項目です。

株式会社 アドバンテッジ リスク マネジメントHPより拝借
http://www.armg.jp/company/outline.html

事業者にはストレスチェックの実施義務がありますが、
被雇用者には受診義務は課されないとのことです。

従業員やパートなど、被雇用者の健康管理として
何年も前から社内の嘱託医との面談や提携先の医療機関を紹介しているところ
産業医との契約を結んで定期的なフォローをしている企業は沢山あります。

しかし往々にして産業医のドクターは会社の「保健室」的な役割に留まることは多く、
社員が抱える問題と医師が提供できる専門知識や治療内容にギャップが生じることもあると聞きます。

臓器別・疾患別のエキスパートになる教育・訓練を施されている医師ですから
どうしたドクターにオールマイティーな対応を望むというのは無理難題を押し付けるようなものです。

ですが、実際の職場ではうつや不眠、パニック、強い不安など精神的なトラブルを抱える社員は多く、
・精神科医でも心療内科医でもないドクターが対応しきれないケース
・社員が隠れて外部の病院に自己負担で通っているケース
・社員の様子に気が付かないままで、ある日突然休職や退職状が出されるケース

は日常茶飯事のようです。

働く人たちのメンタルをサポートすることを目的としたストレスチェックが義務化されたのは、
労働環境の改善措置として好意的に受け止められますが、
運用が形骸化しないものかと少し不安に感じるところはあります。

被雇用者が専門医との面談を希望した場合のやり方、管理体制、選択肢も
企業ごとに異なるはずです。

・契約している産業医がどのような治療方針を掲げているのか
・やみくもに向精神薬を処方するタイプなのか
・生活指導や食事アドバイスまで含めてやってくれるのか
・栄養療法やその他の統合医療などの代替案も検討の余地はあるのか
・保険・自費の混合診療になってしまうのか

義務化をスタートするとは言え、潜在的な課題は尽きないと思います。

一方で、そうした健康管理の機会を与えられた人たちが
自ら解決策を探し出そうと一歩を踏み出す可能性もあるでしょう。

少しの薬の処方で改善する人もいれば
十分な休息と睡眠で体調が回復する人もいるかもしれません。

うつで休業した期間中に自分の本当の生きがいやライフスタイルを見出し、
バランスの取れた生活を取り戻す人も多いはずです。

精神的な病気に関しては、ネットや書籍でも随分と情報発信されていますので
栄養療法をはじめとした様々な“選択肢”“治療の可能性” が存在することは知って欲しいなと個人的に思っています。

法的な制度を入口として、そこで出会った医師から薬だけに頼らない治療法を聞き出すことで
栄養のことや歯のこと、副腎疲労や低血糖症など、根本的治療に結びつく情報と出会うきっかけが得られるかもしれません。

見方を変えれば、栄養療法や歯科医科連携の普及に向けた新たなチャンスとも成り得るでしょう。

12月以降の各企業の動きや運営体制を見守りたいと思います。