ヒトは栄養素を体内に取り込み、生命活動に必要な物質を体内で作り出すことで、健康的な体を維持しています。その過程で、様不要になったものや、過剰になったものは便や尿から排泄されます。

しかし、代謝径路が円滑に機能しないと、本来作られるべきはずの物質が不足したり、特定の物質のみが過剰に作られてしまったりします。すると、細胞や脳の機能に問題が生じ、体を最適な状態に維持することができなくなる可能性が高まります。

そこで、有機酸検査を行って、代謝がうまく機能していない箇所を把握します。

有機酸検査からは、下記を読み取ります。

  • 消化管にカンジダが異常増殖していないか(カンジダ菌感染)
  • 自閉症児や発達障害の子供に多く見られる物質が増えていないか
  • グルコース(ブドウ糖)を分解して、十分なエネルギーを作り出すことができているか
  • 健全な脳の働きを支える神経伝達物質(しんけいでんたつぶっしつ)を作り出すことができて
    いるか
  • 葉酸経路の代謝(メチレーション)が滞りなく行われているか
  • 脂肪酸の代謝が円滑に行われているか
  • 炎症が発生していないか
  • 体内の抗酸化・解毒物質であるグルタチオンが作られているか

カンジダの異常増殖に関しては、腸内細菌から代謝される物質を参照します。

有機酸検査では代謝副産物から代謝活動が円滑に行われているかを推察する

有機酸検査では、その名の通り、私たちの体から排せつされた有機酸(ゆうきさん)を調べる検査です。有機酸は英語で「Organic Aicd (オーガニックアシド)」と呼ばれるため、有機酸検査をOAT(Organic Aicd Test)と表記する場合があります。

有機酸というのは「有機化合物の酸」のことをいいます。聞きなれない言葉ですが、分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学で調べる「有機酸」は、下記のように言い表すことができます。

「体内で行われた化学反応の過程で作られた物質が尿に排せつされたもの」

体内で行われた化学反応とは、「代謝活動(たいしゃかつどう)」のことです。そして、化学反応の過程で作られた物質は、「代謝物質(たいしゃぶっしつ)」や「代謝副産物(たいしゃふくさんぶつ)」と呼ばれます。

代謝副産物とは、一体何を指すのか例をあげて説明しましょう。

たとえば、私たちの体内でAという物質からEという物質を合成していると仮定しましょう。このとき、AからEの物質が作られるまでには、A→B→C→D→Eというステップを踏まなくてはいけません。

このとき、AからEまでの代謝活動の途中で作られる物質が代謝副産物です。代謝活動では、それぞれの化学反応を仲介する酵素(こうそ)が働いています。

有機酸検査の結果、AからEまでの代謝活動において「Dだけが突出して高く、Eが標準よりも低い値」を示してしたとします。このことから、体の状況に関して色々な推察を行うことができます。

・CからDへの代謝活動を進める酵素が過剰に活性化している
・DからEへの代謝活動を進める酵素が効率的に働くことができない
・何らかの原因でDの物質のみが増えている
・Eが分解されるスピードが速すぎる
・AからEを合成する代謝経路の全体に異常がある

このようにして、有機酸検査では、排せつされた有機酸の状況から、体内での代謝活動が滞りなく行われているか、化学反応の経路で詰まっている個所はないかを把握します。そして、代謝がスムーズに進まない原因を多角的に探っていきます。

有機酸検査を受ける対象となり得る人

  • 慢性疾患が改善しない人
  • 自閉症、発達障害、ADHD、
  • うつ、統合失調症、パニック障害
  • アルツハイマー病 など

各種のバイオロジカル検査の中で、有機酸検査は単体で実施するのではなく、血液検査をはじめとして、毛髪検査やメチレーション検査 、遺伝子検査などと組み合わせ行う検査という位置づけにあります。

分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学による治療を継続しているが、なかなか治療が思うように進まない人や自閉症、統合失調症、うつ病など、治療に一定の時間を要する人が実施することが多いようです。分子整合栄養医学で行われる検査の中では、比較的難易度の高い検査と言えるでしょう。

有機酸検査の検査項目

有機酸検査は全部で74項目の代謝物質を測定します。解糖代謝産物、クエン酸回路代謝産物、酸化脂肪酸、ケトン代謝産物、補酵素要求性マーカー、神経伝達物質代謝産物マーカーに関して、それぞれ検査項目が設けられています。

有機酸検査のデータ

検査結果が標準値内(Normal Range)である場合、プラス(+)、もしくはマイナス(-)2標準偏差値として表示されています。数値が標準値の上限よりも高い場合は、「H」のマークが付きます。標準値の下限は表示されません。

検査数値は、グラフ上のダイアモンド枠の中に示されます。数値が標準値内であれば黒枠のひし形に表示され、数値が高い、もしくは、低い場合は赤枠のひし形で表示されます。

有機酸検査を読むのは難しい

生体の代謝活動は、複雑な代謝経路の元で行われ、様々な酵素や補酵素(ほこうそ)が関与しています。有機酸検査の結果を正しく解析するためには、一連の代謝径路のほかに、カンジダ菌によって生産される副産物とその影響などを総合的に理解する必要があります。

有機酸検査のやり方

病院から有機酸検査のキットを受け取り、自宅で朝起きてすぐに尿を採取します。(病院で採取する場合もあります)前日の夜から水分の摂取を控えたり、ビタミンCのサプリメントを控えたりする必要があります。また、生理中の女性は採尿することができません。詳細は各クリニックにお問い合わせ下さい。

分子整合栄養医学で実施される有機酸検査の受託会社

カリフォルニアニュートリエンツ
株式会社TKサービス

分子整合栄養医学で実施される有機酸検査

  • 結果が出るまでの期間: 1週間~2週間程度
  • 検査費用: 4万円~6万円

分子整合栄養医学で実施される有機酸検査のサンプル

カリフォルニアニュートリエンツ
こちらからサンプルダウンロード可

有機酸に関する書籍

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ゲーリー ゴードン、エーミー ヤスコ デトックスで治す自閉症
エィミー・ヤスコ 自閉症 回復への道しるべ

有機酸検査の読み方

有機酸検査の読み方を解説している動画あります。現役のドクターによる解説で、非常に分かりやすいです。自宅にいながら、いつでも勉強することができます。参考にして下さい。

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