分子整合栄養医学による治療を行う場合、食事の内容を見直したり、サプリメントの摂取をしたり、金属の解毒を行ったりしても、体調が思うように改善しなかったり、治療が頭打ちになってしまうことがあります。

また、自閉症や発達障害、統合失調症の人などは、脳機能に何らかの問題を抱えていたり、代謝システム(体の中で化学反応を起こす仕組み)が正常に働かない可能性があるため、栄養素の補充だけでは症状は改善することが難しいかもしれません。

このような場合、分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学では、遺伝子にまで踏み込んだ検査を行うことがあります。生まれながらに持っている遺伝子の「振る舞い」を観測することで、体内のどんな機能が損なわれ、それによってどんな影響が出ているのかを推察します。

「遺伝子レベルで体の状態を把握する」ための治療を行う際に、着目する代謝経路(たいしゃけいろ)がいくつかあります。それが、下記の代謝経路です。

代謝システムの名前 役割
葉酸回路 葉酸(ビタミンM・ビタミンB9)を作りだす回路
メチオニン回路 アミノ酸の1種であるメチオニンからSAmeを作り、ホモシステインに変化させる回路
トランススルフレーション回路 アミノ酸の1種であるシステインからグルタチオンを合成する回路。グルタチオンは酸化を防いだり、解毒を促す作用があるため重要。

上記の代謝回路が滞りなく働いているかを確認する際に、メチレーション検査が行われます。メチレーションとは、体内で「メチル基」と呼ばれる化合物を他の物質に結合することで、生命を維持するために必要な物質を作りだしたり、あなたの遺伝子の働きの”強弱”をコントロールする仕組みをいいます。

メチレーション検査からは、下記を読み取ります。

  • MTHFr遺伝子が正常に機能し、各種の葉酸が作り出せているか
  • 遺伝子の制御スイッチをオン/オフにする「メチル化(=メチレーション)」が正常に機能しているか
  • 抗酸化作用や解毒作用を持つグルタチオンを体内で作り出せているか
  • メチレーションの代謝の歯車を回す、栄養素が不足していないか
  • メチレーションに関わる代謝経路が有害金属などによって阻害されていないか

メチレーションとは何か

私たちが食べ物を摂取すると、葉酸回路でメチル期と呼ばれる物質が作られます。メチル基は、炭素原子(C)1つに水素原子(H)3つが結合した構造を取っています。

 

 

 

 

 

 

メチル基が他の物質に結合することをメチル化(=メチレーション)といいます。

メチレーションの例を示します。RNAの1種である「ウラシル」にメチル基が結合してウラシルがメチル化されると、DNAの1種である「チミン」になります。RNAウラシルとDNAチミンの化学構造は非常に似ています。メチル基があるか、ないかの違いだけであることはすぐに分かります。

 

 

 

 

 

 

メチル化は、他にも様々な物質と結合することで、私たちの生命活動に欠かせない物質を作っています。

コバラミン(B12)がメチル化されるとメチルコバラミンになります。グリコシアミンがメチル化されるとクレアチンになります。ホモシステインがメチル化されるとシステインになります。

メチレーションの主役として活動する「メチル基」は、私たちの体内で実に多彩な役割を担っています。下記にメチル化による機能の一部を記載します。

  • 遺伝子のスイッチをON/OFFにする
  • 化学物質や有害毒素を解毒する
  • 神経伝達物質(しんけいでんたつぶっしつ)の合成を調節する
  • ホルモンを分泌する
  • DNAやRNAの合成や修復を行う
  • 分化に必要なタンパク質を作り出す

私たちの全身をコントロールを担っているのがメチレーション(メチル化)です。

遺伝子の振る舞いを調節するメチレーション

メチレーションの働きとして「遺伝子のスイッチをON/OFFにする」とか「遺伝子の振る舞いを調節する」といった表現がなされることがあります。これは、一体どういうことを意味しているのでしょうか。

私たちヒトは、人種や文化、住んでいる場所が違っても、ヒトという種族として同じ特徴を持っています。片方の指は5本しかありませんし、目は左右に一個ずつです。心臓が3つあったり、腕が10本生えてきたりすることは、遺伝子的な異常がないかぎりありません。

メチレーションは遺伝子がいつ、体のどの部分で、どういう形で、どの位の強さで機能するかをコントロールしています。

私たちの「手」から「耳」が生えてこないのは、「手」に関する情報を持った遺伝子のみがONになり、「耳」に関する情報を持った遺伝子がOFFになっているからです。

アメリカ人と日本人のハーフの子供が、生まれた時は金髪だったのに、成長するにつれて髪の毛が黒になっていくのは、日本人の親から引き継いだ黒い毛髪の遺伝子が段々とONの状態に変わっていくからです。

ハーフの子供は両親からそれぞれの遺伝子(DNA)を引き継いでいるため、子供の細胞核には金髪になる遺伝子と黒髪になる遺伝子の両方が書き込まれています。それにも関わらず、金髪から黒髪に変化したり、生まれた時から髪の毛が黒い色だったりします。これはまさに、メチレーションが「(毛髪の色を決める)遺伝子の振る舞いの強さ」を調節しているからと考えられます。

メチレーションが損なわれるとどうなるか

メチレーションが円滑に機能しなくなると、生命活動を維持する仕組みにトラブルが生じる場合があります。

メチル化によってRNAやDNAが然るべきタイミングで、規則正しく合成されなければ、私たちの体を構成するタンパク質を作る作業に重大な欠陥をもたらします。タンパク質の合成に異常がでると、正常な身体機能を維持することができなくなります。

また、脳の細胞で情報伝達を行う神経伝達物質の合成や分解に障害が起こるリスクが高まります。他には、活動するためのエネルギーが作られなかったり、解毒力が弱まったり、免疫システムのバランスが崩れたりします。

加えて、メチレーションが機能しなくなると代謝システムが崩壊し、あまねく病気が引き起こされます。専門家の中には、がんや糖尿病、自閉症や統合失調症、不妊や心疾患など、一見すると関連性のないような病気には、すべてメチレーションの代謝異常が関わっていると考える人がいます。

メチレーションの機能異常による発生する病気

糖尿病、がん、肺血栓塞栓症、口蓋裂、二分脊椎、自閉症、発達障害、パーキンソン病、神経管欠損、動脈硬化、免疫不全、ADD/ADHD、多発性硬化症、アルツハイマー病、先天性心疾患、流産、線維筋痛症、慢性疲労症候群、うつ、甲状腺機能低下、神経症、統合失調症、双極性障害、アレルギーなど

メチレーション検査ではメチル化に関わる代謝能力を見ている

メチレーション検査では、メチル化に関わる物質が体内できちんと作られているかを確かめます。メチル化の過程で作られるべき化合物が作られていなければ、遺伝子の働きが弱まっているために、その遺伝子から作られる代謝酵素が100%機能していない可能性があります。

その反対に、メチル化で特定の化合物を作り過ぎていることも問題視します。メチル化に関わる代謝活動は、時計の歯車のようになっています。歯車である代謝システムでは、メチル化に必要な化合物が最適なバランスで合成・分解される必要があります。

したがって、どこか一か所だけが過剰に活動していたり、化合物を必要以上に合成していることは、何らかの問題があるとみなします。

メチレーション検査のデータ

メチレーション検査では、メチル化に関わる代謝経路で作り出される代謝物質(たいしゃぶっしつ)のバランスを読み取ります。具体的な検査項目として、下記があります。※検査会社によって項目は若干異なります。

血漿中
・酸化型グルタチオン
・還元型グルタチオン

代謝産物(誘導体)
・Sアデノシルメチオニン(SAME)
・Sアデノシルホモシステイン(SAH)

葉酸代謝物
・5-メチルテトラヒドロ葉酸
・10-ホルミルテトラヒドロ葉酸
・5-ホルミルテトラヒドロ葉酸
・テトラヒドロ葉酸
・葉酸
・フォリン酸
・活性型葉酸

ヌクレオシド
・アデノシン

メチレーション検査のやり方

メチレーション検査を行う場合、採血をしてそれを検体として米国に送ります。取った血液は、検体を遠心分離機にかける必要があります。詳細に関しては検査会社にお問い合わせ下さい。

分子整合栄養医学で用いられるメチレーション検査の受託会社

株式会社デトックス
Health Diagnostics and Research Institute

分子整合栄養医学で実施されるメチレーション検査

  • 結果が出るまでの期間: 3週間~4週間程度
  • 検査費用: 6万円~10万円

分子整合栄養医学で実施されるメチレーション検査サンプル

Health Diagnostics and Research Institute

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

株式会社デトックス 毛髪検査
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