分子整合栄養医学では、遺伝子検査を実施する場合があります。体内の栄養素の過不足を知り、対処を行うことで治療を試みるのが分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学の根幹ですが、患者の中には、細胞だけではなく、遺伝子にまで踏み込んだ治療を行う必要がある人がいます。

遺伝子検査の結果は、生まれ持った体質や病気のかかりやすさを特定するための手掛かりとして利用されます。現在、最新の分子整合栄養医学に取り組む医師たちが見ている項目として、メチレーション(メチル化)に関わる遺伝子があります。

メチレーション(メチル化)とは、メチル基という物質を他の物質に結合することで、生命活動に必要な様々な物質を作りだすことをいいます。メチレーションには、様々な化学反応を推し進める代謝システムが関与しています。

メチレーションには、メチル基を作り出す葉酸回路、メチル基を他の物質に引き渡す歯車となるメチオニン回路、解毒、抗酸化物質を作るトランススルフレーション経路の3つの回路が関わっています。

この回路が滞りなく動いているかどうかを調べるために、遺伝子検査が用いられます。

メチレーションに関わる遺伝子と酵素

体内でメチレーションが正常に機能するためには、上記の回路が滞りなく回転し続けることが必要です。このとき、それぞれの回路で生じる化学反応を仲介しているのが代謝酵素(たいしゃこうそ)と呼ばれる物質です。酵素とは、ある物質を、異なる性質を持つ物質に変える際の「架け橋」になります。

メチレーションには、MTHFRやCBS, COMTやMAOAなどの酵素が登場します。こうした名称は、酵素を指す場合もあれば、その酵素を作り出す遺伝子を指す場合があります。

例えば、COMTという酵素は、COMT遺伝子によって合成されます。そのため、その酵素を作り出す遺伝子もCOMTと表します。文章や図でCOMTという文字が書かれていた場合、酵素のことを言っているのか、遺伝子のことを言っているのかは、文脈に応じて読み取らなくてはいけません。

メチレーションに関連する遺伝子のうち、頻繁に登場するのがMTHFR(メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素)です。この酵素はメチル基を合成する葉酸回路に関わります。MTHFRにはいくつかの種類があります。その中で、MTHFR677と1928が臨床や研究の場で注目を浴びています。

メチレーションに関わる遺伝子・酵素としてMTHFR以外に、下記があります。

  • MTHFR(メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素)
  • CBS(シスタチオニンβ合成酵素)
  • BHMT (ベタインホモシステイン-S-メチル転移酵素)
  • COMT(カテコール-O-メチル基転移酵素)
  • MTR(メチオニン合成酵素)/ MTRR(メチオニン合成酵素還元酵素)
  • GAD(グルタミン酸脱炭酸酵素)
  • MAO A (モノアミン酸化酵素 A)

一塩基多型・SNPとは何か

私たちの遺伝子には多型(たけい)が見られる場合があります。多型はSNP(スニップ)と呼ばれることがあります。SNPとはSingle Nucleotide Polymorphismの略称です。日本語では一塩基多型(いちえんきたけい)ともいいます。

DNAには、アデニン、グアニン、シトシン、チミンを表すA,G,C,T の4種類の塩基があります。DNA上の1つの塩基が、他の塩基に置き換わることをスニップと言います。

下記に示した図を例に説明します。
右側の二重らせんではC(シトシン)であったものが、左側の二重らせんではT(チミン)に変わっています。CからTに1つの塩基が変わったため、自ずと対になる遺伝子もGのグアニンからAのアデニンへと変わります。これがスニップです。通常の塩基配列(えんきはいれつ)とは異なる遺伝子の状態をSNPといいます。そして、通常とは異なった塩基配列が発生する頻度によってSNP(遺伝子多型)であるか、突然変異であるかを区別します。

  • 大多数の集団内で変異が1%以上発生している=遺伝子多型
  • 大多数の集団内で変異が1%未満で発生している=突然変異

遺伝子多型(SNP)があるとどうなるのか

遺伝子多型があると、基本的には作られるアミノ酸の変化するため、さらに、アミノ酸を連結して作られるタンパク質も変わります。

先ほどのMTHFR 677番を例に説明します。通常の遺伝子配列を野生型(やせいがた)といいます。遺伝子多型(SNP)があると、遺伝子配列のC(シトシン)がT(チミン)へと変化します。DNAの塩基が変わるため、その結果、作られるアミノ酸が本来のアラニンからバリンへと変化してしまいます。

一塩基多型によるDNA配列の変化が身体にどのような影響をもたらすのかは、完全には解明されていません。全く影響が出ない人もいれば、甚大な影響が出現する人や身体的恩恵を受ける人がいるなど、遺伝子の振る舞いや発現のしかたによって大きく異なるようです。

遺伝子検査は未だ発展途上

ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーが乳がんになるリスクが非常に高い遺伝子異常が見つかったとのことで、予防的にバストを切除したという報道がされたことがありました。

他の遺伝子検査と同様に、23andMeでもどういう病気にかかりやすいか、どんな薬に反応を示すかといった傾向を見ることができる

だが、「分子栄養学実践講座」など、栄養療法を勉強している特定のグループでは、あまりこうした統計データは重要視しておらず、参考程度に見ている場合がある。

遺伝子やそのスニップに関しては、解明されていないこともたくさんあり、現在も研究が進められている分野だ

世の中には23andMe以外にも様々な種類の遺伝子検査が市場に出回っていいますが、価格に対して得られる一塩基多型の検査結果項目が多彩なため、この会社のものを用いるケースが多い

日本の企業でも遺伝子検査を実施しているところはああるが、価格が高い割りに、得られる遺伝子の結果が1つか2つだったりする場合もある
画像の説明

遺伝子はすべてを決定しない

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エピジェネティクス

遺伝子検査ではメチレーションに関わる遺伝子の多型を見ている

分子整合栄養医学で採用される遺伝子検査には様々な種類があります。そうした遺伝子検査で見ているのが、メチレーションに関わる遺伝子です。先にも述べたように、メチレーションの化学反応を仲介する酵素は、その酵素を作りだす遺伝子によって振る舞いの仕方が変わります。

例えば、葉酸回路に登場するMTHFR酵素は、MTHFR遺伝子によって作られます。そのため、MTHFR遺伝子に何らかの機能障害があれば、作られるMTHFR酵素は活性が落ちたり、過剰に働き過ぎたりする可能性が生じます。

酵素を生み出す遺伝子に異常が無いかを見ているのが、遺伝子検査です。

遺伝子検査のデータ

メチレーションを行う代謝経路に関わる酵素を作る遺伝子に多型があるかを調べます。遺伝子多型が(SNP)があるかどうかは、+/-で表示されます。

私たちは父親と母親から片方ずつ遺伝子のコピーを受け継ぎます。そして、両親のいずれかからも遺伝子多型を受け継がなかった場合は両方マイナス(ー/ー)、片方から遺伝子多型を受け継いだ場合は1つのコピー(+/ー)、両方から遺伝子多型を受け継いだ場合は2つのコピーがあるためプラスのマークが2つ表示されます(+/+)。

両親から野生型と多型の遺伝子を受け継いだタイプをヘテロ型(+/ー)といい、両親から受け継いだ遺伝子が両方とも多型のタイプホモ型(+/+)といいます。

遺伝子検査のやり方

遺伝子を調べるのには血液や唾液を採取するのが一般的です。検体は国内外の検査機関に送られます。検査会社によっては、事前に患者に「同意書」の記入を求める場合があります。

分子整合栄養医学で用いられる遺伝子検査の受託会社

株式会社デトックス
イービーエス株式会社
23andMe

※23andMeの輸入代行ご希望の方は、当ウェブサイトまでお問い合わせ下さい。

分子整合栄養医学で実施される遺伝子検査

  • 結果が出るまでの期間: 1週間~1ヶ月程度
  • 検査費用: 5,000円~15万円(項目数によって異なる)

分子整合栄養医学で実施される遺伝子検査のサンプル

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