酵素の働きを学ぶ上で最も頻繁に登場するのが
AST(GOT) と ALT(GPT)だ

この二つの酵素は、栄養療法で実践される詳細な血液検査以外に
会社や学校の健康診断で行われる血液検査でも必ず測定されるべき対象として
労働安全衛生法に基づく健康診断で必須項目として記されている。

さて、ここで読者の方に質問を投げかけてみたい。

栄養療法で血液検査を受けたことがある方は自分の血液データを取り出して
AST と ALT の結果を見て欲しい。


ひょっとして、その横にはこんなことが書かれていないだろうか?
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そして、ドクターからはこんなことを言われなかっただろうか?
「ビタミンB群が不足しています。だから、ビタミンBサプリ飲んで下さいね。」

こんなやり取りをしたのち、今現在、
ビタミンBコンプやマルチビタミンのサプリを飲んでいる方は少なくないだろう。


しかし、血液検査の結果から
・どうしてドクターがビタミンB不足と判断したのか
・どうして自分はビタミンBサプリを飲んでいるのか
果たしてその理由が明確に分かっている人はどれほどいるだろうか?



ASTとALTという酵素について少し詳しく見ていこう Edit

AST
肝細胞や、心臓、筋肉、赤血球に多く分布
数値が高くなると、一般的には肝臓機能障害、急性心筋梗塞、脂肪肝、筋炎、筋ジストロフィーなどを疑う

ALT
肝細胞に特異的に存在
よって、肝機能障害の指標として使用され、数値が高くなると、慢性・急性肝炎、アルコール性肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝がん、劇症肝炎、胆道系の癌などを疑う

ASTとALTの働き
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ASTはアスパラギン酸からα-ケトグルタル酸にアミノ基を転移することで
オキサロ酢酸とグルタミン酸に変換する酵素

ALTはアラニンからα-ケトグルタル酸にアミノ基を転移することで
ピルビン酸とグルタミン酸に変換する酵素

注文して欲しいのは、各々の酵素活性に
「ビタミンB6」が補酵素として関わっているという点

従って、栄養療法のドクターはこの2つの酵素を見た上で
ビタミンBが足りないとか、サプリで補うといったアドバイスをしているということになる

彼らは、ASTとALTの値から
・両者のバランス
・酵素活性の状態
・酵素に必要な補酵素(ビタミンB)の過不足
をみている


ASTとALTの活性にはビタミンB6が重要 Edit

補足すると、上記2つの酵素に対する「補酵素」として使われるビタミンB6は
体内で使える「活性化」した状態ではなければ働くことはできない

活性化したビタミンB6は、ピリドキサール5リン酸、P5P、PLPとも呼ばれる

日本製のサプリは法律上、活性型でのサプリ製造が難しいようだが
海外製サプリには、活性型ビタミンB6の豊富な種類がある

iHerbという通販サイトでは多種多様な種類の
P5Pサプリの取り扱いがありますので参考にして頂きたい


処方されて飲んでいる栄養素が不足している根拠を知るべし Edit

今回は、ASTとALTにポイントを絞って酵素の機能と
それに必要な補酵素(ビタミンB6)から、
ドクターがどういう視点で血液検査を読み解いているのか一例を紹介した

こうした科学的な仕組みを理解するためには、
少し難しい代謝経路や生化学も学ばなければいけないが、
基本的な勉強をすることで、はじめて栄養療法を高い解像度から捉えることができるようになる。

何より、ドクターが診断している根拠や
自分がサプリを飲んでいる理由も把握できるようになる
ヒトの代謝酵素の種類はAST、ALTだけではなく様々な酵素がある。

ビタミンB6も多彩な機能の担い、様々な身体活動に関わっている。

勉強していくに従い、教科書やセミナーテキストのあらゆる個所に、酵素やビタミンが登場してくるだろう。

栄養療法的な血液検査では、酵素が正常に機能しているかに着眼して
健康状態を推察するということを繰り返し述べてきた。

しかし、栄養療法を実践する大半の人は
基礎的な身体の仕組みや論拠となる概念を知らないままに
ドクターが指示した通りにサプリを飲んだり、
検査を受けたりしている人が多いように見受けられる。

コツコツと勉強を重ねるのは大変かもしれないが、
より深いレベルで分子整合栄養医学を習得することで、
自分でサプリを選択したり、検査の必要性を考えたり、身
体のコンディションを管理していくことが可能になるのだ。