成人一日あたりのタンパク所要量は60g(乾燥重量)と言われています。

このことから、一般的に、体重1kgあたり、約1gのたんぱく質が1日で必要と説く栄養療法のドクターも多いようです。(体重が50kgの場合50g)

しかし、成人が一日あたり60g程度のタンパク質が必要になるとして、肉や魚、卵などを実質量として60g摂取したにも拘わらず、60gのタンパク質が生体利用できるとは限らない場合があるようです。


サイズLの鶏卵1個は大よそ50gですが、卵一つを食べたからと言って50gがそのまま身体に吸収されるということにはなりません。

食品に含まれるタンパク質やアミノ酸の含有比率、そして、加熱によるタンパク減少を加味する必要があるからです。


まず、特定の食品にどのくらいのタンパク質が含まれているのかを把握する必要があります。

豚肉や牛肉、鶏卵などに何グラムのタンパク質が含まれているのかは、ネットで調べることができます。

たとえば、

日本では、文部科学省が公開している「五訂日本食品成分表」にタンパク質含有量が明記されています。

これらの資料を見ると、鶏卵1個(約50g)には、わずか6gのタンパク質しか含まれていないことが分かります。

また、スーパーで売られている鮭の切り身は一切れ70~100gですので、切り身が85gの場合、約19gのタンパク質(Protein)が含まれていることが分かります。



次に、アミノ酸スコアを見ます。

アミノ酸スコアとは、食品中の必須アミノ酸の含有比率を評価する数値です。

Wikipediaによると、アミノ酸スコアは、特定の食品に対し窒素1gあたりに占める必須アミノ酸が、基準値と比較してどれだけ含有されているかを評価するものとして利用されます。

要は、食べ物に含まれる「必須アミノ酸」のバランスを数字で表わしたものということですね。

 

分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学では、タンパク質の摂取において「アミノ酸スコアの高い食事を意識して摂取しましょう!」と推奨される場合があります。

料理でタンパク質を加熱したり火を通したりすると「メイラード反応」などの影響で、アミノ酸が破壊されるため、実質的に利用できるタンパク質の量が半分以下に減ってしまいます。

タンパク質は、加熱、極端なpH、強い攪拌、高濃度の塩や尿素、還元剤、強い光などで高次構造を支える結合が切れ、溶解度が低下したり固有の機能(活性)の低下・消失が起こり、これを変性(denaturation)と呼ぶ。

福岡大学 『生化学の基礎』


以上をまとめると、

  • 卵1個(50g)に含まれるタンパク質は約6g
  • ゆで卵にするとタンパク質は半分に減少する
  • 最終的に摂れるタンパク質は3g

ということになります。

従って、成人が一日に必要なタンパク質は60gだから、理論上は、『ゆで卵を20個食べましょう』…というロジックになります。

しかし、現実的に考えると、栄養素を消化・吸収する能力には個人差があり、消化したタンパク(アミノ酸)から、体内で再びどのタンパク質へと利用されるのか正確な追跡はできません。

生体でより多くのタンパク合成を促進させるためできることは、アミノ酸スコアの高い食品を摂るように心がけ、
なるべくなら火を通さずに刺身や生卵の状態で食べるように工夫できるでしょう。

しかし、人によっては

  • 何らかの原因によって至適用のタンパク質を摂取できない
  • 加熱せずに(動物性)タンパク質を生で食べるとアレルギーが出てしまう
  • 高タンパクな食事にすると腹部膨満感を覚えたり腸内環境の悪化を招く

というケースも起こり得るかもしれません。


その時に、栄養素を効率的に摂取する「道具」としてサプリメントが役に立ちます。

手っ取り早くアミノ酸やプロテインを補給する手段としてBCAA(分岐鎖アミノ酸)やグルタミン酸、コラーゲン、プロテインなどが選択肢として考えられます。

サプリはあくまでも「選択肢」なので、どの種類をどういった頻度で摂取するかは自分で決めるか、栄養療法のドクターやカウンセラーと相談しましょう。

治療を目的として分子整合栄養医学やオーソモレキュラー医学を実践するのであれば、必要に応じてプロの治療家やカウンセラーの指示も仰ぐのが望ましいです。

「プロテインサプリ」でお腹がパンパンになってガスが出るという話も良くたまに聞きますが、消化吸収能力がある人にとっては「プロテインサプリ」も大変優秀なツールになり得えるの事も事実です。

こればかりは個人差があります。

 

もちろん「食事から栄養素を補うのでサプリメントには頼らない!」という意思決定を下すこともあなた次第です。

同時に、栄養療法を実践するドクターやカウンセラーの中にも、同様の意見を持つ人たちが存在します。

全てをサプリ頼りにするのではなく、普段からの食事に気を配ることで、良質なアミノ酸やタンパク源を摂り入れる治療方針を掲げる医療機関もあります。

例えば、

  • 冷ややっこに鰹節をまぶす
  • お味噌汁の出汁に魚のアラを使う
  • 干物やサキイカを粉末にしてふりかけにして食べる

小さなことでも、色々トライできることはあります。


それぞれの食生活や個人の体質にマッチした「タンパク質」の摂取を考えてみて下さい。

栄養素としての「タンパク質」に関しては、こちらを参考にして下さい。