葉酸は、新しい赤血球をつくり出すために必要不可欠なビタミンです。
赤血球の寿命は約120日で、体内では新しい赤血球が常につくられています。

葉酸は、ビタミンB12とともに補酵素として働き、赤血球のもととなる赤芽球の合成に関わっています。

赤芽球が正常につくられないと、赤血球も正常につくられないため、葉酸は赤血球の成熟化、及び、貧血の予防にとっても欠かせません。

正常な数・形の赤血球を作り出すためには、葉酸だけではなく、
ビタミンB12、葉酸、ビタミンB6、たんぱく質なども必要になります。
○葉酸の欠乏すると…

葉酸が不足すると、赤血球をうまくつくることができず、貧血の原因となります。

赤血球は、そのもととなる赤芽球が分裂してつくられます。
この分裂がうまくいかないと、赤芽球の成熟だけが進んで大きくなり、死んでしまいます。
○巨赤芽球性貧血(きょせきがきゅうせいひんけつ)
細胞が増えるためにはDNAの合成が必要であり、その際には、ビタミンB12と葉酸が関係しています。

ビタミンB12は胃の壁細胞から分泌される内因子と結合し、回腸(小腸)の末端部で吸収され、肝臓に貯蔵されます。
葉酸は十二指腸と空腸(小腸)の上部で吸収されます。

ビタミンB12あるいは葉酸が欠乏すると細胞分裂がうまくいかないため、 骨髄こつずい中の 赤芽球(せきがきゅう:赤血球になる前の未熟な細胞)が大きくなり、血液中に出てくる赤血球も大きくなります。

画像の説明

骨髄での造血能は上がりますが、赤血球になる前に壊れてしまい(無効造血)、 大球性高色素性貧血(だいきゅうせいこうしきそせいひんけつ)が起こります。

胃切除した人( 切除後5年ほどの経過で発症します )や胃壁の細胞が萎縮してしまい内因子を生成できない人は、
ビタミンB12を吸収できずに貧血を起こします。

ビタミンB12の欠乏が原因で起こる貧血は中高年者に多く、記憶障害などの精神症状が現れます。

胃切除や菜食主義者(ビタミンB12は、動物性タンパクにしか含まれません)、抗内因子抗体による内因子欠乏(狭義)などで起こります。

さて、赤芽球のサイズが大きくなり正常な赤血球の数は減るため、この症状をを巨赤芽球性貧血と呼びますが、
鉄が欠乏することによって起こる貧血と違い、酸素を運ぶ役割をしているヘモグロビンの量が足りていても貧血となるため、
悪性貧血とも呼ばれます。倦怠感やめまいなどの症状があります。

この貧血は、体の成長に葉酸が使われ、必要量が多い成長期の子どもに特に多く起こります。

画像の説明

鉄が不足すると、小球性低色素性の赤血球になりますが、
ビタミンB12や葉酸が不足すると大きな赤血球ができてしまうわけです。

葉酸やビタミンB12の欠乏症では、一般的には大球性を呈しますが、

吸収不良や低栄養では、鉄分と葉酸、ビタミンB12の欠乏が重なり、正球性~低球性の貧血になる可能性もあります。

↑ここは、結構重要なポイントかもしれません。


○そーいえば…血液検査の時にあったよね。

血液検査で、こういう項目があったのを覚えていますか?

3 (1)

※因みに、この方は、完全に「鉄欠乏性貧血」です。


○MCV、MCH、MCHC

MCV(平均赤血球容積) MCH(平均赤血球ヘモグロビン量) MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)
赤血球1個の平均容積を示す 赤血球1個に含まれるヘモグロビンの量を示す 赤血球1個に含まれるヘモグロビンの濃度を示す



○MCV・MCH・MCHC計算式

MCV(平均赤血球容積)
ヘマトクリット(%)×10÷赤血球数(×百万/μl)

MCH(平均赤血球ヘモグロビン量)
ヘモグロビン(g/dl)×10÷赤血球数(×百万/μl)

MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)
ヘモグロビン(g/dl)×100÷ヘマトクリット(%)



○検査結果を見て、「葉酸とB12不足」って言ってけど、理由はよく分かってなかった

宮澤先生や北海道の有馬ようこ先生が、血液検査の項目にある、MCV・MCH・MCHCの数値を見て、

葉酸とビタミンB12欠乏があるよ!

と言っていたのは、こういうことだったんですね。
実際の臨床では、MCV≥101の場合に、大球性貧血で、葉酸・ビタミンB12欠乏が示唆されるそうです。


その一方で、MCV≤80、MCHC≤30などの鉄欠乏性貧血を疑う場合であったとしても、大抵の人に、吸収不良や栄養不足、鉄不足、活性型の葉酸不足、ビタミン不足…の可能性があることを鑑みると、
分子栄養学、栄養療法的な観点から見れば、

葉酸・ビタミンB12欠乏よ!

という、所見に繋がったのですね。


MCV・MCH・MCHCの具体的な結果を見て、
貧血の種類や栄養不足を鑑別する正確なカットオフ値はよくわかりませんが、
症状や食生活、食習慣などの問診から、総合的に判断されたのでしょう。

このあたり、他の先生から、意見やご指摘ありましたら、お知らせ下さい。


○葉酸の摂取を阻害する要因

  • 大量のアルコール、タバコ、制酸剤やアスピリンおよびその関連物質
  • 抗けいれん薬(フェニトイン、フェノバルビタール等)
  • 潰瘍性大腸炎治療薬(スルファサラジン等)
  • ガンやリウマチの治療に用いられるメトトレキサートなどの抗葉酸剤
  • 抗生物質のトリメトプリム‐スルファメトキサゾール(ST合剤)

※アスピリンとは、アセチルサリチル酸ともいい、炎症の治療や解熱・鎮痛剤として用いられる薬


【引用・参考URL】
わかさの秘密 ビタミンB12
http://www.wakasanohimitsu.jp/seibun/vitamin-b12/

赤ちゃんのための葉酸サプリの選び方
http://xn--rssq37crpnznm.com/150/

MTHFR.net 日本語版
http://ikashika.org/mthrfnet/?p=46

ウィキペディア 巨赤芽球
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%A8%E8%B5%A4%E8%8A%BD%E7%90%83

佐野内科ハートクリニック 貧血
http://heart-clinic.jp/index.php?%E8%B2%A7%E8%A1%80

生命科学教育 9.3.5.10.3: 葉酸欠乏性貧血
http://physiology1.org/doc/chapter.php?Id=621

ベストメディテク MCV・MCH・MCHCの概要
http://www.bestmeditec.net/kessan/kousu.html

貧血Ch 貧血の知識と対策(3) -貧血の分類-
http://hinketsu.japanda-ch.jp/column/t_yoshikuni/03.html

私の栄養 葉酸
http://hontonano.jp/nutrition/507_folic_acid.html